使えない「最新の」自己啓発本やビジネス本を何冊も買う前にやるべきこと

使えない「最新の」自己啓発本やビジネス本を何冊も買う前にやるべきこと

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 海外の心理学に関する論文や書籍を読んでいると、「これは日本人には合わないな」と思うものを見かける。

◆文化によって心理術に効果にも違いが

 ボディランゲージを使って相手の心を読んだり、気持ちを誘導したり、モチベーションを高めたりの手法においては、文化的な要素の影響も大きい。それを考慮して身につけて日常生活で使わなければ、効果を発揮しないどころか逆効果になる危険性がある。

 そのような傾向は、自己啓発の領域についても言えるのではないだろうか。

 私も自己啓発本を読むことが多いが、その本に出てくる心理学の技術が、文化的要素が強いため、そのまま取り入れても日本では効果がないのではないかと思う場合がある。

 本来、日本人に合わない自己啓発テクニックを身につけることは、例えるなら、RPGで魔法使いに物理攻撃を覚えさせて、戦士と戦いに行くようなものだ。文化的・人種的に合わない技術をどんなに身につけても、スキルアップするには、無駄に遠回りすることになるし、本家には到底叶うはずがない。

◆新渡戸稲造の“自己啓発本”

 そういう違和感を抱えながら、最近、新渡戸稲造氏の書いた『世渡りの道』『修養』『人生読本』の3冊から、『自己を高める』というテーマのものを抽出して1冊にした『運命を拓きゆく者へ』(実業之日本社)という本に出会った。

 新渡戸稲造氏は『武士道』を書いたことで有名なので、多くの人が知っているだろう。私も武士道に関する文献を十数冊読んだが、武士としての美徳は美しいが、今の社会のあり方と合わない点が多く見受けられる。

 しかし、『運命を拓きゆく者へ』では武士には関係なく、「日本人が国民性として持つ強み」「それをどう高めるか」について書かれている。

 もしかしたら『武士道』を書く過程で、日本人の国民性を研究して、その根底にある潜在的な強みや、それを高める方法に辿り着いたのかもしれない。

◆過去を振り返り、積み重ねる

 近年、「アップデート」という言葉が流行っているが、それを「全置き換え」や「全上書き」という意味で使っている人がいる。本来は「温故知新」的なものであり、良いものはそのままで、時代に合わないものだけを変えるという発想のものだ。

 人間は、心理的に新しいものを求める一方で飽きやすい、そのために、「古いものはダサい」「古いものは変えるべきだ」と言って、古いもの全て捨てて新しいものを取り入れようとするが、それは完全に企業のマーケティング戦略に転がされているだけだ。何かを変えたいがための行動ではなく、心理的欲求に従っているだけなのだということを忘れてはならない。

 自己啓発本やビジネス本などにおいても、日本社会が持っている強みを把握して、それを高める方法を学び、実践するほうが効率的である。この手法は、一般的な問題解決と同じだ。現状を把握し、ポテンシャルのある領域を特定して、そこを高めることで効率的な問題解決を行う。

◆社会や風習も視野に

 日本人がスキルアップするためには、まずは自己診断という個人だけでなく、日本人の国民性がどういうものなのか学ぶ必要がある。それをするためには、新渡戸稲造の著書が最も内容が濃いと言える。それを踏まえたうえで、海外から日本に入ってくる自己啓発本を読むことをオススメする。

 また、自己啓発本はどれも分厚く読むのに時間がかかるが、当サイトにも寄稿する高田晋一さんの著書『やってみてわかった成功法則完全実践ガイド』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はオススメだ。

 他では見たことないほど、世の中にある多くの成功哲学が具体的に書かれており、それを高田さんが実際にやってみた時の肌感覚・実現可能性まで書かれている。

 日本人が忘れつつある、ポテンシャルや精神性を再度呼び戻して、それを現代にアップデートする必要があるのではないだろうか。

【参考文献】

『運命を拓きゆく者へ』新渡戸稲造

『やってみてわかった成功法則完全実践ガイド』高田晋一

<取材・文/山本マサヤ>

【山本マサヤ】

心理戦略コンサルタント。著書に『トップ2%の天才が使っている「人を操る」最強の心理術』がある。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催中。

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