相手の決断を引き出すもっとも効果的な方法。「もしも」を使えばそこに辿り着ける

相手の決断を引き出すもっとも効果的な方法。「もしも」を使えばそこに辿り着ける

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「商談をしていても、お客さまの反応がわからない」「そもそもお客さまの発言を促せない」「どのようにして、発言を促せばよいか」という相談に接することがある。「この商品を購入されますか」「気に入りましたか」「いかがですか」と聞いても、答えてくれなかったり、買う気があるのかないのかわからないいというわけだ。

◆無理な売り込みは逆効果

 すると、答えてくれないから、自分の売り込みが足りないと思って「いい商品ですよ」「他にないですよ」「価値がありますよ」と言ってしまう。しかし、お客さまは買う気になるかといえば全く逆で、むしろ尻込みさせてしまう。

「何か言ってください」「気に入ったかどうかだけでも聞かせてください」と畳みかければ畳みかけるほど、相手は発言するようになるかといえば、全く逆で、貝のように相手の口を閉ざしてしまう。しまいには、関係が悪化してしまうことも少なくない。

 果たして、お客さまの発言を促す方法はあるのだろうか? このように投げかけると、「それは相手の買う気がないのだろうから諦めるしかない」「相手が話す気もないのだから、もはや聞いてもしょうがない」と、売る側も諦観をもってしまう。

 筆者はこれまで営業スキルをその場で向上させる演習を実施してきて、お客さまの発言を促すことができる話法があることがわかってきた。それが、「仮定の質問を用いる話法」だ。

◆仮定を示して発言を促す

「この商品を購入されますか」と質問する代わりに、「仮に、この商品が○○だったら、購入されますか」というように、仮定に加えて質問を繰り出す方法だ。「仮に、価格が予算内だったら、購入されますか」「仮に、オプションが自在に付けられるのであれば、購入されますか」「仮に、限定モデルが手に入るのであれば、購入されますか」というようにだ。

 仮定を置くことで、検討の範囲が価格やオプションや、モデルのそれぞれの観点に狭めることができるようになり、答えを促しやすくなる。

 また、「価格が低いです。購入されますか」「オプションが自在に付けられます。購入されますか。」「限定モデルが手に入ります。購入されますか」というように前段のフレーズを断定してしまうよりも、仮定で示したほうが相手の抵抗感を下げることができて、発言を促しやすい。

◆人に合った購買意欲を刺激するフレーズ

 この仮定のフレーズに、相手の「モチベーションファクター」(意欲を高める要素)を組み込むと、さらに相手の発言を引き出しやすくなる。私はモチベーションファクターを、2つの志向、6つのファクターに分けて捉えている。

 2つの志向、6つのファクターに分類しているのは、このように分類すると、日本のビジネスパーソン一人ひとりがもっている最も強いモチベーションファクターが、だいたい均等に分布されるからだ。牽引志向は51.4%、調和志向は48.6%だ。

 お客さまが「目標達成」の購買モチベーションファクターの持ち主だと思えたら、仮定に「新しい商品だったら、購入されますか」、「自律裁量」の持ち主だと思えたら、「限定モデルだったら、購入されますか」と、モチベーションファクターに関連したフレーズを組み込むのだ。自分の意欲が高まる要素なので、格段に返答を促しやすくなるし、購買意欲を刺激することができる方法だ。

 紹介したのは、商談でお客さまの発言を促す場面で、仮定の質問を活用する方法だ。この仮定の質問、例えば相手から断りや反論を受けたときのリアクション誘導話法としても、効果を発揮する。いろいろな場面で活用してみてはどうだろうか。

仮定で相手の考え方に寄り添う

質問:「同意+仮定」はどのように行えばよいか

 相手の考え方に対して、「同意+仮定」によって誘導する話法は、具体的にはどのように行えばよいのでしょうか?

回答:相手の考え方に関連付けて、自分の考え方を仮定の話として繰り出す

 相手の考え方に対して、同意したうえで、ある仮定を置いて、自分の考え方を示す方法です。直接的に自分の考え方を主張することと異なり、仮定を置いているぶん、相手の考え方に沿いながら誘導することができます。

 相手が許容しやすい仮定であればあるほど、誘導の幅は小さくなり、抵抗感を持たせるリスクは小さくなります。相手よりも自分にとって満たしやすい仮定であればあるほど、誘導の幅は大きくなり、抵抗感を持たせるリスクは大きくなります。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第164回】

【山口博】

(やまぐち・ひろし)

グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある

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