「空室が害虫の温床」「ペットの臭気が近隣にまで漂う」……管理がずさんな物件に仰天

「空室が害虫の温床」「ペットの臭気が近隣にまで漂う」……管理がずさんな物件に仰天

不適切な管理は荒廃を招く(写真はイメージです) S_Umezu/Pixta

 建物の周りにはゴミが散らばり、部屋からは大音量の音楽がダダ漏れ。おまけに、入居者の所有物が公道にはみ出す形で置かれており、通行人の邪魔になっている。これらは、賃貸物件で実際に起こったケースだ。

 本来なら建物は常に清掃され、各部屋や共用部分の設備点検が行われたり、入居者からのクレームに迅速な対応をしたりして快適な住環境を提供するのが好ましい。

 しかし中には冒頭で紹介したように管理がずさん、もしくはほとんどされていないことがある。こうなると入居者の不満は募り、不潔さや住人マナーの悪化により近隣とトラブルになることもある。

 物件の管理はなぜずさんになるのか。それによって、近隣住民にはどんな悪影響があるのか。不動産会社「縁合同会社」代表の安孫子友紀氏に話を聞いた。

◆物件の管理には、自主管理と委託管理の2種類がある

 本題に入る前に、管理のやり方について説明しよう。

 物件の管理は、所有者が行う「自主管理」と、管理会社に業務を委託する「委託管理」の二つのやり方がある。大規模マンションでは委託管理が通常だが、戸数の少ない小規模な物件では自主管理をすることがある。また、単一物件の所有であれば自主管理を行うことも少なくない。

 委託管理は管理会社に代金を払って管理を一任するため、所有者の負担は軽減する。自主管理と違って手数料を払うため収益は減るものの、物件をしっかりと管理してもらえることのメリットは大きい。

 たとえば、適切な清掃をすることで清潔さを保てるほか、声がけや掲示板での注意喚起によって住人のマナー向上が期待できる。誰かが平然とルール違反をしてとがめられなければ、「自分も大丈夫だろう」と思う人が続出し、風紀が乱れてしまいかねない。所有者だけでは目が行き届かない部分もフォローしてもらえる。

 部屋を借りる立場からすれば、そのような物件は安心できる。そのため人気が高くなり、退去者が出てもすぐに次の入居者が決まる。所有者からすれば賃料収入が途絶えにくいため、安定した不動産経営につながる。

◆定期的な巡回をせず、現状の把握がされていない

 様々な方法で行われる物件の管理だが、時にずさんになってしまうことがある。それはなぜなのか。まず挙げられるのが、名ばかりな自主管理だ。

 管理業務は、賃料の回収や騒音のクレーム対応、設備の故障や不備、共用部の清掃、退去後のクリーニング手配など多岐にわたる。自主管理の場合はこれらに24時間365日ひとりで対応しなければならないため、手が回らなくなるおそれがある。もし所有者が体調を崩せば、誰も管理できなくなるので、ずさんの一途を辿ってしまう。

 委託管理でも安心できない。サービス内容や対応の良し悪しは管理会社によってまちまちだからだ。高い管理料をとりながら清掃が行き届かなかったり、対応が遅くクレームになったりすることもある。

 安孫子氏が指摘するのは、巡回の頻度が低いことだ。

「管理会社が定期的な巡回を怠り、現状の把握ができていないことが考えられます。物件規模によりますが、最低でも月に2回は現場を見るのが好ましいです」

 また仲介会社の説明不足も無視できない。

「契約時もしくは鍵の引き渡し時に入居者に対し、禁止事項の説明をきちんと説明していないことも原因として考えられます。たとえば、洗濯機を使う時間帯の説明や、ゴミ出しルールについてです」

◆きちんと管理されていない物件のせいでエリア自体が敬遠される

 管理の状態と住環境の悪化はセットで訪れる。こうなると当然ながら入居希望者は次第に減少する。所有者は定期的に管理会社と連携を取り、現状の確認をする必要がある。もし仕事ぶりに不満があれば、管理会社を変えるのも手だ。

 しかし空室が目立ち所有者の収益が下がると、管理に気を配れなくなる。こうなると管理がずさんになり、さらに空室が生じてキャッシュフローが悪化するという負のサイクルに陥ってしまう。

 悪影響は、所有者や当該物件だけにとどまらない。入居者のゴミ捨てマナーが悪く、指定した場所に捨てない、回収日を守らないといった行動が繰り返されれば、近隣からのクレームの原因になる。特に夏はごみが腐敗して悪臭を発して不快になるおそれがあり、衛生面での懸念もある。

「地域に一棟でもそのような建物があると、エリアの人気が下がって住みたいと思う人が減ってしまうおそれがあります。管理が行き届かない物件は空き巣に入られるリスクもあり、防犯面でも心配ですからね。近隣の物件を所有する方からすれば空室リスクを抱えるわけですから、迷惑でしかありません」

 たとえば凶悪犯罪が起こったとする。もし自分が部屋を借りようとするなら、そのエリアを真っ先に選ぶだろうか。直接的な影響がなかったとしても、避けてしまう。同じことが発生するわけだ。

 安孫子氏は不動産会社に勤務時代、近隣にきちんと管理されていない物件があったせいで、入居者が集まらなかったケースを経験してきた。管理をしっかりしている所有者が気の毒だ。

 また自転車やバイクを指定駐輪スペース以外の場所にとめてしまい、周辺住民の通行の妨げになるケースもある。

◆入居者がペット飼育のルールを守らないことも

 不動産業界で10年以上のキャリアを持つ安孫子氏は、ずさんな管理の物件を多く目にしてきた。その中でも印象に残った物件について聞いてみた。

「ペット可物件だったのですが、飼育について細かな規則について入居者への説明が悪かったのでしょうね、ルールがまったく守られていませんでした。特にひどかったのは、臭いでした。物件の外からでもわかるほどの悪臭が漂っていました」

 この物件の入居者は賃料の滞納を繰り返す人物で、契約を解除したという。多くの物件では建物の損傷を懸念してペットの飼育をNGとしている。しかし「ペットと一緒に暮らしたい」との要望を満たすべく、ペットの飼育を許可する物件も存在する。しかし、飼育できる動物の数を制限するといった規則が設けられており、住人が遵守しない場合にはトラブルになる。

「ほかには、管理会社がほとんど巡回せずほったらかしにしていた物件も衝撃的でした。空室が目立っていたのですが、うち一室に入ったところ害虫がたくさん発生していて、その光景に唖然としました」

 このケースでは所有者と管理会社が話し合い、リフォームを行って以後の管理徹底に務めた。その結果、住民マナーは徐々に良くなり、空室も解消していったという。

 しっかりと巡回やマナー向上への呼びかけをしておけば、ここまで状況を悪化させずにすんだはずだ。日頃の大雑把かつ無責任な対応がトラブルを生み出してしまったと言える。

<取材・文/薗部雄一 取材協力/安孫子友紀>

【薗部雄一】

1歳の男の子を持つパパライター。妻の産後うつをきっかけに働き方を見直し、子育てや働き方をテーマにした記事を多数書いている。

関連記事(外部サイト)