間違いだらけのロールプレイング。瞬発力を上げるにはあえて準備をするな

間違いだらけのロールプレイング。瞬発力を上げるにはあえて準備をするな

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 筆者はビジネススキルを向上させる演習プログラムを実施している。プレゼン話法、合意形成話法、OJT面談話法、リアクション誘導話法などのスキルを、その場で演習して高めていくというものだ。

◆スキル修得に準備は不要?

 演習プログラムのなかでは、相手と2人一組になってロールプレイングをし、自分が話法を繰り出して相手に反応してもらう。自分が話法を繰り出している様子を自撮りして、ロープレが終わる、録画を再生して自分で確認し、話法に内容や繰り出し方、そのときの表情などを修正していく。

 自撮りロープレをする際に、私はあえて、これから話す内容を事前に考えてもらったり、準備したり、下書きすることをしない。ぶっつけ本番で、いきなり自撮りロープレをやってもらうのだ。

 このように申し上げると驚く人が多い。「準備するのが当たり前ではないか」「何を話すか考えておかなければ話せないではないか」という声が聞こえてくる。しかし、20年来の演習結果をふまえると、準備したり下書きしたりしないほうが、スキルの上達が早いのだ。

◆分解スキル反復演習で瞬発力を高める

 準備したり下書きしたりしない代わりに、演習するスキルはパーツ分解して反復演習する。プレゼン話法は、導入のフレーズ、全体像を示すフレーズ、メッセージを伝えるフレーズ、構成をつなぐフレーズというように、パーツのフレーズに分解して反復演習するというわけだ。

 1回のロープレ時間は、1分から3分程度だ。限られた時間で、そのフレーズだけが繰り出せるように反復していくと、15分程度の間に何回かロープレしていくうち、あまり考えずに繰り出せるようになる。瞬発力が高まるのだ。

 それぞれのフレーズが繰り出せるようになったら、導入のフレーズと全体像を示すフレーズをつなげてロープレしていく。パーツスキルを反復演習すると、より身につきやすいし、パーツスキル同士を連動させたり、組み合わせやすくなる。

 準備したり下書きしてからロープレしていくと、その内容について説明することはできるようになるかもしれないが、瞬発力は高まらない。

 特に相手の話した内容に対して、リアクションして、相手の考え方を自分の考え方に誘導している「リアクション誘導話法」を繰り出す際には、瞬発力を発揮しないと誘導できなくなる。そもそも対話が途切れてしまって、スキル発揮さえできなくなる。

◆相手との乖離の大きさで話法を選ぶ

 「リアクション誘導話法」は、以下の7つだ。相手の話に対して同意したうえで繰り出していく。同意は何も相手の考え方に同意していなくてもよい。相手がそのように考えているということに理解を示せば十分だ。

「同意+質問」

 相手の話に対して質問で返す話法。質問内容を自分の考え方に寄せていくことで誘導する

「同意+追加」

 相手の話に対して追加で返す方法。追加内容を自分の考え方に寄せていくことで誘導する

「同意+例示」

 相手の話に対して例示で返す方法。例示内容を自分の考え方に寄せていくことで誘導する

「同意+経験」

 相手の話に対して経験で返す方法。経験内容を自分の考え方に寄せていくことができる

「同意+示唆」

 相手の話に対して示唆で返す方法。示唆する内容で自分の考え方に寄せていくことができる

「同意+仮定」

 相手の話に対して仮定で返す方法。仮定した内容で自分の考え方に寄せていくことができる

「同意+転換」

 相手の話に対して、結語転換で返す方法。結語転換することで自分の考え方に寄せていくことができる

 7つのリアクション誘導話法を、ひとつひとつ、反復演習することで、とっさに繰り出せるような状況にしておく。これらのスキルを身につけると、どのような状況のときに、どのリアクション誘導話法を繰り出せばよいかという疑問を持つようになる。これも、細かく場合わけをしたり、あれこれ考えると、対応が難しくなる。

 相手の考えと自分の考えの乖離が大きければ、上から繰り出してみる。乖離が小さければ、下の話法を繰り出してみるというくらいの感覚で、場数を踏んでいくことがお勧めだ。頭の中でさまざま想定してみても、相手のあることで、可変的な要素が多過ぎるからだ。

◆段階を踏んで相手をうまく誘導する

質問:反論の強さに応じてどの誘導話法を使えばよいか

 誘導話法は、反論の強さに応じて、どの誘導話法を繰り出したらよいというような違いがあるでしょうか?

回答:反論が強いほど、相手の考えとの乖離がない話法を用いる

 誘導話法は、以下の表の下にいけばいくほど誘導幅が大きくなります。反論の度合が大きければ大きいほど、誘導幅が小さい誘導話法を繰り出していくことがお勧めです。

 例えば、「同意+質問」をしたうえで、「同意+例示」、「同意+示唆」を繰り出すなど、以下の誘導話法のいくつかを、上から順にいくつか使っていきながら、段階的に誘導していくのです。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第165回】

【山口博】

(やまぐち・ひろし)

モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある

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