イッキ飲みを煽ってきた相手、トップは「上司」。「場の雰囲気がシラケる」ので断れない人も

イッキ飲みを煽ってきた相手、トップは「上司」。「場の雰囲気がシラケる」ので断れない人も

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 2019年も師走に入り、これから忘年会や新年会など飲酒する機会が増える時期となった。年末の締めとして、また年初めの景気付けとしてお酒を飲みながら語り合うのは楽しいものだが、気を付けたいのは普段よりもお酒を飲みすぎてしまうことだろう。

 キリンホールディングスは、飲酒する機会が月1回以上ある全国の20〜50代の男女500人を対象に「イッキ飲みに関する実態調査」を11月28日に発表した。

 過度な飲酒によるトラブルや、「イッキ飲み」による急性アルコール中毒で搬送される人は年々増加傾向にある。東京消防署管轄内では年間1万人を超え、その約半数が20代の若者だという。

◆お酒の飲みすぎで後悔した飲み会1位は「忘年会」

 まず、飲みすぎやイッキ飲みで後悔した経験のある飲み会は「忘年会(34.6%)」という回答が多く集まった。これは、2位の「歓迎会(17.6%)」や3位の「懇親会(16.6%)」の約2倍以上となっており、忘年会は羽目を外してつい飲みすぎてしまうことがわかった。

 「飲みすぎて、電車を乗り過ごしタクシーで2万円かけて帰ったこと」(東京・31歳女性)、「イッキ飲みしすぎて忘年会の記憶がなくて感想を聞かれても答えられなかった」(栃木・49歳男性)、「トイレに行って立てなくなり便器にしがみついていた」(愛知・58歳男性)など、忘年会での後悔エピソードが寄せられていた。

 なかには、「救急車で搬送させてしまった方を出してしまったので、場がしらけても止めるべきだったと後悔した」(福島 53歳男性)といった命に関わる危険なものを伝える回答も。

 まさに、後悔先に立たずであり、お酒との付き合い方を考えさせられる結果となったといえるだろう。

◆イッキ飲みはまだ行われている?上下関係から断れないことも

 筆者は大学では体育会に所属していたため、よく先輩からアルコールジョッキのイッキ飲みを煽られた過去がある。かれこれ10年も前なので、未だにその実態があるかは不明だが、現在の飲酒現場でイッキ飲みは行われているのだろうか。

 調査結果では、「ある(頻繁にある・時々ある)」と回答した人は62.4%と、実に半数以上の人が飲み会でイッキ飲みの現場を目撃した経験があるという。

 また、性別・年代別で比較してみると、男性は30〜50代で「ある(頻繁にある・時々ある)」と回答した人が過半数以上に達するのに比べ、20代は50%以下という結果になった。また、20代では、一度もイッキ飲みを見たことがない人の割合が顕著に高くなっている。若い世代はイッキ飲みなどの無茶な飲み方をしない傾向にあることがわかる。

 しかし、上下関係や場の空気を読んでイッキ飲みを断れないことも往々にしてあるだろう。

 イッキ飲みをするよう煽られた経験があるかの調査をしたところ、「ある(頻繁にある・時々ある)」と回答した人は39.0%と約4割近くの人が、周囲からイッキ飲みするよう求められたという。

 具体的には、「上司や先輩(55.4%)」が最も多く、次いで「友人(47.7%)」、「同僚(33.8%)」からイッキ飲みを勧められ、やむなく行っている実態が明らかになった。

 イッキ飲みを断れなかった理由としては「場の雰囲気を乱したくない、ノリが悪いと思われたくない」(兵庫・56歳男性)、「場の雰囲気がシラけないようにするため」(神奈川・35歳男性)、「クライアントからの命令のようなものなので断ると仕事に影響すると思い、断れませんでした」(福岡・54歳男性)など、場の雰囲気や上下関係、仕事への影響などを考えてしまって、イッキ飲みせざるを得ない状況になっているのではないだろうか。

◆イッキ飲みは時代錯誤

 世の中のイッキ飲みに対する印象の調査では、「時代遅れ(54.2%)」との回答が最多となった。そのほか「恥ずかしい(30.0%)」、「ダサい(27.2%)」「つまらない(24.2%)」とイッキ飲みについては良い印象を抱いていない回答が続いた。

 昨今のコンプライアンス遵守や価値観の多様性から、現代ではイッキ飲みが時代錯誤に映るようになったのかもしれない。

 また、恋愛におけるイッキ飲みの印象については、「カッコ悪い(カッコ悪い・どちらかというとカッコ悪い)」と回答した人は91.2%に上る。男女別では、男性が89.2%、女性は93.2%が「カッコ悪い(カッコ悪い・どちらかというとカッコ悪い)」という印象を抱くことからも、男女関係なく恋愛の場面でのイッキ飲みは相手に引かれてしまうことがわかった。

◆イッキ飲み強要が罪になることを知らない人は5割近くに

 イッキ飲みをさせる側に回ってコールに参加した人は31.4%と、約3人に1人が一緒に飲んでいる人にイッキ飲みを煽った経験があるという。

「その場の雰囲気を壊したく無かったから」(東京・35歳女性)、「みんなでコールしなければならない雰囲気になっているから、自分だけ黙っている事はできない」(埼玉・36歳男性)と、イッキ飲みを断れない理由と同様に、場の雰囲気に合わせて、やむを得ずコールに参加したという意見が多くみられた。

 イッキ飲みは時として、命を脅かす自体になりかねない。短時間で体内にアルコールを摂取するイッキ飲みはスピード飲酒とも言われ、急性アルコール中毒を招き、病院へ緊急搬送される事態も起きうる。

 病院へ緊急搬送される経験があるかという調査では「自分が運ばれた経験がある(9.0%)」、「自分が運ばれた経験はないが、周りの人が運ばれた(25.2%)」とお酒を飲みすぎて救急車で運ばれたり、周囲が運ばれたりした経験がある人は3割に上る実態が明らかに。

 相手が嫌がっているのにイッキ飲みを勧める。お酒が弱いにも関わらず、場の雰囲気を盛り上げるためにイッキ飲みを強要する。これらの行為は場合によって罪に問われることもある。

 調査を実施したキリンホールディングスによると、イッキ飲みを強要したことが原因で急性アルコール中毒になれば「過失傷害罪」、仮に死亡すれば「過失致死罪」に当たる可能性があるという。また、酔い潰れた相手を放置した場合には「保護責任者遺棄罪」、死に至った場合は「保護責任者遺棄致死罪」とお酒の飲酒に関わる刑罰は様々だ。

 実際に、過度な飲酒の強要が罪に問われることを知っているかという調査では、47.6%もの人が「知らなかった」と回答した。イッキ飲み自体の印象は時代錯誤でカッコ悪いという風潮は高まりをみせるも、場の雰囲気でイッキ飲みを強要する行為自体が罪に当たることを知らない人は、まだまだ多くいるようだ。

<文/古田島大介>

【古田島大介】

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。

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