間違いだらけの「One on Oneミーティング」はもうたくさん。ダメ出しオンパレードでモチベーションを下げるだけ

間違いだらけの「One on Oneミーティング」はもうたくさん。ダメ出しオンパレードでモチベーションを下げるだけ

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 近年、定期的に「One on One」を実施する企業が増えている。One on Oneとは、上司と部下、先輩と後輩、コーチングする人とされる人などで、一対一で面談することだ。「One for One」とも言う。

◆形骸化したOne on One

 年度始めの目標設定面談、半期や四半期などの期末の進捗管理面談、期末の評価面談などに加えて、例えば一か月に一度などというように頻度を決めて、定期的に面談する。上司や先輩が、部下や後輩の状況をしっかり把握して適切な指導や助言し、部下や後輩のパフォーマンスをさらに上げようとする目的だ。

 しかし、このOne on Oneについての相談が実に多い。「いったい何をすればよいのかわからない」「どのような話法を繰り出せば効果的なのか」「メンバーが話してくれない」「効果を実感できない」というのが、上司や先輩側からの相談だ。

 一方、部下や後輩側からは、「圧迫感があり苦痛」「実施するたびに嫌な気分になる」「モチベーションが形骸化する」「時間の無駄」という声が挙がる。かくして、上司や先輩側も部下や後輩側も会社がやれと言うからやっているだけで、One on Oneが形骸化してしまっていると言えそうだ。

◆ダメ出しオンパレードがモチベーションを下げる

 One on Oneで実施されていることを再現してもらうと、形骸化してしまっているOne on Oneには共通の特徴があることがわかった。ひとつ目の特徴は、One on Oneでやることが決まっておらず、個々の上司や先輩に一任されていることだ。

 現場の状況を尊重する、上司や先輩の試行錯誤が大事だと言えば聞こえはいいが、やり方についての基本の型がないので、各々の上司や先輩でやり方がまちまちになってしまう。これでは、上司や先輩側も、部下や後輩側も戸惑うのが当たり前だ。

 そして、最も多くみられるパターンが、上司や先輩側がよかれと思って、あれがだめだ、これがだめだとダメ出しをする面談に終始してしまう。その結果、部下や後輩側は、モチベーションを下げ、そして、パフォーマンスを下げてしまうという本末転倒な結果になってしまう。

◆質問することは、上司が部下を尊重している証

 一方、意味がある、効果を実感していると上司や部下に思われているOne on Oneでは、ダメ出しがほとんどされていない。その代わり、上司が質問し、部下が答えるパターンが多い。上司が一方的にダメ出しする代わりに、ダメだった点があったかどうか、あったとすればどんな点か、上司が部下に聞いているのだ。

 このように申し上げると、「ダメだった点を上司が部下に聞くなんて、上司が部下の状況を把握していないという最もダメな上司のケースではないか」「上司の威厳を損なう行為だ」というような疑問をもつ人がいる。

 上司が部下の状況を把握していないから聞いているのではないのだ。もちろん、上司は、部下の状況を日ごろの観察や、業績数値のレポートなどで把握している。しかしそれを鵜呑みにしたり、固定観念を持ったりしないで、部下本人の口から生の声を聞くことに意味がある。

 それにより、上司は、部下の思いを尊重している、部下がどのように捉えているかという部下の認識を大事に考えているというメッセージを部下に伝えることができるのだ。そのことが部下のモチベーションを向上させる。

 部下や後輩のモチベーションを上げ成果を上げるOne on Oneの秘訣は、決してダメ出しせず、上司や先輩が部下や後輩に状況を聞くことにある。

◆一方的な指摘はNG

 質問:ダメ出しは必要不可欠ではないか

 ダメ出しオンパレードの面談になると雰囲気が暗くなるといっても、そもそも目標設定面談は、前期の改善点を見極めて、今期に反映させるものです。業績管理面談は、今期の業績のダメなところを指摘して来期に改善するためのものなので、仮に雰囲気が暗くなったとしても、ダメ出しをすることは必要不可欠なことなのではないでしょうか?

 回答:ダメ出しはパフォーマンスを低下させる

 改善点を見極めることが目的であることは、まったくそのとおりだと思います。ただし、ダメ出しオンパレードで「ここがダメだ」「そこがダメだ」と改善点を一方的に指摘してしまうと、暗い雰囲気になり、相手のモチベーションを低下させ、ひいてはパフォーマンスが上がらなくなってしまうのです。

 実施している様子を拝見しますと、上司が話しているだけだったり、改善点を指摘するだけだったりして、相手に話させなかったりする面談が実に多いのです。

 期始の目標設定面談でも、期中の進捗確認面談でも、期末の業績確認面談でも、上司と部下とでそれまでの取り組みについての改善点を、しっかりと共通認識として持つことが大切です。そのためには、一方的な改善点の指摘では、限界があるのです。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第167回】

【山口博】

(やまぐち・ひろし)

モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある

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