政治家がらみのカルトニュースが多すぎる! 2019年の「10大カルトニュース」

政治家がらみのカルトニュースが多すぎる! 2019年の「10大カルトニュース」

菅原一秀・前経産相

 2019年のも残すところあと僅か。私自身は今年、菅原一秀・前経産相と統一教会との関係を取材する一環で、地元事務所に取材を申し入れに行っただけで鈴木エイト氏とともに「建造物侵入罪」として菅原氏側から虚偽告訴されたり(書類送検中)、経産相会見で菅原氏に統一教会との関係や虚偽告訴について質問しようとして経産省官僚から「永劫に」出入禁止を通告されたり、例年通りスリリングな1年だった。これはこれで政治家・官僚と報道との関係にまつわる重大な出来事ではあるが、私自身にとっての「事件」を排して、今年の「10大カルトニュース」を選んでみた。

◆国際問題に発展しかねなかった「霊言」騒動

◆10.週刊新潮(9月26日号)香港「民主の女神」が「霊言」で逮捕の危機! 「幸福の科学」の罪と罰

 幸福の科学の教祖・大川隆法総裁が、香港民主化運動リーダーの1人アグネス・チョウ(周庭)氏の霊を呼び出したと称して、チョウ氏が香港への自衛隊派遣を望んでいるかのような情報を教団がウェブで発信。中国メディアが真に受けて報じ、中国語版ツイッター「微博(ウェイボー)」で炎上した。

◆9.ハーバー・ビジネス・オンライン(2月28日)山本太郎氏、日本母親連盟を支持者の面前でぶった斬り!

 日本母親連盟主催の講演会に招かれた山本太郎氏(当時参議院議員)が、その場で同連盟とニセ科学や保守運動との関係を解説。選挙での共闘を拒んでみせた。2月26日の出来事だったため、同連盟関係者の間では「226事件」と呼ばれた。もっとも、夏の参院選では「れいわ新選組」が現役の創価学会信者を擁立し、記者会見で山本代表が池田大作氏を「平和主義者」と絶賛。カルト的な集団に対する警戒感は特段高くないことも露呈した。

◆8.ハーバー・ビジネス・オンライン(5月8日)佐々木千夏・杉並区議が「日本平和神軍」って本当? 電話で直接尋ねたら……

 春の統一地方選で、「NHKから国民を守る党」公認の佐々木千夏氏が杉並区議に。直後に同党を除名されたが、佐々木氏が右翼カルト「日本平和神軍」の元幹部であり、ニセ博士号販売会社「イオンド大学」の幹部であることが指摘された。私自身が直接電話で確認を取ろうとしたところ、佐々木氏自身が特定の民族をなじる差別発言を繰り返し、途中から日本平和神軍の元総督である中杉弘氏まで電話に出てきて、佐々木氏以上の回数の差別発言を繰り返した。

◆カルト集団と大差ない入管の人権無視

◆7.ハーバー・ビジネス・オンライン(3月13日)「助けて!」収容者のSOSで駆けつけた救急隊を、なぜ入管は追い返したのか

 収容者たちへの虐待行為が行われている入管問題の実態を報じた記事。記者の織田朝日氏はこれ以降も継続的に入管問題をリポートし、入管の職員たちがまるでカルト集団のように人権を蹂躙する方向に暴走している実態が生々しく伝えた。私自身が、この問題に関心を持ち抗議デモや裁判傍聴に出かけるきっかけになった。

◆6.デイリー新潮(10月5日)教祖は性的虐待で逮捕、韓国の新興宗教「摂理」は日本でいまも密かに浸透中

 2006年に「セックス教団」として大騒ぎになった宗教団体「摂理」の複数の支部が昨年、宗教法人の認証を受けていたことを伝えた、一般メディアでは唯一の報道。ジャーナリストの鈴木エイト氏と私が分担して現地取材を行い、現在の摂理信者たちの様子や主張もあわせて報じた。

◆「桜を見る会:にもカルトの陰

◆5.朝日新聞(11月28日=紙面では翌29日)「首相の招待状」を信用、戻らない2千万円 桜を見る会

「桜を見る会」をめぐっては、反社会的勢力も参加していたとして、「やや日刊カルト新聞」を無断でパクった怪文書「やや日刊桜を見る会新聞」が議員会館に配布される騒ぎもあった

 日本共産党の田村智子議員が火付け役となって炎上した安倍晋三首相の「桜を見る会」。関連で次々と発覚したのがマルチ商法会社「ジャパンライフ」の元会長が「桜を見る会」に招待されていた問題で、これが同社の宣伝に利用され被害拡大につながった。朝日新聞の記事は、政治の問題が具体的な被害の発生につながった事実を被害者の証言とともに報じた。

◆4.やや日刊カルト新聞(1月16日)三重の麻疹集団感染、発生場所はMC救世神教の中高生2世信者研修会と判明

 私とともに「やや日刊カルト新聞」で活動する鈴木エイト氏によるスクープ。当時、集団感染が発生した宗教団体の名を三重県が伏せ一般メディアも報じていなかった。鈴木氏のこの記事が教団名を報じた第一報となり、ワクチンを含めて医療を否定する宗教団体の問題が検証される端緒となった。

◆第4次安倍改造内閣は「カルト内閣」!?

◆3.週刊文春(10月23日号)有権者に香典や供花 菅原一秀経産相の新たな公選法違反疑惑をスクープ撮

 統一教会と関わりを持つ菅原一秀・前経産相について、週刊文春が10月10日から3週にわたって秘書給与ピンハネ、パワハラ、カニやメロンと言った物品を有権者に贈った買収行為など数々の問題を報道。上記の10月23日号では、一連の報道に端を発した騒ぎの真っただ中にも関わらず菅原氏の秘書が地元支援者の通夜に香典を届けた事実を写真付きでスクープした。統一教会問題に触れる報道ではなかったが、統一教会との関わりが深い閣僚を1人葬り去った、見事な報道だった。

◆2.日刊ゲンダイ(10月5日)萩生田文科相の後押しで「幸福の科学大学」ついに開学か

 本サイトや他のメディアでも私自身がこの問題について記事を書いているが、現在認可申請中の「幸福の科学大学」と萩生田光一文科相の過去の癒着に最も早く着目して報じたのが日刊ゲンダイだった。萩生田文科相は「幸福の科学大学」の認可の可否を大学設置・学校法人審議会に諮問。来年8月には同審議会が答申を行なう予定になっている。

◆1.日刊ゲンダイ(9月17日)日本会議系に統一教会系…安倍新内閣はまるで“カルト内閣”

 鈴木エイト氏や私自身が本誌や他のメディアで記事を執筆しているが、この問題についても、最も早く報じたのは日刊ゲンダイだった。同紙は2016年参院選で浄土真宗親鸞会幹部信者が野党統一候補となった際、唯一その問題を報じた一般メディアでもある。改めて、同紙の気骨とフットワークの良さを感じさせられた1年だった。

 改めて全体を見渡すと、実に無茶苦茶な1年だ。毎年、カルト的な集団が起こす何かしらの問題や事件は絶えることがない。しかし今年の特徴は、とにかく政治がからんだ「カルトニュース」の多さだ。政治家がカルト的なものを利用したり利用されたりすることは避けるべきだし、本来、まともな倫理観があれば避けることができる。カルトだけではなく政治家たちのダメさ加減を嫌というほど見せつけられた1年だった。

<取材・文・撮影/藤倉善郎>

【藤倉善郎】

ふじくらよしろう●やや日刊カルト新聞総裁兼刑事被告人 Twitter ID:@daily_cult4。1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)

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