トラック運転手が教える「雪道で立ち往生しないために準備していること」

トラック運転手が教える「雪道で立ち往生しないために準備していること」

雪道を走る際は事前に多くの準備が必要

 「トラックドライバーが一般ドライバーに知っておいてほしい“トラックの裏事情”」をテーマに紹介している本シリーズ。

 前回は「トラックが雪道を走る苦労」について述べたが、今回は、普段雪道を走っているトラックドライバーが、雪に不慣れな一般ドライバーに教える「雪道を走る際に準備しておくべきモノ・こと」を紹介しよう。

◆運転のプロは準備を怠らない

1.ウォッシャー液・燃料を満タンにしておく

 雪道で怖いのは、悪路での運転(次回紹介する)だけではない。通行止めや事故などによる「立ち往生」も、準備不足だと命の危険に晒されることがある。

 雪道では、自分が安全運転をしていても周囲で事故や通行止めが発生すると、最悪の場合、数日間立ち往生することも考えられる。

 ゆえに、雪国で大雪の予報が出たら不要不急の外出を避けるのがベストな対策ではあるのだが、どうしてもクルマでの移動が必要であるならば、ウォッシャー液と燃料は満タンにしておくのが鉄則だと、雪国を走るトラックドライバーは口を揃える。

 雪国では冬になるとコンビニでも売られるほど必須となるウォッシャー液。非降雪地域に住んでいるとなじみのない人もいるだろうが、ウォッシャー液には凍結しにくいタイプのものから、解氷作用のあるものまである。

 雪国のドライバーが冬に燃料を満タンにしておくのは、先述通り渋滞や通行止めに遭いやすくなるうえ、夏より冬の方が燃費が悪くなるためだ。立ち往生の際に燃料が切れれば、走行はおろか、その間暖房さえも使えなくなる。

 普段なら30分の場所ということで、残り3分の1の燃料で出庫したところ、雪による通行止めに当たり、3日間閉じ込められたというトラックドライバーは、燃料がカラになるのが心配で、その間、寒い中こまめにエンジンを切らざるを得なかったという。

◆長時間立ち往生では「エコノミー症候群」の危険も

2.非常食は必ず準備しておく

 今回、トラックドライバーに対して行なったアンケートでは、トラックドライバーが雪道を走る場合、カロリーメイトや菓子パンなど、3日〜1週間分の非常食を車内に準備している人が多いことが分かった。

 無論、飲料も必要。コーヒーやジュースなどよりも、やはり長期戦になると純粋な「水」が欲しくなるという。

 トイレが近くにない道路で立ち往生した場合、水分を摂るのを抑えたくなるが、これは絶対に避けるべきだ。

 狭い車内に長時間、水分不足で過ごすと、東日本大震災時に車中泊していた被災者にも見られたような「エコノミークラス症候群」になる可能性が高まるからだ。

 長時間立ち往生した際は、寒くてもこまめに外で体を伸ばしたり、車内でも極力足を心臓より上になるような体勢で過ごすことも、同症候群発症の防止になる。

◆必需品は、「スコップ」!

3.立ち往生時に必要な道具を載せておく

 非常食以外で絶対に必要になるのが、「スコップ」だ。

 立ち往生した際、外に出ず車内で待機し続けていると、最悪の場合、死亡することがある。

 その原因は「一酸化炭素」だ。

 積もった雪がマフラーの排気口を塞ぎ、排ガスが逆流。車内に溜まることで一酸化炭素中毒を引き起こすのだ。

 この一酸化炭素は無味無臭。症状も軽度の場合だとめまいや頭痛などのみなので、「環境のせいだろう」と気付きにくく、そのまま重症になると意識不明となり手遅れになるため、車外に出て定期的にクルマの後部に積もった雪を除雪する必要がある。

 その他、立ち往生した際の道具として、携帯用トイレや軍手、懐中電灯、毛布が車内にあるとより安心だ。毛布は防寒用としてだけでなく、雪道にハマった際の脱出時にも使える。

◆下準備は装備だけじゃない!

4.通る道を事前確認

 先述の通り、大雪の予報が出た時は、不要不急の外出を避けるのが一番のトラブル回避策になる。が、どうしても外出する必要があるのならば、通る道の状況を事前に把握しておくと危険予測がしやすい。

 峠越えをするトラックドライバーの場合は、SNSで発信される現場の状況だけでなく、国交省の峠のライブカメラ等でも、事前に道路状況チェックしたりするという。

 ちなみに、関東から北海道に移住したあるトラックドライバー曰く、「北国の人は、立ち往生した時に手伝ってくれる人が多い」とのことだった。

 「もがいた時に助けてくれたのは、近所の牧場経営者、道の駅の施設の方、近所の方、町の除雪担当の方でした。もちろん無償。地域柄なのか、タイヤショベルを準備している人も多いので、レッカー業者呼ばなくても助けてくれることが多いです」

 無論、自力での対処が大前提ではあるが、本当に困った場合は雪慣れした人に協力を仰ぐことも、二次的被害を未然に防ぐことに繋がるのかもしれない。

 例年に比べて雪が少ないと言われる今年の冬だが、一度雪が降ると交通が途端に麻痺する地域のドライバーは、雪国はもちろん、地元での降雪には油断せず対策しておいてほしい。

<取材・文・撮影/橋本愛喜>

【橋本愛喜】

フリーライター。大学卒業間際に父親の経営する零細町工場へ入社。大型自動車免許を取得し、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ足を運ぶ。日本語教育やセミナーを通じて得た60か国4,000人以上の外国人駐在員や留学生と交流をもつ。滞在していたニューヨークや韓国との文化的差異を元に執筆中。

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