部下に疎まれる上司はここがダメ。「改善するつもりがダメ出ししかできない」

部下に疎まれる上司はここがダメ。「改善するつもりがダメ出ししかできない」

photo via Pexels

 トップダウンの指示・命令のマネジメントだけでは、人は動かない。上司や先輩といえども、他の人から言われた内容は他人事だ。そこで、ボトムアップの巻き込み型のリーダーシップを発揮して、自分事に感じてもらって巻き込んでいく必要がある。

◆「改善したいこと」を答えてもらえない

 最も簡単な方法が、上司や先輩が指示・命令の代わりに質問を繰り出して、部下や後輩に答えてもらう方法だ。自分で言ったことは、自分事の度合が高まるという単純な原理を使った手法だ。

 ビジネスを伸展させていく際にキーになる局面が、これまで取り組んできた内容を改善する局面だ。同じことを実施していたのでは進歩はないわけで、うまくいっていたとしてもさらに良くするために、うまくいっていないのであればなおさら改善して、成果をさらに上げていく必要がある。

 この改善する局面での質問の繰り出し方が、最もむずかしいと言うビジネスパーソンが実に多い。「どう改善したいのですか?」と聞いただけで、部下や後輩は、「ダメ出しをされている」「改善策が正しいかどうか試されている」と思ってしまうケースが多いのだ。上司や先輩側は、そんなつもりはないにもかかわらずだ。

 「どう改善したいのですか?」と聞いて部下や後輩が口ごもってしまって答えないでいると、よくあるパターンが、上司や先輩が「思っていることを言え」「早く言え」「何も考えていないのか」……とたたみかけてしまい、部下や後輩を委縮させてしまう。そして、「改善したいことを聞く」という指示・命令の押しつけパターンに陥ってしまい、巻き込み効果がまったく働かないどころか、逆効果になってしまうのだ。

◆本題に入る前に段階的な質問を

 このように申し上げると、「質問しているのに、答えないとは、答えない部下や後輩が悪い」「こっちは改善したいことを聞いているだけなのに、それで答えないようだったら、指示・命令のマネジメントをするしかない」という声があがる。しかし、私はそうは思わない。こうした状況を防ぐために、最も有効な方法があるのだ。それが、段階的に質問する方法だ。

 段階的に質問するということは、いきなり「改善したいこと」を聞くのではなく、改善したいことを聞くということは、うまくいかなかったことがあるわけなので、「うまくいかなかったこと」を聞く段階をとるということだ。

 「うまくいかなかったこと」を聞くこと自体、部下や後輩に抵抗感を与えやすいし、「うまくいかなかったことも」あれば、「うまくいったこと」もあるはずなので、「うまくいかなかったこと」を聞く前に、「うまくいったこと」を聞くという段階をもつということだ。

◆質問内容をわけて順番に当てる

 「うまくいかなかったこと」を聞くことよりも、「うまくいったこと」を聞くことのほうが、相手に抵抗感を与えないとはいえ、いきなり「うまくいったこと」を聞くことは唐突だ。

 そこで、「うまくいったこと」を聞く前に、「やってみてどうだったか」というように、うまくいったとか、いかなかったとかという制約を与えずに自由に答えてもらう質問をする段階を入れる。

 以下の質問をこの順で繰り出すと、部下や後輩が、改善したことをスムーズに答えてくれる確度が高まる。是非、試してみていただきたい。

 ・やってみてどうでしたか?

 ・うまくいったことは何ですか?

 ・うまくいかなかったことは何ですか?

 ・改善したいことは何ですか?

◆部下が答えやすい質問を

 質問:改善点を聞いても相手が答えてくれない

 上司として部下に改善点を聞いたのですが、部下は答えてくれません。これまで質問したことなどなく、一方的に話していたので、部下は聞くことしかしていませんでした。突然、質問したので、めんくらったのかもしれません。 「今日もどうせ詰められる」と思って、口ごもったのかもしれません。どうすればよいのでしょうか?

 回答:段階的に質問をする

 改善点を答えさせるということは、相手にある程度ストレスを与えます。いきなり改善点を聞くと、そのストレスに対応できる準備ができていないことがあります。段階的に質問をしていって、改善点を答えさせることがお勧めです。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第171回】

【山口博】

(やまぐち・ひろし)

モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある

関連記事(外部サイト)