現役局員が激白。かんぽ生命の不適切契約で揺れる日本郵便、「局内はノルマ主義とパワハラ」

かんぽ生命の不適切契約問題で揺れる日本郵便 現役局員が「ノルマ主義」と明かす

記事まとめ

  • かんぽ生命の不適切契約問題で揺れる日本郵便だが、現役郵便局員が内情を激白
  • 保険の結果を出せない社員は、上司からよく怒鳴られていたという
  • 局内はノルマ主義で、保険を取るなら土日出勤やむを得ずが当たり前だったとか

現役局員が激白。かんぽ生命の不適切契約で揺れる日本郵便、「局内はノルマ主義とパワハラ」

現役局員が激白。かんぽ生命の不適切契約で揺れる日本郵便、「局内はノルマ主義とパワハラ」

郵便局の内情について語ってくれた

 昨年、かんぽ生命による不適切な契約が明らかになった。新卒2年目で関東某所の郵便局に勤めるコウさん(仮名)は「局内はノルマ主義」だったと話す。「働いている目的が見いだせない」が口癖の彼。局内では、保険の結果を出せない社員が上司によく怒鳴られていたという。

◆局内で感じたモヤモヤ 何かがおかしい

 東京都内にある飲み屋街。チェーン店ではなく、個人経営の居酒屋が立ち並ぶ。指定された店に入ると、スーツ姿の男性が奥の椅子にビールを飲みながら座っていた。名前は、コウさん。具体的な年齢は言えないとのこと。大学を卒業して2年目だという。

 コウさんは、関東地方にある4年制の私立大学を卒業後、日本郵便株式会社に入社。住宅街が立ち並ぶベッドタウンにある郵便局に配属された。来客した客にATMの案内などをする、銀行窓口業務に日々追われているという。

 働き初めて半年が経ったころ、コウさんは言葉に表せない感情を抱いたと話す。

「最初にいた局内の雰囲気はクソだよ。ノルマ主義だった。保険取るんだったら土日出勤やむを得ずが当たり前。主任とかが、詰められているのよ。もっと上のお偉いさんに。その偉い人がよく言うの。『(結果が出せないのは)何がダメなのか、考えたことある?』」

 段々と、コウさんは銀行窓口以外の業務を任されて始めた。コウさんは、業務の内容を心からやりたいとものだと思えなかったという。今年の頭に、精神が荒み、会社を数か月休職することになった。診断書には、健康上の理由で働くことを控える旨が記載されていた。

◆復帰直後にかんぽ報道。研修でようやく条件付解約の話

 3ヶ月が過ぎたころ、コウさんは職場に復帰。特例として、別の局へ移動になったという。一緒に仕事する人が変わっただけで、業務内容は変わらないと話す。この頃に、かんぽ生命の不適切契約について報道され始めたという。

 郵便局が販売するかんぽ生命の不適切契約が明るみに出たのは昨年の6月。旧契約と新契約を二重にして契約をさせる二重払いや、契約の切り替えの際に一定時間の間を空ける無保険状態を作っていた。どちらとも、新規契約として成果をあげるために行われたもの。企業側の身勝手な都合で顧客は二重の支払いをさせられたり、保険適用外期間を過ごすことを余儀なくされた。

 金融庁は昨年12月、顧客に不利益を与える不適切な保険販売を行ったとして、日本郵便に3か月間の一部業務停止命令を出した。

 コウさんはこう話す。「最近ね、研修があったんだよ。内容は条件付き解約。おせえよバカって感じ。どう考えてもよくないでしょ」。条件付解約とは、新契約の保障開始までの無保険状態のときに、保険給付事項が発生した場合、新契約を無効とし、旧契約を復旧させる取り扱いのことを指す。

 日本郵便は、乗り換え件数が少ないことを理由に導入を先送りしていた。また。一連の報道によると、日本郵便は「二重払いや無保険状態リスクは、社員が口頭でお客様に説明し、加入してもらっていた」と釈明している。

◆コネ入社だから辞めれない

 なぜ、コウさんは転職をしないのか。理由を聞いてみた。

「僕はコネ入社。おじいちゃんが郵便局を開いてて。簡易郵便局かな。郵便局のフランチャイズ契約と考えていただければ。なんかおじいちゃんがすごくて。家に安倍総理からもらった賞状があるんだ」

 コウさんは、精神の不調が起きた時に、転職を何度も考えたという。転職エージェントと何回も面談もしたと話す。自分の身内のことを考え、最終的には、転職を断念。長年続けてきた簡易郵便局を、自分で終わらせることに引け目があったという。

◆良いものを販売する会社になってくれれば

 2019年12月現在、日本郵便のホームページによると、郵便局は全国に2万4000局ある。そのうちの、4000局が簡易郵便局とのこと。簡易郵便局とは、個人または法人が日本郵便から委託を受け、郵便や貯金、保険といった郵便局の業務を行う。

 コウさんのおじさんは、某所の郵便局長だと話す。一家代々、郵便局の局員として働くのが当たり前だという。コウさんが物心ついたときには、「自分も郵便局員になるんだ」と内心思っていたとのこと。

 大学の就活時期では、「webテストだけ通れば、後は大丈夫だ」と聞かされていたという。webの学力テストは友人に頼み、適性検査だけ参考書で傾向を勉強したと話す。

 このことを近くにいる上司や局長は知っており、同期は知らないという。同年代に対して、何か後ろめたい気持ちははあるのかと聞くと、「クソみたいな保険を売ってる方が罪悪感がすごい」と返って来た。

 保険のこと以外に、コウさんの一番つらいことを尋ねてみる。「最終的には自分が選んだ道とは言え、辞めれないことだよ。この会社は、社長が辞任しても変わらないと思う。異様な空気は元からあったと聞くし。社内の風土を変えるのは、難しいよ。せめて、お客さんに届けるサービスが、良いものとなってさえくれれば」

<取材・文/HBO編集部>

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