暖冬でも要注意。トラックドライバーが教える「積雪の季節に備えて、注意すべきアイスバーンの種類」

暖冬でも要注意。トラックドライバーが教える「積雪の季節に備えて、注意すべきアイスバーンの種類」

これからの季節、ドライバーは積雪にご用心。特に雪道の轍はハマると危ない。

◆雪道の真の恐怖、「アイスバーン」

 「トラックドライバーが一般ドライバーに知っておいてほしい“トラックの裏事情”」をテーマに紹介している本シリーズ。

 前回は、トラックドライバーが雪に慣れていない一般ドライバーに教える「雪道を走る際に準備しておくべきモノ・こと」について述べたが、今回は、実際雪道を走行する際に注意すべき「アイスバーン」について紹介しよう。

 急ブレーキや急停止、急ハンドルなどは、路面の状態に関係なく普段の運転時から避けたい行為だが、雪道でこれらの操作をすると、大きな事故に直結する。その一番の原因が「アイスバーン」だ。

 アイスバーンとは、いわゆる「路面凍結」。

 道路に積もった雪が日中の気温上昇で溶け、夜に再び凍るとできるこの「天然アイスリンク」は、乾燥路面の8倍もすべりやすいと言われており、ひと度できると人間のハンドル・ブレーキ操作を大いに弄ぶ。

◆アイスバーンの厄介さは「滑る」だけじゃない!

 そんなアイスバーンには、以下のような種類がある。

1.圧雪アイスバーン

 

 交通量の多い雪道で起こりやすいのが「圧雪アイスバーン」だ。圧雪アイスバーンは、文字通り「圧縮された雪」のこと。

 

 多くのクルマによって走り固められた雪は「氷の板」と化し、ツルツル滑るようになる。さらに、昼夜の気温差で溶解・凍結を繰り返せば、その形状のままガチガチになっていく。

 こうして生じるのが「轍(わだち)」だ。

 

 轍は、雪で車線と歩道の境が見えない時の「道しるべ」になる反面、ハマると抜け出せなくなる危険性がある。

 深く硬い轍の場合、タイヤが滑るだけでなく、バンパーやクルマの底部が雪の凸部分と当たり抜け出せなくなるため、特に注意が必要だ。

 万が一轍にハマり、滑って止まらなくなった場合は、轍の先を見るよりもまずは周囲の障害物を確認し、落ち着いてゆっくりハンドルを切りながら手に伝わる振動と音でタイヤの食い付きのいい雪部分を見つけて脱出するといい。

◆スタッドレスタイヤが生み出してしまう「ミラーバーン」

2.ミラーバーン

 ベテランの雪道トラックドライバーら曰く、この圧雪アイスバーンよりも怖いのが、「ミラーバーン」だという。

 「ミラーバーン」は、鏡のように雪がツルツルになっている路面のこと。

 雪道では当然、ノーマルタイヤよりも溝の深いスタッドレスタイヤで走るクルマが増えるが、皮肉なことに、このスタッドレスタイヤが雪道の水分を吸い取りながら路面を踏み固めるため、ミラーバーンを発生させやすくしている。

 またこのミラーバーンは、クルマの停止・発進時に発生する摩擦熱などによって解凍・凍結・研磨が繰り返されると起きるため、交差点付近にできやすいという特徴もある。

 ゆえに、信号待ちから急発進などすれば、進入した交差点はもはやスケートリンクというより「ビリヤード台」。次々に玉突き事故を起こしかねない。

◆もっとも恐ろしい、無色透明な「ブラックアイスバーン」!

3.ブラックアイスバーン

 さらにこのアイスバーンには、雪が降っていない地域の路面でも起こり得るケースがある。

 中でも怖いのが、「ブラックアイスバーン」だ。

 路面が濡れているだけのように見えるが、実は凍っているという状態。

 気付きづらいため、気温が下がり、視界も悪くなる夜や早朝などは特にスピードを上げた運転は大変危険だ。

 濡れた地面だと思って速度を落とさず突っ走れば、もはや現場は「ボーリング場」と化し、大規模な衝突事故の要因となる。

 これらのアイスバーンは、先述した交差点だけでなく、橋の上や陸橋、トンネルの入り口、高層ビルの陰など、風通しが良く、地熱の影響を受けにくいところにも発生しやすい。

 ベテランの雪道トラックドライバーらに聞いたところ、彼らはアイスバーンでスリップしても、下手にハンドル・ブレーキ操作はしないとのことだった。たとえスリップしても、落ち着いてそのまま何もせず突っ切れば、状況を回避できることを知っているからだ。

 さらに「スリップ」でいうと、雪道を歩いた後の靴にも注意が必要になるという。

 運転前、雪が溝などに入ったままの靴で運転すると、アクセルやブレーキを踏んだ際に滑ってペダルを踏み外す場合があるのだ。

 暖冬で雪の少ない今冬。気を抜きやすいが、3月や4月に大雪が降ることもあるため、引き続きドライバーは注意して運転してほしい。

<取材・文・撮影/橋本愛喜>

【橋本愛喜】

フリーライター。大学卒業間際に父親の経営する零細町工場へ入社。大型自動車免許を取得し、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ足を運ぶ。日本語教育やセミナーを通じて得た60か国4,000人以上の外国人駐在員や留学生と交流をもつ。滞在していたニューヨークや韓国との文化的差異を元に執筆中。

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