「ママの負担を知ることで、パパの行動が変わる」夫婦で家事や育児分担を話し合う冊子制作プロジェクトが進行

「ママの負担を知ることで、パパの行動が変わる」夫婦で家事や育児分担を話し合う冊子制作プロジェクトが進行

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 ママ向けQ&Aアプリ&情報メディア「ママリ」を運営するコネヒト株式会社は、パパの育休中の過ごし方を夫婦で考える冊子制作を企画。制作に充てる費用を集めるクラウドファンディングを昨年11月から進めている。期限は2月8日までで、達成後には全国約10万人の妊婦に配布予定だ。

 同プロジェクトを主導する「ママリ」編集長の湯浅大資さんは、「パパが育休を取っても何をすればいいかわからず、ママの負担になってしまうことがあります。ママが妊娠中からパパが子育てで担える役割をしっかり話し合えれば、夫婦が一緒に協力して育児に向き合えます。そのためのツールを作りたい」と意気込みを話す。

◆毎日の育児に限界!「子どもと入浴中に涙が出てきた」

 湯浅さんは「ママリ」を運営する中で、ママたちの苦しさを強く感じてきた。アプリへは子育てを一身に背負うママたちから、

「夫は平日6:30〜21:00頃までは仕事で家にいません。土日祝日も家にいても洗濯物やお風呂などは私の仕事。さっき子どもとの入浴中にふと涙が出てきました」

といった悲痛なコメントが寄せられている。

「これはほんの一例で、他にもたくさんの『つらい』との声があがっています。この状況を解決するにはどうすればよいかを考えた時、私はパパの存在に注目しました。

 子どもが生まれてから、試行錯誤をして育児をするママと違い、パパは傍観者となりがちです。夫婦間で育児のスタートラインに差が生まれ、結果としてママの負担が強まるわけです」

◆育休を取ったのに、男性の1日の家事育児時間「2時間以下」が3割

 湯浅さんは、男性の育休に着目した。産後の時期にパパがママに寄り添えば、育児の戦力となる。本来は頼れる存在のはずなのだが、ママの中には「育休を取って欲しくない」と思う人もおり、湯浅さんは驚いたという。

「育休の現状を知るべく昨年10月、子どもが一人以上いるママリユーザー約4000人を対象にアンケート調査を実施しました。その結果、育休を取得した508名のパパの3人に1人が、1日に家事・育児を『2時間以下』しか行っていないことがわかりました」

 中には「5時間超〜8時間以下」(11.6%)、「8時間超」(20.1%)というパパもおり、主体的に家事と育児に取り組むケースもある。しかし育休を取り家にいるにもかかわらず、「2時間以下」は少なすぎる。パパが育休を取ると、ママの負担が増す「逆効果」が起こってしまいかねない。

 調査ではママたちから、

「育休を取っても家でだらだら。結局家のことは私がやっていた。体力も完全に戻っていなかったので、もっと家事をやってほしかった」

「4日しかない育休を自分の都合で日にちを勝手に決めて、その内何日かは自分が遊びに行くことに使ったので、育児をする為に育休を使って欲しかった」

といった不満が寄せられている。

 厚労省の2018年度の調査では、男性の育休取得率は6.16%と過去最高だ。しかし「中身の伴わない育休」を増やしても意味がない。コネヒトはこのような状態を「とるだけ育休」と表現している。

◆プレパパ向けのワークショップで男性が気づいた「ママの負担」

 同調査では、育休中に夫婦間で家事や育児の分担がうまくいっているケースほど、夫婦幸福度が高いこともわかった。

 そこで湯浅さんは、妻が妊娠中の段階からパパが育休を取った後にどんなことができるのかを話し合えるツールを作ろうと思い立つ。これが現在推進中の育休冊子プロジェクトに繋がっている。

 冊子の内容は、2019年9月にプレパパを対象に実施したワークショップ、「パパ2.0〜『育休』をハックしよう〜」をベースとした。

「ワークショップでは、月齢ごとの育児タスクやママの悩みをまとめた表を用意し、パパたちにわかりやすく説明しました。中には『料理が得意なので、子どもの離乳食が始まる頃からが自分の出番だと思っています』と話したパパがいらっしゃいましたが、ママや子どもの変化をデータで示すことで、産後すぐから関わる必要性を感じてもらえました」

 ワークショップはパパ単独で取り組むだけでなく、帰宅後に奥さんと話し合う必要があるワークもあった。

「『育休をいつ取得するのか』『その時にはどんな役割分担をするのか』をお子さんが生まれる前から夫婦で考える機会を持っていただけるよう企画しました」

 「とるだけ育休」になってしまうのは、男性の育児に対する知識不足が考えられる。前述のワークショップや現在企画中の冊子のように、ママの負担を知り、育休中にどう行動すべきかを学ぶ機会があれば、家事や育児に男性が向けるアプローチは変わってくるはずだ。

◆育休の取得は、ゴールではない

 育休冊子制作のクラウドファンディングを進める「コネヒト」社内では、育休取得で感じた良い点について以下のような声が挙がっている。

 男性からは「こどもの日々の成長をじっくり見られた」、「仕事による忙しさ、疲れがない状態で子どもに向き合えた」など、自分の子どもと過ごすことの楽しさに関する意見が多かった。

 一方で夫が育休取得経験がある女性からは、

「初産で不安だったけど、一人じゃない安心感があった」

「睡眠時間が少なかったけど、朝はパパに子どもを見てもらったので午前中に寝ることができた」

「パパに任せてカフェや美容院に行けたので、気分転換ができた」

など、育児の担い手が複数いることで負担が軽減できたことにメリットを感じた、という声が目立っている。

 湯浅さんは、「男性育休は、パパにとってもママにとってもよい機会だと思っていますが、取得することが目的になってはいけないなと。夫婦が男性育休をどう使うかを見つめるきっかけとして、夫婦が一緒に育児のスタート地点に立つ気持ちを持つのが大切だと思っています」と語った。

<取材・文/薗部雄一>

【薗部雄一】

1歳の男の子を持つパパライター。妻の産後うつをきっかけに働き方を見直し、子育てや働き方をテーマにした記事を多数書いている。

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