迷宮化する「魔都シブヤ」。混乱と低迷にZeebra氏が提言

迷宮化する「魔都シブヤ」。混乱と低迷にZeebra氏が提言

日中に数多くいる外国人観光客が、夜には渋谷からいなくなってしまうのは、宿泊施設の少なさによるものだという声も聞かれた

再開発が続く渋谷。だが、現状の駅構内はまるで迷宮のように入り組み、街は分断。その混乱ぶりは渋谷を愛する人々も認めるほどだ。この状況はいつまで続くのか?

◆迷宮化する渋谷駅周辺。「空中回廊」完成まで辛抱!?

「山手線を降りて新南改札まで歩けっていうんですか?」

「あなたならできるわ」

 これは、JR東日本が2月27日まで開催している「機動戦士ガンダムスタンプラリー」誘導ポスターに表記されたセリフだ。

 JR渋谷駅のスタンプの設置場所へは山手線ホームから埼京線・湘南新宿ライン新南改札方面へ繋がる連絡通路を歩かねばならない。スタンプラリー参加者たちも「渋谷駅は最大の難所」と語る。

 これは渋谷駅の「迷宮ぶり」を逆手に取ったJRの“自虐ネタ”と言えるが、1月3日には東京メトロ銀座線の渋谷駅新駅舎が開業。これで渋谷駅の「迷宮化」にさらに拍車がかかった。井の頭線・銀座線間の移動には倍以上の時間がかかるようになり、大混雑した。

◆続く再開発への不満は’27年に解消される?

 再開発により、駅構内のみならず街自体が混乱している現在の渋谷。’12年の渋谷ヒカリエの開業に始まる「渋谷駅周辺再開発プロジェクト」の工事が延々と続いており、「混雑している上に通路が狭い」「ぐるぐると階段を上り下りする毎日に疲れた」などの不満の声が聞こえてくる。一体この状況は、いつまで続くのだろうか?

「’18年あたりから’19年にかけての『渋谷スクランブルスクエア』『渋谷フクラス』『渋谷ストリーム』の開業により、完成のメドがつき始めました。これから3月の『東急東横店』の閉館、東京オリンピックを経ての解体工事、そして桜丘町付近の開発が続き、’27年の完成を予定しています」

 そう語るのは、渋谷観光協会理事長の金山淳吾氏だ。現在の駅の複雑化や乗り換え時の不便さなどを十分認識したうえで、「この15年くらいの開発期間に、渋谷駅が『使いにくい・わかりにくい・行きたくない』とマイナスなイメージを持つ世代をつくってしまったのは事実。しかし、この再開発は『改悪』ではなく『改善』。現在はあくまで“過程”にいる段階ととらえていただければ」と「未来の渋谷像」を教えてくれた。

◆不便な渋谷駅はあと7年続く!

 なんと、将来は渋谷駅周辺が「空中回廊」で繋がり、劇的に移動が楽になるのだという。

「現在、実験的に完成しているのは、『渋谷マークシティ』4階の動線を使った道玄坂まで通じる歩行者動線です。将来的には駅ビルを柱に各所を“空中回廊”で繋ぐ『アーバンコア』事業を推進しています。完成すれば、『道玄坂』、『渋谷マークシティ』、JR、銀座線・桜丘町方面、『渋谷ストリーム』まで、すべて平面移動の歩行動線が確保される予定です」

 また、冒頭に触れたJR「新南改札」にも変化が訪れるようだ。「東横線の地下化と銀座線の移動により、現在JRの空間を確保している状態。今春をめどに、埼京線・湘南新宿ラインのホームは山手線ホームと並列化する予定です」

 渋谷が未来都市化するまでの道のりは、そう遠くはないはずだ。

◆夜の渋谷の人口減。打開策をZeebraが提言

 今の渋谷は金曜日の夜すら静かだ。

「渋谷で明け方まで開いているのは駅周辺の居酒屋チェーンかクラブ、一部のバーくらい。ちょっと歩けばもう真っ暗ですよ」

 そう語るのは宮下公園近くにあるバーのママだ。急増した外国人観光客も、終電を過ぎた頃にはほぼいなくなり、かつてのギャルやチーマーのような「道端でたむろする若者たち」も減ったという。

 いったい、渋谷に何が起きたのか? HipHop界のレジェンドであり、渋谷区ナイト観光大使のZeebra氏に聞いた。

「我々の世代は『とりあえず渋谷に行けば何かある』という感覚がありましたよね。渋谷区長の長谷部健さんと対談したとき、彼から『渋谷で生まれた文化はすべてストリートから始まった』というパンチラインが出て(笑)、でも、確かにそうだったな、と」

◆もともとの渋谷の機能は変わってない。夜の文化を世界に!(Zeebra)

 この変化はSNSで人と繋がる時代になったから、とZeebra氏は分析する。だが、決して渋谷の魅力が衰えたわけではない。

「風営法の改正で、ナイトクラブが明け方までオープン可能に。店内の明るさの規制などがあるものの、それが逆に’90年代の“怖い渋谷”から“クリーンな渋谷”、“来やすい街”へと印象を変えました」

 さらにZeebra氏は渋谷のクリーン化の理由として、若者の意識の変化を挙げる。

「’90年代のチーマーと現在のギャル男も、見た目はいわゆる“不良”スタイルの若者なのは変わらない。しかし、持っている感覚は逆。僕と同じ渋谷区観光大使の『あっくん』というギャル男くんは、毎年ハロウィーンのときにゴミ拾いをしてくれます。こんなの、昔では考えられない(笑)。“行き場がないから行っていた渋谷”から“自分たちの街だから守っていきたい渋谷”へと、若者の街への意識が変わったのでしょう」

 一方で、「あまり『渋谷はクリーンになった』って言わないで、とも思う人もいる(笑)。犯罪などは論外ですが、ちょっとした夜のスリルがあってもいい」と笑うZeebra氏。渋谷のナイトカルチャーを世界に広めるために改善すべき点は交通機関だという。

「東京オリンピック期間には終電を2時間遅らせるというニュースもありました。週末だけでもこれを続けてもらえれば、飲食店も長く開けられ、経済も回る。これは今後、ナイトタイムエコノミー議連でもどんどん提案していきます」

【Zeebra氏】

’95年、「キングギドラ」のフロントマンとしてデビュー。ネットラジオ局「WREP」の立ち上げや「フリースタイルダンジョン」のオーガナイザーなど活動は多岐にわたる

<取材・文/週刊SPA!編集部>

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