上司と部下でバトル勃発。意欲を減退させるだけの無駄な評価面談の特徴

上司と部下でバトル勃発。意欲を減退させるだけの無駄な評価面談の特徴

photo via Pexels

 期末になると上司と部下の間で、評価面談が実施される。評価を上司から部下へ言い渡すだけという会社もあるが、上司と部下ですり合わせる面談をする会社も増えてきた。評価を部下に納得してもらい、次の期間にさらにがんばってもらうためだ。

◆評価すり合わせ面談でやる気減

 しかし、これがうまくいかない。上司はC評価だといい、部下はB評価だと反論し、かみ合わないまま時間が過ぎていく。結局、最後はすり合わせができないまま、上司の評価のまま決定される。次の期間にさらにがんばるどころか意欲を低下させてしまうわけだ。

 上司側に聞くと、「自己評価は甘くなるのが当然だ」「評価するのは上司が上司たるべき権限だ」「そもそも評価を部下とすり合わせることがおかしい」……というような、すり合わせすることに内心納得していない様子がうかがえる。

 一方、部下の側からは、「自分のことは自分が一番わかっている」「上司は部下をよく見ていない」「評価面談になると、上司と部下が裁く人と裁かれる人の関係になり、不愉快」というように、これまた評価面談に抵抗感をもっている。

 これでは、評価すり合わせ面談が機能するはずがない。だとすれば、やるだけ無駄で、時間も無駄。評価すり合わせ面談などやらないほうがましということになる。私は、この考え方に賛成だ。評価すり合わせ面談などやらないほうがよい。

◆「うまくいかなかったこと」を聞けるかがカギ

 そもそも、評価すり合わせ面談の目的は、部下の評価の間違いを正し、上司の評価に合わせることではない。次の期間にパフォーマンスをさらに発揮してもらうために、取り組みのすり合わせをすることだ。

 うまくいった点は、さらにうまく実施させる、うまくいかなかった点は改善させるために、うまくいった点、うまくいかなかった点をすり合わせることだ。そうすることで次の期間に改善できる点、上司がサポートできる点が明確になる。

 そのうえで、上司が部下を裁く人になってしまったら、すり合わせ面談がうまくいかないのは当たり前だ。上司が部下を裁く人になってしまったら、評価伝達の面談にするしかない。

 上司が部下を裁く人にならずに、上司が部下を応援する人になって面談すれば、すり合わせはうまくいく。上司が部下を応援する人になっているかどうかは、相手を巻き込む5つの質問の中の、「うまくいかなかったことは何ですか?」の質問の仕方でわかる。

●相手を巻き込む「5つの質問」

1:やってみてどうでしたか?

2:うまくいったことは何ですか?

3:うまくいかなかったことは何ですか?

4:どのように改善したいですか?

5:サポートを得たいことは何ですか?

◆ダメ出し面談を払拭

 「うまくいかなかったことは何ですか?」の質問をして、部下から「うまくいかなかったことはありません」「別にありません」という答えが返ってきたら、裁く人の面談になっている可能性が高いとみたほうがよい。部下が抵抗感をもっている証拠だ。

 この場合は上司が、自分はそのようなつもりはなくても、詰問口調になっていたり、言葉は柔らかでも視線や姿勢が強圧的になっている場合が多い。自分が面談している姿を自撮りして自分で確認すると、すぐにわかる。

 その可能性のある人は、いきなり「うまくいかなかったことは何ですか?」と聞くのではなく、「次の期間にさらに成果を上げてもらうために、応援したいと思って聞いているのだが」「誰しも壁にぶつかることはあるが」「やりづらかったことはあるか」というような前置きをしたり、柔らかな表現で質問すると、部下の抵抗感を払拭できる場合が多い。

 部下に抵抗感をもたれてしまい、評価のすり合わせができない上司は、日頃からダメ出しをしているケースが多い。ダメ出しがダメだとは言わない。しかし、評価をすり合わせる面談では、「これはダメ出し面談ではない」「さらなる成長のために応援するための面談だ」ということを、強調しなければならない。

 だとすれば、そもそも、評価のすり合わせの面談という言い方をやめたほうがよい。そのような言い方をするから、言葉が独り歩きして、裁く人と裁かれる人の構図をつくってしまう。むしろ、「成果を促すための面談」「成長を促すための面談」という言い方にして、相手を巻き込む5質問をする面談を実施すればよい。

◆部下の答えを引き出す質問術

 質問:「うまくいかなかったことは何ですか?」の質問の繰り出し方

 「うまくいかなかったことは何ですか?」の質問は、具体的にどのように繰り出せばよいのでしょうか?

 回答:相手の抵抗感を払拭する

 「うまくいったことは何ですか?」という質問に答えてもらったあとに、うまくいかなかったことを聞きます。うまくいかなかったことを認めたくないという心理や、うまくいかなかったことを話すと評価を下げられてしまうのではないか という懸念が働いて、うまくいかなかったことを話したがらない人がいます。改善することに上司として協力したいために聞いている、一層の成長のために聞いているというニュアンスを込めることで、答えを引き出しやすくなります。

 以下の質問の2番目、3番目は、答えを引き出しやすくする表現の例です。

●「うまくいかなかったことは何ですか?」の質問例

・一方、うまくいかなかったことは何ですか?

・うまくいったこともあれば、うまくいかなかったこともあるのが常です。今回は、うまくいかなかったことは何ですか?

・順調に進んで良かったですね。壁にぶつかったことはありましたか?

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第176回】

【山口博】

(やまぐち・ひろし)

モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある

関連記事(外部サイト)