日本を知る外国人が指摘する、「日本で感染症が広がりやすい」と思えるワケ

日本を知る外国人が指摘する、「日本で感染症が広がりやすい」と思えるワケ

"日本で感染広がり易い"指摘

日本を知る外国人が指摘する、「日本で感染症が広がりやすい」と思えるワケ

imageteam / PIXTA(ピクスタ)

◆日本国内でも「次のフェーズ」に写ったCOVID-19

 新型肺炎COVI-19の感染拡大がいよいよ本格的に始まった。

 2月21日時点の世界28か国の感染者は7万5000人超。死者は2000人を超えてる。

 そのうち日本国内で確認された感染者は728人(参照:日テレNEWS)。初めて死亡者が出たという報道が流れた時は、日本中が一瞬にして緊張感に包まれた。

 以降、感染経路が不明な患者が確認される日々に鑑みても、流行度におけるフェーズは一段上がったと捉えて間違いないだろう。

 そんな中、各地・各団体で広まっているのが、国内での行事やイベントなどの「自粛」や「キャンセル」だ。

 即位後初となる天皇誕生日(2月23日)に予定されていた皇居での一般参賀が中止となったほか、街中を歩く外国人観光客も目に見えて減少。中国からの旅行者だけなく、アジア全体を敬遠する欧米系の外国人も日本にやって来なくなっている。

 国内の宿泊施設には、海外からだけではなく日本からもキャンセルが後を絶たず、ある県では宿泊キャンセルが3万件を超えたという。

 タクシードライバーの「夜の乗客が激減した」との話から、仕事の帰りのサラリーマンたちも不要不急の飲み会や会食を避けていることが想像できる。

 また、日本語学校関係者らに話を聞くと、4月期から入学予定だった学生からのキャンセルが出たり、自国の家族や友人から一時帰国を勧められる学生もいるとのことだった。

 こうした「自粛」の中でもとりわけ、国内はもとより海外に動揺が広がったのは、「東京マラソンの一般参加者中止」だ。それは何より、5か月後に迫った東京オリンピック開催への懸念がチラつくからに他ならない。

 SNS上には海外から、

「東京マラソンの一般参加が新型肺炎で中止になったと聞いて驚いた。そのほうが安全だって分かるけど、4か月半後に同地でオリンピックあるんだよね」(原文ママ訳)

「東京マラソンがキャンセルになったと。次は東京オリンピックか……」

「東京マラソンの中止はオリンピックが脅威に晒される可能性を助長している」

などといった声が多く漏れ聞こえてくる。

 また、アメリカのメディアCNNが「東京オリンピック コロナ流行の中対策もなく“万事順調”」 といった皮肉満載なタイトルを付け報じているのをはじめ、海外では国内以上に「日本の災害対策」を懸念する声も高まっている。

◆外国人が、日本は感染拡大を防ぎにくいと思うワケ

 一方、日本を知る外国人からは「日本は感染が広まりやすい」と推測する声もある。

 先日、日本に滞在歴のあるニューヨーク在住の外国人ジャーナリストたちとテレビ電話で打ち合わせをしていた時、こんな話になった。

「日本は一度広まったら文化的背景からも感染を食い止めにくいのでは」

 彼らが指摘するように、日本にはこれらのような文化的生活習慣がある。

1.病院にすぐ通う

 医療費の安さも手伝い、軽度の症状でもすぐに医療機関にかかろうとする日本の「念のため精神」は、今回のような病気の感染拡大には悪く作用する可能性がある。

 現在、次のフェーズへと移った日本において、もはや軽度の症状で病院へ行き受診することは、他人にウィルスを移したり、逆にただの風邪だった状態からウィルスを移されたりする危険性をはらむ。

 実際に国内の感染者を見ると、院内でヒトヒト感染したと思われる医師や看護師、患者も多い。受診するタイミングを誤れば、病院は「病を治す」ところから、「ウィルスをもらいに行ってしまう」ところへと様変わりしてしまうのだ。

 とりわけ病院には基礎疾患を持った病人、抵抗力の弱い子どもや高齢者が多いため、感染すれば重症化する危険性も高まる。

2.「正装」を求める現場

 日本には、「客の手前や公共の面前では“正装”でいなければならない」という謎な感覚がある。百貨店などでのマスク着用禁止や、「Ku Too運動」への反発などがそのいい例だ。

 マスクにおいては、2年ほど前にハーバー・ビジネス・オンラインでも「日本人の”マスク愛”の根源は何なのか? その周辺にある感情を探ってみた」なる記事を書いたが、今回の新型肺炎騒動以降、マスクに対する感覚は若干変わったように感じる。

 中でも思うのが、黒をはじめとする「色付きマスク」に対する抵抗感が若者を中心に大きく減ったことだ。「自分は黒マスクはしない」としても、他人の装着を受け入れる人は確実に増えた。もはや現在はマスクの色にこだわっている場合でもなくなったと言えるだろう。

 しかし、不特定多数の客と接する店員やスタッフのために「マスク装着にご理解ください」なる断りの掲示板が貼られたり、この期に及んで「マスクの色は白以外着用禁止」とする教育機関や団体が存在することに鑑みると、いまだ「予防」より「見た目」が大事なのかと思わずにはいられない。

◆休まない企業風土がパンデミックに繋がる!

3.微熱や咳程度で休まない

 今回話をしたジャーナリストたちが「日本人の最も改善すべき点」としたのが、「病気をしても休まない働き方」だった。

 体調不良を押してまで出社することを「美徳」とすら捉える日本の感覚は、そろそろ本気で直した方がいい。

 今回感染が確認されたNTTデータの協力会社社員である20代の男性は、発熱後に肺炎と診断されて入院するまでの数日間、東京都内の勤務先まで電車で通勤。また別の感染者も、せきや発熱の症状が出た後に新幹線で出張している。

 政府はこのほど「風邪症状なら学校・会社休んで」と呼びかけたが、学校はともかく仕事になれば恐らくそう簡単には休まない・休めないのが日本の“働き方”の現状だ。

 実際、共同通信によると、2月上旬に取った民間アンケートでは実に83%の人たちが「体調不良でも出社する」と回答している。

◆成果よりも「皆勤」や「協調性」を重んじる精神

 一方、2019年4月から順次施行されている「働き方改革関連法」には、働く時間や場所にとらわれない「テレワーク」の推進が盛り込まれているが、現状は多くの企業で上手く活用されているようには思えない。

 それには、労務管理やセキュリティ上の問題以上に、個人的に日本には「成果」よりも「皆勤」をよしとする風潮や、「協調性」、「同調性」といった“過度なワンチーム精神”が根強くあるのが一因だと感じる。

 会社は思っている以上に弱くない。自分がいなくても世の中は順調に回るもので、体調が少しでも悪いと思えば周囲の人のためにも念のため休み、必要ならば家でのテレワークで業務を続ければいい。

 早めに休むことはこの時世、もはや「エチケット」でもある。

 止まらない国内でのヒトヒト感染。5か月後、東京の沿道や競技場は、無事に世界中の人でいっぱいになっているのだろうか。

 日本のウィルス対策は今、全世界から注目を浴びている。

<取材・文・橋本愛喜>

【橋本愛喜】

フリーライター。大学卒業間際に父親の経営する零細町工場へ入社。大型自動車免許を取得し、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ足を運ぶ。日本語教育やセミナーを通じて得た60か国4,000人以上の外国人駐在員や留学生と交流をもつ。滞在していたニューヨークや韓国との文化的差異を元に執筆中。

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