少子化の原因、7割超が「子育てと両立しやすい仕事が少ない」と回答

少子化の原因、7割超が「子育てと両立しやすい仕事が少ない」と回答

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 主婦に特化した人材サービス『しゅふJOB』の調査機関しゅふJOB総研が、働く主婦を対象に『少子化について』をテーマとしたアンケート調査を実施した。「少子化の原因は何だと思うか」、そして「少子化を社会問題として捉えるか、また解決することが可能だと思うか」を問うというシンプルな調査だが、その回答からは少子化を取り巻く根深い課題が見えた。調査結果を参照しながら、考えてみたい。

◆少子化の原因は「仕事・お金・負担」に集中

 「少子化の原因は何だと思いますか?」という問いに対する回答は、「子育てと両立しやすい仕事がない」が70.3%で最多となった。次いで多かったのは「子育てにお金がかかり過ぎる」(69.7%)、「子育ての負担が女性に偏っている」(67.0%)だ。次点が39.6%(「共働きが増え、専業主婦・主夫になりづらい」)であることを踏まえると、働く主婦が考える少子化の原因は「子育て」に関する仕事・お金・負担に集中していると読み取れる。

 また、回答者の子どもの有無・人数によって内訳を見てみると、子どもがいない回答者は「子育てと両立しやすい仕事が少ない」「子育ての負担が女性に偏っている」を少子化の原因の1位・2位に挙げている。一方で、子どもが2人以上いる回答者は「子育てにお金がかかり過ぎる」を1位としている。

◆「出産や子育てはキャリアにとってマイナス」3割超

 上記の結果からは、子どもがいない主婦が子どもを持つことを躊躇する要因として、金銭面よりも、仕事との両立や子育ての負担への不安が大きいということが推測できる(もちろん、産みたくても産めない、という個別事情の可能性はあるが)。

 また、「出産や子育てはキャリアにとってマイナス」だと回答した人が3割超も存在していることも無視できないだろう。一方、子どもが複数人いる家庭においては、急速に子育てへの金銭的な負担を感じやすい構造になっているものと見受けられる。

◆3割超「少子化は解決不可能」

 さらに踏み込んで「少子化について、あなたの考えに近いものをお教えください」という質問に対しては、48.1%が「解決することが可能な社会問題である」と回答。次いで34.4%が「解決することが不可能な社会問題である」と答えた。8割超の人が「少子化」を社会問題として捉えている一方で、3割超が解決不可能であると考えていることは特筆すべきであろう。

 それぞれの回答者のコメントをみると、その課題意識のあり方がはっきりと見える。少子化は解決可能だと考える回答者は「保育園の整備など、預ける環境と働きやすい環境が整えば、解決できる問題」「ばらまきの給付だけでなく、減税や学費援助等、世帯の所得を守るような政策により解決可能」「フランスや北欧諸国での政策の成功をみれば、日本でも可能」と、政策如何によって解決が可能だと考える人が多い。

 一方で、解決不可能だと考える人の中には「子どもがいない、いてもお金に困らず生活できる人たちだけで行う政治だから」「この十数年間で特に目立った効果のある政策が思いつかないため」などと、これまでの政策への失望とも取れるコメントもあった。政策に期待を持てるか否かが、解決可能と考えられるかどうかの分かれ目なのかもしれない。

◆「子どもを産みたい」と思わせる政策を

 また、そもそも少子化の根本要因として、子を持つことに対する考え方の多様化に言及する声もあった。「女性も男性も生き方は多様化してるし、晩婚化は当たり前になっている」「誰にでも当てはまるようにルール化できる問題ではない」などだ。

 そもそも子を持つことを希望しない人に対して強制するような話ではないことは大前提であるが、現在子育てをしている人や将来子を持ちたいと思っている人が子育てに関してポジティブな思いを抱いていない中では、「子を持ちたい」と思える人が減っていくのは自然なことではないだろうか。

 多様な考え方があることは踏まえた上で、少なくとも少子化を解決すべき社会問題として捉えている政府は、子育てに関してポジティブな選択ができるように政策を工夫する必要があるだろう。

◆「少子化問題」はいくつもの社会問題と関連している

 今回の調査結果を踏まえ、しゅふJOB総研所長の川上敬太郎氏は「この3項目(『子育てと両立しやすい仕事が少ない』『子育てにお金がかかり過ぎる』『子育ての負担が女性に偏っている』)は密接に関連している面があります。子育てと両立しやすい仕事が見つかれば、その分の収入を子育て関連の費用に充てることができます。生活のために夫婦で十分な収入を得る体制をとるためには、子育ての負担が女性に偏っていては無理が生じます」とコメントしている。

 少子化の問題は、多数の社会問題との関連が強いと考える。男性・女性問わず働き方をどう変えていくのか、経済格差をどう解決していくのか。それらが動き始めて、やっと子育て環境は変化するのではないだろうか。

 私自身、子育てを考える年齢ではあるものの、周囲の子育て状況や社会の風潮を見るに、とにかく「子育ては大変だ」という印象を強く持ってしまう。安定した雇用や社会保障、子育てに対する社会の前向きな支援などがあって初めて、「子どもを産もうかな」と思えるものだ。少子化をどうにかせねば、と一点集中で捉えるのではなく、政策によってその周辺環境にアプローチするところから、始めるべきだと考える。

<文/太田冴>

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