LGBT被収容者に対する差別やイジメも。入管の被収容者たちが国会議員に訴えた人権侵害

LGBT被収容者に対する差別やイジメも。入管の被収容者たちが国会議員に訴えた人権侵害

石川大我議員の司会のもと、集会を進める

◆関心を抱く議員も増え始めた「入管問題」

 ここ最近、入国管理局による外国人被収容者への人権侵害に関する報道が目立っている。そのためか、少しずつではあるが、国会でもこの問題に関心を持つ議員が少しずつ増えてきている。

 1月23日、衆議院会館の地下で、「入管の収容問題の改善を求める緊急院内集会」が立憲民主党・石川大我議員の主催で行われた。会場は急な告知にも関わらず、多くの国会議員や弁護士、支援者、メディアなどで活気づいていた。

 石川大我議員はこう語った。

「自分も牛久入管へ何度か足を運び、関心を持っている。他にも関心を持ってきている議員も増えている。そういう議員たちをどんどん集めて、変えていくための力にしていきたい」

 登壇者には、入管問題に詳しい大橋毅弁護士。仮放免者からはイラン出身のベヘザードさん、スリランカ出身のダヌカさん、ペルー出身でLGBTのナオミさん(通称名)の3名。いずれもその直前に入管の収容施設から仮放免されたばかりの人たちだった。

◆入管は税金を使いながら“反日収容者”を育てている

 イラン国籍のベヘザードさんは、長い収容生活に対してハンガーストライキを行ったため去年に仮放免が出たものの、わずか2週間で再収容された。今年もまた仮放免が出たにもかかわらず、その期間はやはり2週間のみ。1月28日に再収容されてしまった。

 ベヘザードさんは「緊張して声が震える」と言いながら、マイクを持ち自分の思いを訴えた。

「私は帰国した場合、迫害の可能性があります。たとえ帰りたくても自分の国で問題があるから、帰る場所がない。一方的に退去強制を出す入管、帰れない収容者。収容の期間も決まっていない。収容者の命が入管に握られています。

 国民に選ばれた国会議員の方に、国民に伝えるメディアの方々に私の声を届けたい。私は犯罪人ではないのに、尊厳と人生が奪われている。

 入管は『国民の安全を守る』と言いながら、税金を使いながら“反日収容者”を育てています。私たち外国人は日本に希望を持ち、来日したのは幸せになるためだったが、幸せじゃありません。収容されているみんなの代表として、助けと応援をお願いしたい」

 ベヘザードさんは、第三者機関が入管に介入し、事情のある収容者の話を聞き、公平な問題の解決を望むと語った。

◆LGBTの被収容者に対する差別やイジメ

 ペルー国籍のナオミさんは日本語があまり堪能ではなく、スペイン語の通訳を介しながら自分の置かれている境遇を伝えた。

 ナオミさんはLGBTで、10歳のころからみんなと違うと感じるようになっていったという。ペルーではLGBTへの理解が薄く、ナオミさんは石を投げられたり、殴られたり、罵倒されることなどがあった。ナオミさんのLGBTの親友は、石を投げられたことによって死んでしまった。

 ペルーでは暮らしていけないと考えたナオミさんは「日本は良い国だ」と聞いて来日する決意をした。日本では自分を受け入れてもらえ、LGBTの友達もできて嬉しかった。しかし名古屋入管に11か月、牛久入管(茨城県)3年2か月、トータル4年以上の収容で精神的に参ってしまった。

 職員に差別やイジメをうけたりすることはしばしばあった。独房ではなく、わざと男性と同じ雑居房に入れられた。ナオミさんと同じ部屋は嫌だと言う人もいて、辛い思いをした。ハンストを40日して体を壊したこともあった。今は解放されて、少しずつ元気になってきたという。

◆「精密検査が必要」という医者に入管職員は「6か月後でいいです」

 スリランカ国籍のダヌカさんはこう語った。

「一度目の来日で他人名義のパスポートを使って来日しました。その後、帰国して何年かが経ち、今度は本名のパスポートで来日しました。後日収容され、1度目に使った偽名でしか入管は認めてくれない。スリランカ大使館も私の本名を認めてくれているのに、入管が本名を認めてくれない。母国に送還することもできないのに、収容され続けました。

 うつ病のため、12月に解放されましたが回復しない。収容所内では、職員が私を偽名で呼び、それに返事をしないと怒鳴られたり、荷物を使わせてもらえなかったりしたこともあります。親もらった大事な名前なのに、非常に屈辱的です。入管は人間として扱ってくれませんでした。

 ある日、わき腹にしこりができて、職員に言ったら3〜4週間後に医者に連れて行ってくれました。医者は『脂肪ではない。精密検査が必要』と言いましたが、職員が後ろから『6か月後でいいです』と勝手に言った。そんなことはあってはならない。こんなことだから入管で17人も死んだんです。70kgあった私の体重は、うつになり水も飲めなくて47kgになってしまいました。

 外国人で法律が分からないことを逆手にとって、好きにやっていることが非常に問題です。あまり外に情報がでていないから好き勝手やっている。皆さんの力でこの問題を社会に出してほしい。

 県外に行けない、仕事しちゃいけない。解放されたが入管にいつ見られているか、いつ来るか、いつ収容かさるかわかりません。また死者が出る前にみんなで頑張っていけたらと思います。みんなの力を借りて、みんなが幸せになる日を待っています」

◆制度を変えていくには政治の力、世論の訴えが必要

 入管に18年務めた元入管職員、木下洋一さんも発言した。

「外国人にとって命の次にビザは大事なものです。それが入管の裁量ですべてが決まってしまう。それが怖くて私は入管を辞めました。今の制度の問題を変えたい。それには政治の力が必要。もちろん世論が訴えていかなければいけない。しかし、やはり最後にはあなたがた政治家にかかっています」

 先進国とはいいがたい時代遅れの制度は、いつか良い方向に改善される日が日本にもやってくるのだろうか。そのためには、さらに多くの人たちの関心と人権意識が広まることを期待したい。

<文・写真/織田朝日>

【織田朝日】

おだあさひ●Twitter ID:@freeasahi。外国人支援団体「編む夢企画」主宰。『となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS』(旬報社)を11月1日に上梓

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