安倍首相による無理筋な全国一斉休校の要請を子どもと一緒に乗り越える方法

安倍首相による無理筋な全国一斉休校の要請を子どもと一緒に乗り越える方法

相変わらずスラスラ話すときはプロンプターを見ながらの会見。ただし、説明責任を果たさず、ひたすら国民に理解を訴えただけであった。(首相官邸のYou Tubeチャンネルより)

◆政治解説の難しい今国会

 2020年の通常国会ほど、政治解説の難しい国会はなかったように思います。なぜならば、桜を見る会問題、高検検事長の定年延長問題、新型コロナウイルス問題と、政権を揺さぶる大きな問題が続きながら、いずれも解説の余地がないほど、底の浅い問題だからです。繰り返し指摘されているとおり、法令に反する問題であったり、内閣の危機管理能力の問題であったりして、見たままの問題です。

 国会運営も同様です。衆議院予算委員会において、質疑に真正面から答弁しない首相や閣僚の姿勢は定番になり、新たに安倍首相による辻元清美議員へのヤジや棚橋泰文予算委員長の大仰な「……静粛に」芸が加わったくらいです。国会制度に基づく解説が必要なレベルではありません。誰が見ても、ダメなものです。なお、棚橋委員長の「質疑時間削減芸」(棚橋ワールド)については、本多平直議員による棚橋委員長不信任決議案の議案説明演説(5時間35分40秒前後から)を見るとよく分かります。

http://youtu.be/qhTG6nbN9hg?t=20141

 これら、安倍首相らによる「国家の私物化」に審判を下すのが、有権者であることも言うまでもありません。このように、専門家による解説が不要なほど、ひどい国会というわけです。

 そこに飛び込んできたのが、安倍首相による3月2日から春休みまでの全国一斉休校の要請です。これによって、全国の教育現場と子どものいる家庭は大混乱に陥っています。その決定プロセスについて、朝日新聞は「首相の独断」と報じています。同報道によると、安倍首相と今井尚哉首相補佐官兼秘書官が、萩生田文科大臣を押し切って「見切り発車」したとのことです。

 実際には、安倍首相に全国の学校を休校にする権限はないため、権限をもつ自治体の教育委員会の判断になります。しかし、官僚はおろか、民間企業の見解さえ、変幻自在に変えさせてしまう「神通力」をもつ安倍首相の要請を、ガン無視できる教育委員会はほとんどないでしょう。そのため、多くの学校や家庭は、3月2日からの休校を前提に動き始めています。

◆ピンチをチャンスに変える勉強法

 このように、政治解説の余地がないほど政権の問題が明確なため、本稿では教育に携わる者として、大人と子どもで一緒に、突然の休校を乗り切る勉強法を解説します。3月は、一年間の勉強の総まとめをする大切な時期ですが、突然の休校によって、それが学校でできなくなりました。とはいえ、子どもの自習だけでは不十分になりがちです。ならば、家庭でどうやって行えばいいのでしょうか。

 ポイントは、学習動画の活用です。複数の民間教育企業が、小中高の教育内容について、動画で解説を提供しています。ここでは、個別のサイト名を示しませんが、いくつもの無料学習動画が提供されています。子どものいる家庭では、少なからず見たことがあるでしょう。

 動画による学習が当たり前になっているドイツに住む友人によると、大人と子どもで一緒に学習動画を見て学ぶといいそうです。子どもが一人で見るのでなく、親や兄弟、身近な大人が、子どもと一緒に学習動画を見ることで、効果がアップするのです。

 その際、学習動画の効果をアップさせる魔法の呪文があります。一緒に学習動画を見た大人が、この呪文を発するか、否かで、効果が変わってくるというのです。その呪文とは……

「動画の内容を自分の言葉でまとめてみて!」

 魔法の呪文は、これです。学習動画で解説された内容について、子どもに自分の言葉で要約させるのです。求められることは、暗記でなく、理解です。一言一句を繰り返させるのでなく、短く要約させることが大切です。それで、適切に要約できていれば、次の学習動画に移り、できていなければ、繰り返し動画を見るわけです。

 もちろん、一緒に見る大人が内容を理解していなければ、要約の適切さを判定できません。大人も不安だったら、臆せずに、繰り返し動画を見ればいいのです。

 大人と子どもで一緒に学ぶことで、子どもに教えられることも多いでしょう。それもまた、学習効果をアップさせます。他者に教えることで、自らの学んだ内容を反すうし、定着させることができるからです。時には、分からないふりをして、子どもを教える役にしてもいいでしょう。

◆休校の話題から始めれば、成績が大幅アップ?

 せっかくですから、学習動画のスタートは、社会科(公民・政治経済)から始めましょう。「誰が休校を決めたのだろう?」と、子どもに質問し、内閣や国会を解説する学習動画から見ていくのです。繰り返しますが、大人と子どもで一緒に見ましょう。

 内閣や国会について学んだら、次に選挙や行政の学習動画を見ましょう。その次は、憲法や経済などと芋づる式につなげていきます。体系のことはあまり気にせず、学習動画をきっかけに話題が広がったら、その話題に関連する学習動画を見ていきましょう。理科や国語、数学(算数)に広がってもいいでしょう。見残した動画があってもいいのです。まずは、興味と話題の広がるまま、次々と学習動画を見て、話をしていきましょう。

 教科書を解説する学習動画に飽きてきたら、大人と子どもで一緒に考える動画も見てみましょう。お勧めは「NHK for School」です。NHKの教育番組のアーカイブで、無料提供されています。番組だけでなく、個別テーマの動画も豊富にあります。これらを見て、お菓子でも食べながら、一緒に話をするのです。教えるというよりも、子どもの考えや疑問を引き出すイメージをもつといいでしょう。個人的には『昔話法廷』を気に入っています。

 実は、こうした学び方は、研究者の学習方法と同じです。研究者が論文を書いたり、報告をしたりするときは、最初に関心の近い本を一冊選び、読み始めます。次に、その本の参考文献や抱いた関心に基づき、次の一冊を選びます。そうやって、芋づる式に本を読んでいきます。そのとき、体系についてはあまり気にしません。

 共通のテーマで意見交換するのも、研究者の学習方法と同じです。学会や研究会で、お馴染みです。とりわけ、大学でのゼミでは、学生の疑問や関心を引き出すことが大切になります。それによって、学生自身のモチベーションを高めて、自律的に学ぶことをサポートするのです。

◆学習動画でモチベーションを高めたら、新聞と本を渡そう

 学習動画を見て各教科への理解が進んできたら、新聞を渡しましょう。子どものうちに新聞を読む習慣を身につければ、大人になってから文章(説明文)を読むことが苦痛でなくなるでしょう。もちろん、文学(小説など)に親しむのもいいのですが、社会に出れば、文系理系に関係なく、ひたすら説明文とつき合わなければなりません。毎朝、新聞を読むようになれば、自ずと読解の正確さとスピードが上がります。

 次に、子どもが関心を抱いた分野の本を渡しましょう。図書館で一緒に借りてきてもいいでしょう。図鑑でも絵本でも構いません。それも、できれば大人と子どもで同じ本を読むといいでしょう。本を話題にして、子どもの疑問や関心をさらに引き出すのです。

 仕事が忙しく、平日日中に子どもを一人にしなければならない場合も、休日や夜に学習動画の視聴を一緒に少しするだけでも、効果は出るでしょう。

 大切なことは、大人と子どもで一緒に学び、意見交換する機会をつくることです。そして、大人が今回の休校問題を機会に、学んでいる姿を子どもに示すことです。

 休校問題では、安倍首相のパニックぶりが露わになりましが、それを反面教師にして、子どもの学びを支えることが、大人に求められているのです。

<文/田中信一郎>

【田中信一郎】

たなかしんいちろう●千葉商科大学准教授、博士(政治学)。著書に著書に『政権交代が必要なのは、総理が嫌いだからじゃない―私たちが人口減少、経済成熟、気候変動に対応するために』(現代書館)、『国会質問制度の研究〜質問主意書1890-2007』(日本出版ネットワーク)。また、『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』(扶桑社)では法政大の上西充子教授とともに解説を寄せている。国会・行政に関する解説をわかりやすい言葉でツイートしている。Twitter ID/@TanakaShinsyu

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