一斉休校に混乱する親と教師。在日外国人からも「子ども軽視の最たる例」との声

一斉休校に混乱する親と教師。在日外国人からも「子ども軽視の最たる例」との声

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 安倍首相のトップダウンでスタートした、全国小中高の一斉休校。突然の要請に、現場の教育機関や保護者の間では混乱が生じている。

◆対応に追われる現場の教師

 新型コロナウイルスの拡大を受けて、今月2日から春休み中の期間で始まった一斉休校。都内の公立高校に勤める教師からは、戸惑いの声が漏れている。

 「一斉休校は教師にとってはなかなか大変です。まず、とにかく急な話。2月27日木曜日の夜に要請が出て、金曜日のお昼までに会議をして休校を決定しました。そして、土日を挟んで月曜日から約ひと月休校になるので、すべてを半日で決めなくてはならず、ものすごく忙しかったです」

 決定が下されただけで、問題は山積みのまま。具体的な指示も行き渡っていない。

 「学年末考査(学年末テスト)もできません。我々教師は月曜日からどうするか検討していますが、成績や学事関係をどうするか、過去に前例がないので難しいです」

 甚大な被害をもたらし、さまざまな公共交通機関や社会活動が停止した東日本大震災の際でも、多くの学校は期末試験を終えて春休みが目前。試験や行事が山盛りの現在は様相が違うようだ。

 「今のところ卒業式は行う予定ですが、それもどこまで制限するか決めなくてはいけません。恐らく保護者も在校生も入れず、1時間程度の式になるのではないかと思います。また、部活動の大会も軒並みなくなります」

 当の政府内ですら混乱をきたしているなか、場当たり的に決定された休校。そのツケは現場に立つ教師に押し寄せている。

◆日本語が通じない親はパニックに

 また、日本の学校に通う子どもを持つ在日外国人からも、政府の場当たり的な対応に憤るコメントが。日本人女性との間に中学生の娘を持つアメリカ人男性(42歳)は次のように語る。

 「こういった事態では大きな決断を迅速に下す必要があります。その点に関しては理解できますが、あまりにも投げやりです。突然、ニュースで一斉休校を知りましたが、妻も私もどうなるのかさっぱりわかりませんでしたし、混乱しているだろうから学校にも聞けない。

 うちは私もそれなりに日本語が話せますし、妻が日本人だからまだいいですけど、これが英語やそのほかの外国語しか通じない親であればどうするのか。決定に対しての結果を一切考えていませんよね」

 説明に追われる教師と親の間に、言語の壁も立ちふさがるとなれば、パニックは拡大して当然だろう。

◆子どもを一人にしない文化

 在日外国人からは文化的な違いからも、今回の決定に疑問を呈する声があがっている。

 「職務形態や経済層にもよりますが、欧米では定時で仕事を終えて16〜18時ぐらいには親が帰ってくるので、日本でいう“鍵っ子”のような概念はあまり一般的ではありません。中高生ならまだしも、小学校低学年の子どもを一人で家に置いたまま留守番するというのは、あまり考えられない」(アメリカ人男性・45歳)

 こういった状況では、親の責任が持ち出されがちだが、それに対しても反発は強い。

 「子どもの面倒は親が見るべきというなら、同じようにテレワークも全企業で徹底して、残業なども一切禁止にするべきです。学校へ行けなくなった子どもの面倒を見るために親が休みを取るなら、有給を取得するべきだなんてふざけたことを言ってないで、その間の給料を政府や企業に保障してほしい。もともと日本政府は家庭や子どもに対してのケアが希薄ですが、今回の決定はその最たるものだと思います」(同)

◆子どもたちのケアは誰が行うのか

 また、ネット上では、感染が危惧されている高齢者が親に代わって子どもの面倒を見るというケースが増える可能性も指摘されている。

 たびたび「責任」を口にする政府だが、親や教師に投げっぱなしにする態度は無責任そのものだ。

 収束する気配のない新型コロナウイルス問題。親子共々、果たして無事に新学期を迎えられるのか。それが難しい場合は、どういった対応が行われるのか。その場をしのいだだけで、政府も春休みに突入とならなければよいのだが……。

<取材・文/林 泰人>

【林泰人】

ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン

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