新型コロナの自粛ムードの中、批判集まるパチンコ店。消毒などの対応や自主休業を決めた店も

新型コロナの自粛ムードの中、批判集まるパチンコ店。消毒などの対応や自主休業を決めた店も

自粛ムードでパチンコ批判も

新型コロナの自粛ムードの中、批判集まるパチンコ店。消毒などの対応や自主休業を決めた店も

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◆不特定多数の高齢者が多く集まる閉鎖環境、「パチンコ店」

 政府が示した新型コロナウィルス感染防止対策を受け、大規模イベントが相次いで中止や延期を決定している。そればかりか、スポーツ競技の無観客試合や、競馬・競輪等の公営ギャンブルの無観客開催も全国的に実施されている。全国の小中高学校の臨時休校の要請がなされた後は、東京ディズニーリゾートや大阪のUSJの臨時閉園も決定した。

 政府の呼びかけに対するこれらの社会的リアクションにより、世間的には活動自粛の雰囲気が蔓延し始めた。我が身や家族を守るためには当然のことと言えばそれまでだが、それは一方で人々の経済活動を必要以上に抑制することにも繋がりかねない。

 外国人観光客のみならず、国内旅行者も激減している観光業は当然のこと、春の歓送迎会シーズンを迎える飲食業界のダメージも深刻だ。

 このように自粛ムードが高まってくると槍玉にあがるはいつもパチンコ業界だ。まして昨今の新型コロナウィルスの感染状況や予防策を考える時、相当に相性が悪い。不要不急の娯楽産業。不特定多数の人が集まる場所。肩がぶつかるほどの距離に座り、一つの遊技台を複数の人が任意のタイミングで触る。感染率が高く、重症化しやすい高齢者が多く集う。

 そのような状況下で、果たしてパチンコ店はどのような対策を取っているのか?

◆警察庁が全国のパチンコ店へ清掃の徹底を指示

 パチンコ業界の管轄行政である警察庁は、2月27日付けで、「新型コロナウィルス感染症の発生を踏まえた感染防止の措置について」という文書を出し協力を依頼している。

 パチンコ業界誌「Green Belt」によれば−

「文書の中で警察庁が求めた適切な措置とは、遊技機のハンドル等の消毒など。ホール営業は、遊技機のハンドルやボタンなど、不特定多数の人が利用する設備があり、手が頻繁に触れる場所の消毒が感染の防止には有効とされていることがその理由だ」

としている。記事によれば警察庁は、2月20日にも職場環境の整備を求める文書を発出しており、万が一、パチンコ店の従業員の体調が良くない場合は早急に休んだり、事務職員ならテレワークに移行できる職場環境を作るための配慮を求めている。

 警察庁からの通知が出る以前からも、遊技機のお客様接触部については、全国のパチンコ店が細心の注意を払っており、大部分のお店では開店前や閉店時はもちろんのこと、営業中であっても、お客様の退席時や、未着席時には折に触れハンドルや上下皿部分のアルコール消毒を行っている。また多くのパチンコ店の出入り口にはアルコール消毒液が設置されており、入退店時にはお客様に消毒の協力をお願いしていたりもする。

◆全日遊連が全国のパチンコホールに広告宣伝の自粛を呼びかけ

 パチンコ業界では行政からの指導ばかりではなく、業界独自の対策も講じている。パチンコホールによる団体である「全国遊技事業協同組合連合会(全日遊連)」では、2月28日、「新型コロナウィルス感染症対策に伴うホールの広告宣伝への配慮について」という文書を全国の組合員に向け発出している。文書では−

「新型コロナウィルス感染症の発生に伴い、感染拡大防止に向けた様々な対策がとられており、政府から不特定多数の人が参加するイベント・集会等の中止や不要不急の外出を控えることなどについて要請がなされているところです。このような情勢をご理解のうえ、官か組合員ホールに対し、感染症の問題が沈静化するまでの間、各種媒体を用いた新台入替等の集客を目的とした広告宣伝については自粛を含めた適切な対応をされますようお願い申し上げます」

としている。

 個社個店の営業について口は出せないが、少なくともこのような社会情勢下において、新台入替を謳ったチラシをまいたり、有名人やライターを招いたりすることで集客を露骨にすることはやめようという話である。ただでさえ感染の危険度が高い状況下に、わざわざ「集まれ!」というのは流石に違うということなのだろう。

◆北海道知事の要請に応えた、地元の有力ホール

 2月28日、北海道の鈴木直道知事が、新型コロナウィルスの感染対策について話し合う道感染症危機管理対策本部会議の場で「緊急事態宣言」を発表し、2月29日と3月1日の週末は「外出を控えてください」と訴えた。全国的にも深刻な状況であると見られる北海道の知事の法的根拠の無い「お願い」であった。

 これに北海道の大手パチンコホール企業である、合田観光商事(屋号:ひまわり)が、北海道にある30店舗を2日間店休とすると発表し応じた。知事の会見から、数時間での決定である。

 この合田観光商事の決定は、パチンコ業界内に大きな波紋を呼んだ。

 何よりも、北海道知事の呼びかけに応じ、すぐに英断を下した合田観光商事に対する羨望と称賛と驚きがあった。土日2日間の営業を30店が休む。莫大な売上だ。その売上よりも、社会的要請に応じた企業姿勢に業界関係者の多くは感服した。

 一方で、このような事が大々的に宣伝されれば、「パチンコ店は休んで然り」という考え方が広がりかねない。営業を止めろと無責任に言うのは容易だ。しかしそれぞれのパチンコ店に、それぞれの事情がある。1日や2日ならまだしもこの先どれだけ長引くか予測がつかない状況のなかで、営業を停止するという事は会社の経営にも直結する。働く社員たちの生活もある。営業の中止は、即ち倒産になり兼ねないパチンコ店も数多くあるのだ。

◆自粛ムードの中、「娯楽」の存在意義

 不特定多数の人が集まる場所は他にもある。しかし多くの場合、営業を止めてはいない。来店客が減るのは仕様が無いが、しかし自らが扉を閉じてしまったら、二度と開けることが出来なくなるかも知れない恐怖がある。パチンコ店に限ったことではなく、批判を多く受けるお店や場所が営業し続けるのもまた正義なのだ。更なる自粛ムードの蔓延は、深刻な経済的なダメージを生む。

 パチンコ業界のコンサル業を営む某氏と会った。

「つくづくパチンコのような娯楽産業は、まず平和で安穏な人々の暮らしがあってこそ成り立つんだと思いますよ。でも東日本大震災後の自粛ムードのなか、バッシングを受けながらも多くのパチンコ店は営業を続けた。あれはただ商売のためだけじゃないんですよ。パチンコじゃなくても、映画でもカラオケでもゲームセンターでも、そこに娯楽があるという生活環境を作ることに意味があったんですよ」

 不要不急な場所に人々が足を運んでこそ、社会は平穏で安定しているのだろう。

<取材・文/安達夕>

【安達夕】

Twitter:@yuu_adachi

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