幸福の科学・大川隆法氏vs長男宏洋氏のバトルが激化! どうしてこうなった? 宏洋氏の教団離脱からの1年半の軌跡

幸福の科学・大川隆法氏と長男・宏洋氏のバトルが激化 宏洋氏に違和感を持つ人も

記事まとめ

  • 幸福の科学・大川隆法氏の長男・宏洋氏が手記を発売したことで親子バトルが勃発した
  • 宏洋氏の暴露に、幸福の科学側は宏洋氏を批判し6時間にも及ぶ『反論座談会』を公開
  • 宏洋氏の発言は、『アンチ幸福の科学』の人々から間違いなどを指摘されている

幸福の科学・大川隆法氏vs長男宏洋氏のバトルが激化! どうしてこうなった? 宏洋氏の教団離脱からの1年半の軌跡

幸福の科学・大川隆法氏vs長男宏洋氏のバトルが激化! どうしてこうなった? 宏洋氏の教団離脱からの1年半の軌跡

大川宏洋氏の手記『幸福の科学との訣別〜私の父は大川隆法だった〜』(文藝春秋)

◆大川宏洋氏の手記発売と同時に火蓋が切られたバトル

 幸福の科学教祖・大川隆法総裁の長男で2018年に教団を離脱した宏洋氏の手記が3月12日、文藝春秋社から発売された。タイトルは『幸福の科学との訣別〜私の父は大川隆法だった〜』(1,540円)。幸福の科学の内情や大川総裁とのエピソードなどを綴った、いわば「暴露本」だ。

 これに対して幸福の科学側は、同日に公式サイトに長大な反論文を掲載( 宏洋氏と文藝春秋社の虚妄を正す『幸福の科学との訣別』宏洋著(文藝春秋刊)への幸福の科学グループ見解)。機関誌『ザ・リバティ』のサイトにも批判文を掲載し、YouTubeの「幸福の科学 広報チャンネル」には「宏洋はなぜ堕ちてゆくのかシリーズ」と銘打った動画5本(3月15日時点)を公開した。また15日には、「大川隆法総裁臨席のもと、大川家の関係者三十数名が真実を語ります」(公式サイトより)と称する6時間にも及ぶ「宏洋本への反論座談会」の映像を全国の教団施設で公開した。反論書籍2冊を出版予定であることも発表した。

 ところが、3月14日に教団は『ザ・リバティ』のサイトに掲載した記事を削除。YouTube動画も3本、削除した(同日のうちに再掲されている)。おかげでTwitter上では幸福の科学の元信者やウォッチャーたちが「何か教団に都合が悪い内容を公表してしまったのではないか」とばかりに、削除された記事や動画の検証作業で盛り上がっている。

 2000冊を超える著書がある大川総裁と教団が、宏洋氏のたった1冊の手記を前に大騒ぎ。一体何がどうなっているのか。これまでの流れを整理してみよう。

◆教団を離脱しYouTuberデビュー

 宏洋氏は1989年に大川総裁と前妻・きょう子氏の長男として生まれた。大学在学中に2009年公開のアニメ映画『仏陀再誕』の脚本を担当し、2012年公開『ファイナル・ジャッジメント』の脚本やプロデュースを担当。卒業後は宗教法人幸福の科学の理事長や学校法人幸福の科学学園の副理事長を歴任した。

 その後、教団の施設建設を受注していた清水建設に出向。教団に復帰後の2016年に教団の芸能事務所ニュースター・プロダクションの社長に就任し、2017年公開『君のまなざし』では総合プロデューサー、脚本、出演。2018年公開『さらば青春、されど青春。』で主演した。

 関わった映画は全て教団の映画。『さらば青春、されど青春。』は大川総裁の自伝をベースとしたフィクションで、宏洋氏は父・大川総裁にあたる主人公を演じた。同作は2017年に芸能界を引退し「出家」した女優・清水富美加の出家後初出演映画でもある。

 しかし同作公開より前の2017年末。宏洋氏は突然、ニュースター・プロダクションを退職する。年明け1月8日に宏洋氏はInstagramにこう投稿した。

〈ニュースタープロダクションの皆様に、お別れのメッセージを贈らせていただきます。もう会って話すことも難しいでしょうし、グループLINEもすぐ消されてしまう可能性があるので、SNSでのお伝えになってしまうのを許して下さい。〉

 同じく幸福の科学信者でもある事務所の仲間たちへの挨拶すら満足にできない形での退職だったことがうかがえる。

 2018年5月に『さらば青春、されど青春。』が公開された3カ月後の8月。宏洋氏は「YouTuberデビュー」を果たし、こう語った。

〈幸福の科学の職員を辞めています〉

〈幸福の科学の信者ではありません。信者ではないんです〉

〈私は大川隆法総裁を信仰していません。彼のことを神だと思ったことは一度もありません〉

 なぜ宏洋氏は幸福の科学をやめたのか。それは今回出版された手記を読んでほしい。

◆こじれる教団との関係。そして元カルト教祖とのコラボ

 教団は、退職したとする宏洋氏の主張は事実ではなく休職扱いであると主張(1年近くたった2019年6月になってから宏洋氏を懲戒免職したと発表した)。ウェブサイト上で宏洋氏への批判を展開し、一方で教団関係者と弁護士が宏洋氏の自宅を訪問したり、抗議文を送付したりした。また宏洋氏がYouTubeに投稿した動画が教団の抗議により削除されたり、宏洋氏のアカウントごと削除されたりした。

 宏洋氏は当初、教団や大川総裁を批判はしつつも「アンチ活動」をするつもりはない旨の発言もしていた。しかし教団からの威嚇的な対応が続く中で、宏洋氏はその経緯をYouTubeなどで公表し、教団や大川総裁への批判を強めていった。

 2018年の宏洋氏のYouTuberデビュー以来、宏洋関連の教団の声明文や告知は教団公式サイト上に93本もある(うち、宏洋氏の手記が出版された3月12日以降のものは10本)。幸福の科学では2011年にも大川総裁と当時の妻・きょう子氏との離婚をめぐる騒動があり、教団はきょう子氏を激しく非難した。しかしきょう子氏に関する教団公式サイトの声明文等は6本だけだ。

 今回の手記が発売される以前からすでに、幸福の科学にとって「宏洋氏問題」は、かつての「きょう子氏問題」にひけを取らない大問題となり、また長期化していた。

 YouTuberデビュー後、宏洋氏は「えらいてんちょう」と名乗るYouTuberとコラボするようになる。この点について教団はこれといって反応していないが、逆に幸福の科学を批判する元信者の一部から宏洋氏が批判される要因のひとつとなった。

 えらいてんちょう氏の本名は矢内東紀(やうちはるき)。「宮内春樹」の名で、2012年に神の声を聞いたと称して宗教団体「ダールルハック」を設立した元教祖だ。イスラム学者・中田考氏が、矢内氏を「本物」の預言者として扱った。

 「ダールルハック」で矢内氏は、信者に大学や仕事をやめさせて布教活動を行わせたり、自殺を煽る内容をSNSで発信するなど、カルト的な要素がある宗教団体だった。自身のブログによればダールルハックは5年ほどで崩壊。本人はとくだん反省を表明するでもなく、2016年に開業したバー「エデン」でのイベントやYouTubeで、カルトを含め様々な宗教をネタにするようになった。「宗教マニアが選ぶ入るべき宗教ランキング」などと称してYouTubeで幸福の科学を「平和的な宗教」として挙げたこともある。

 矢内氏が宏洋氏にSNSでコラボを呼びかけた際には、私自身、矢内氏の経歴、教祖時代の行いへの反省のなさ、YouTubeで語る内容のいい加減さなどからSNSで宏洋氏に注意を呼びかけた。

 しかし宏洋氏は矢内氏の動画に出演したり「イベントバーエデン」で1日店長を務めたりするようになる。幸福の科学を批判するいわゆる「アンチ」からは批判や落胆の声が挙がった。

◆元信者たちの間に生まれた溝

 宏洋氏は「アンチ幸福の科学」の人々がブログはTwitterなどで発信した情報を参考にしたと思われる内容で幸福の科学について語る場面も多い。YouTuberの世界では珍しいことではないのかもしれないが、情報の出典は示さず、さも「自分が知っていること」のように語る。

 それでいて、細部で事実関係の間違いが散見される。

「適当にネット情報をつまみ食いするだけで、きちんと確かめようとしていない」

 「アンチ幸福の科学」の人々の間から、そんな声が漏れ聞こえるようになった。注意を促すメッセージを所属事務所の「宏洋企画室」などに送っても、返事は来ないし、注意を参考にして行動を改める気配も見られない。

 こうした反応を示す「アンチ幸福の科学」の人々の中心は、SNS流行以前から「2ちゃんねる」や個人ブログなどで幸福の科学批判を続けてきた年配者たちだ。私は勝手に「古参アンチ」と呼んでいる。

 彼らは匿名ではあるが、より正確な根拠を伴った批判を目指してきた。批判の正当性を示すために、教義、大川総裁の言動、教団の行動などについて、その矛盾を示す根拠を教団の膨大な書籍や映像から引っ張り出してくる。私自身、彼らから多くのことを学び、これまで書いてきた記事もかなりの部分がこうした「証拠」に支えられている。

 こうした姿勢は、YouTuberの「ざっくりしたテキトーな説明と煽り」という文化とは相容れない。

 今年1月には、宏洋氏はTwitterに動画を投稿。幸福の科学の信者が携帯する手帳サイズの経文『正心法語』を床に叩きつけ「メンコ」だと語る内容だ。同席した人物がその場で障害者手帳も床に叩きつけた。

〈隆法チャンがまだ神じゃなかった頃の幸福の科学の旧版経文『神理の言葉 正心法語』&障害者手帳でめんこ大会!!\(^o^)/\(^o^)/〉(宏洋氏のTwitterより)

 このツイートに宏洋氏は「#正心法語めんこ #障害者手帳めんこ」というハッシュタグをつけて投稿した。

 宏洋氏の人生を振り回した宗教の象徴である『正心法語』はともかくとして、障害者手帳を巻き込む悪ふざけに、アンチ幸福の科学からも批判の声が挙がった。

◆2世の脱会者の顔と「元幹部」の顔

 古参アンチが宏洋氏に違和感を抱く、さらに大きな理由がある。

 宏洋氏は「大川隆法を神だと思ったことはない」と語り、霊言をインチキな「イタコ芸」だと語る。それが事実なら、教団幹部時代に自らも「霊言」を行い講話でお布施をするよう煽ってきたのは一体何なのか。当時は信じていたというならまだしも、ウソだとわかって信者に信じ込ませる立場を演じていたのだとしたら、詐欺ではないのか。

 宏洋氏の多くの動画やSNSでの発言の中に、こうした点への後悔や苦悩をうかがわせる部分は全く見当たらない。今回、出版された手記も同様だ。

 また宏洋氏は、脚本家や俳優を名乗り、いまなお前出の教団映画を自身の実績として挙げている。

 幸福の科学の映画は、観客動員ランキングを上げるために、信者たちがチケットを大量に買い込み、知人などに配るだけではなく自身も劇場で繰り返し同じ作品を観まくる。中には1人で100枚単位のチケットを買う信者もいる。映画を観終えて劇場を出ては次の上映を見るためにまた新たなチケットで入る。アンチの間で「ぐるぐる回転菩薩」と呼ばれる「尊い宗教活動」だ(もともとは教団内で生まれた言葉だと言われている)。

 古参アンチたちは、幸福の科学に振り回され多額の金を注ぎ込み家族関係を破壊されるなどした経験を持つ。かつて自分たちを振り回す側だった宏洋氏が、そのことを反省せず、また教団を批判していながら信者のカネで成り立っていた映画を未だに実績として謳うのを見れば、心穏やかでないのは当然だろう。

 一方で、若い2世の元信者たち(親などが信者で幼少期から入信させられ、すでに信仰を失ったり教団に批判的な立場に転じている人たち)のSNSでの発言を見ていると、宏洋氏を支持あるいは擁護する声が目立つ印象だ。

 ある古参アンチは、こうこぼす。

〈宏洋氏には、せめて事実関係は正確に扱ってほしいと思ってYouTube動画の内容の間違いなどをSNSで指摘する。でも、そうすると宏洋氏ファンの2世たちから「アンチ宏洋」であるかのように見られている気がする。若い脱会者達との間に溝を感じる〉

 もちろん宏洋氏だけが要因とは限らない。2世の人々は、自分の意志と関係なく親によって入信させられ、教団の大人たちに人生を振り回されてきた。

〈宏洋氏も含めて、基本的に大人を信用していないのではないか。そんなことを感じることもある〉(前出の古参アンチ)

 宏洋氏が発信する情報が正確さを欠く点や教団幹部時代のことについての後悔や苦悩が感じられない点については、私自身も古参アンチと同意見ではある。しかし、年代や立場が近い宏洋氏に共感する2世が多いのも当然だ。宏洋氏が教団を離れ、社会の中で自分なりの生き方を確立して見せてくれれば、それは間違いなく多くの2世の励みにもなる。

 私は、もともと幸福の科学の信者ではない。宏洋氏に恨みもわだかまりもない。そんな私の立場からすると、宏洋氏がこうした課題を抱えていること自体が「教祖2世」という境遇ゆえであり、これを理由に彼を否定してしまっては「カルト問題」「2世問題」の重要な側面から目をそらすことになるのではないかと思う。

 だから宏洋氏の応援をしたい私の気持ちは、宏洋氏が教団を離脱してから現在まで変わらない。

◆教団の反応が生んだアンチの連帯?

 宏洋氏の手記発刊に至る状況の解説だけで長くなってしまった。しかしこれには理由がある。宏洋氏の離脱以降の教団側の対応や、教団を批判する人々の間に生まれた溝など、これまでの流れを踏まえると、今回の手記1冊が「空気を変えた」ことがわかるからだ。

 私自身、宏洋氏の手記にも従来のYouTube動画等と同様に、細かい部分で事実関係の記述が雑さを感じた。教団への名誉毀損と言える類のものではないが、詳細な検証を要するのではないかというやりとりを何人かの古参アンチとした。

 ところが発売日から教団が、反論の声明文、機関誌記事、YouTube動画、6時間もの反論座談会の公表、反論書籍の緊急出版、記事や動画の削除、再掲といった目まぐるしい動きを見せた。おかげで古参アンチたちの興味の中心は当面、宏洋氏の手記の検証より、教団による反論の証拠保全や検証に向けられている。

 たとえば、教団の公式サイトの声明文には、こう記載されている。

〈宏洋氏は同書で、総裁が行事の際に身に着ける袈裟などについて、一回しか使わないものにお布施を無駄に浪費しているなどと批判しています。しかし、これは事実に反します。総裁が身に着ける袈裟などは何回も使用していますし、使われている装飾は主にビーズ等で、決して高価なものではありません。また宏洋氏は「時計は特注だ」としていますが、これも事実ではなく、一回しか使わないということもありません。またスーツについても、特注ではなくオーダーメードで、30着程度のスーツを組み合わることで、年間200回から300回程度の説法に対して、同じ衣装を何度も着ているように見えないよう工夫されています。〉(〈宏洋氏と文藝春秋社の虚妄を正す『幸福の科学との訣別』宏洋著(文藝春秋刊)への幸福の科学グループ見解〉より)

 この声明文で〈30着程度のスーツを組み合わる〉と書かれている点について、Twitter上で古参アンチが検証している。30着どころではない、教団が公開している大川総裁の画像を見るだけでも80着以上あるだろう、と。中には、普段遣いや使い回しをするにはあまりに奇抜すぎるデザインのスーツもある。

 前述の通り、宏洋氏は当初「アンチ活動」をしない旨を表明していた。しかし教団側の威嚇的な行動が、宏洋氏の教団批判を継続させ深刻化させた。そして今、手記の出版に対する教団の過剰反応が、ネット上の幸福の科学批判者たちの間にあった溝を(一時的かもしれないが)吹き飛ばし、騒ぎを盛り上げているのだ。

 教団の行動が宏洋氏という油に火を注ぎ、宏洋氏のYouTubeや手記が幸福の科学という油に火を注ぎ、そしていま手記に対する教団の反応がネット上のアンチという油に火を注いでいる。

 手記をめぐる一連の騒ぎで教団が公表した映像の中で大川総裁は、こんなことも口走っている。宏洋氏は大川総裁の遺産が目当てなのではないかとする内容に続けての言葉だ(カッコ内は私による補足)。

〈(宏洋氏は)財産分与が平等に流れると思っているんだと思いますが、残念ながら私は自分の収入を教団に寄付していて財産が増えない。この前(教団の)法務室もからめて書いたもの(遺言書か)で、自分が死んだ時の遺産相続としては、財産を全部キャッシュに変えて教団に寄付するというふうに入れているので。子供への財産分与はありません〉(

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