ダメ出しか雑談で終わる期末面談は時間の無駄。どうすれば変えられる?

ダメ出しか雑談で終わる期末面談は時間の無駄。どうすれば変えられる?

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上司と部下による定期的な面談を義務づけている企業は多い。期末の評価面談や、期始の目標設定面談、期中の中間面談だけでなく、「One on One」、「One for One」と称して、上司と部下の1対1の面談を奨励する企業が増えてきた。

◆ダメ出し面談か、雑談になってしまう

 これらの面談は期末や期始や期中の、明確で一律の目的を有したオフィシャルな面談だけでなく、上司と部下が互いの状況に応じて対話する機会を増やして、部下のモチベーションを高めて、上司と部下の関係の質を高めようとするのが目的だ。

 ところが、これらの面談、部下の側からも、上司の側からも抵抗感を持たれていて、なかには逆に部下のモチベーションを低下させてしまったり、上司と部下を険悪な雰囲気に陥らせてしまうケースが少なくない。

 部下からは、「上司の一方的な話を聞かされるだけで、苦痛だ」という声もあがれば、「ダメ出しをされるばかりで、話したくなくなる」という反応もある。逆に、「いつも雑談に終始して、やっている意味があるとは思えない」というものから、「会社からやれと言われているので、しかたなくやっているのが見え見え」という辛辣な声さえあがる。

 一方上司は、「会社から面談をしろと言われているが、やり方がわからないので、話したいこと、話すべきことを伝えているだけ」、「部下にしっかり指導するのが上司の責任なので、ダメ出しは当たり前」という見解だ。

 ところが意図とは逆に、「部下の気持ちに寄り添うために、雑談を重視している」という声もあれば、「面談で何をどうすればよいかわからないが、実施して報告しろと言われているので、やるしかない」と困惑し、形ばかりの面談になってしまっているという。

◆相手を巻き込む5つの質問で面談が変わる

 このような状況にひとつでも当てはまる人に、お勧めの方法がある。評価面談でも、目標設定面談でも、中間面談でも、通常のOne on Oneでも、「相手を巻き込む5つの質問」を繰り出すことだ。上司が5つの質問を繰り出し、部下がそれに対して答える。

 相手を巻き込む5質問

 1 やってみてどうでしたか?

 2 うまくいったことは何ですか?

 3 うまくいかなかったことは何ですか?

 4 どのように改善したいですか?

 5 サポートを得たいことは何ですか?

 最後は、上司が部下に(または改善したいことを実現するために、上司に)、「サポートを得たいことは何ですか?」と聞き、部下が答えた内容に対して、可能な範囲でサポートを約束するという流れだ。そうすることで、評価するだけの上司、裁くだけの上司、ダメ出しするだけの上司から、部下を支援してくれる上司に変わることができるのだ。

 このように申し上げると、「面談のそもそもの目的である評価や目標設定や、中間の進捗確認は、実施しなくてよいのか。いったいどこへいったのか」という声があがる。評価や、目標設定や、進捗確認は、相手を巻き込む5つの質問を実施して、部下が上司にサポートを得たいことの一部でも約束したあと、実施するのだ。

◆上司と部下で共通認識を持つ

 相手を巻き込む5つの質問は、部下の成長を促すための質問だ。上司が部下をサポートするということは、部下の育成のためだ。相手を巻き込む5つの質問を繰り出すことで、上司は部下の育成に注力しているということを体現できるのだ。

 「わかった。これから○○のサポートをしていく。一緒に取り組んで、成果につなげよう」という部下の育成を体現する対話のあとに、評価のすり合わせをすると、評価は育成のためだという共通認識を上司と部下で持つことができる。

 部下の育成を体現する対話のあとに目標のすり合わせをすると、設定する目標は部下の成長につながるという共通認識を持つことができる。この対話のあとに、中間面談をして進捗管理を行うと、今後の伸展のために対話しているという認識を上司も部下も持ちやすくなるのだ。

 そして、評価面談や目標設定面談や中間面談ではないOne on Oneでは、上司は部下に、相手を巻き込む5つの質問を繰り出して対話するだけでよい。虚心坦懐に部下の状況に耳を傾けて、上司が部下を支援する関係を築くことができる。

 「面談を盛り上げろ」「部下に厭われない面談をしろ」と漠然とした指示・命令をしても問題は何ら解決しない。相手を巻き込む5つの質問で面談する手法を共有するだけで、ダメ出し面談も、部下に沈黙される面談も、形ばかりの面談も払しょくされるのだ。

◆面談の負の流れを断つには

 質問:相手に沈黙されてしまう

 相手を巻き込む5質問をするのですが、答えが返ってこないで沈黙されてしまいます。沈黙されてしまうので、結局、こちらから問題点を指摘して改善点を指導する、いつもの面談の流れになってしまいます。どうすればよいのでしょうか?

 回答:相手の発言を促すフレーズ

 答えが返ってこないということは、相手がダメ出しをされることを恐れていたり、腹を割って話すことに抵抗感を持っていたり、緊張していたりしていることが考えられます。下の事例のようなフレーズが、相手の発言を促すことに役立ちます。

 「相手の発言を促すフレーズ」の例

 ・今日は評価のためではなくて、上司として支援できることを見出す面談です

 ・虚心坦懐に聞きますので、思ったことを気楽に共有してくれれば幸いです

 ・考えの途中でも、どんな思いつきでも、言ってくれれば助かります

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第181回】

<文/山口博>

【山口博】

(やまぐち・ひろし)

モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある

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