「高輪ゲートウェイ駅」に導入された「4つの“JR初”」とは?

「高輪ゲートウェイ駅」に導入された「4つの“JR初”」とは?

いよいよ開業した高輪ゲートウェイ駅。 山手線と京浜東北線が停車する。

 3月14日のダイヤ改正に合わせて開業を迎えた「高輪ゲートウェイ駅」。

 その個性的な名前や隈健吾氏による個性的な駅舎は大きな話題となっているが、実はこの高輪ゲートウェイ駅にはいくつもの「JR初」となる最新技術が導入されていることをご存知だろうか。

◆JR初「QRコード対応自動改札機」

 最初の「JR初」は、駅の入口に立つとすぐに目に入ってくる新型の改札機「QRコード対応自動改札機」だ。

 QRコード対応の改札といえば空港にある飛行機の搭乗ゲートを思い浮かべる人が多いであろう。鉄道でも北九州モノレール、沖縄モノレールなどでQRコード対応自動改札機が導入されており、昨年には大阪メトロでも試験導入が行われたが、JR駅での導入は初のこと。現時点では実証実験の段階であり、処理速度などを調査したのち、将来的にはスマートフォンに表示されたQRコードなどを用いた実験もおこなう予定だという。

 なお、この自動改札機は単に「QRコードが読み取れる」というだけではなく、車椅子の人でもタッチしやすく、またモニターも見やすくなっている。並列して従来型の自動改札機も設けられているので比較してみると分かりやすい。

◆JR初「新型点字ブロック」

 次に紹介したいのが、駅の構内やホームなどでお馴染みの「点字ブロック(誘導ブロック)」。

 高輪ゲートウェイ駅の点字ブロックは、少し他の駅のものと色が異なっており「黄色」というよりは「クリーム色」に近いものが採用されている。確かにこちらのほうが景観には馴染むが、これで機能的には大丈夫なのか?という声も聞こえてきそうだ。

 実はこの点字ブロックは東京大学分子細胞生物学研究所が同大大学院教授の建築家・隈健吾氏、特定非営利活動法人カラーユニバーサルデザイン機構、住宅メーカーや点字ブロックメーカーなどとともに2017年に開発したもの。東京大学によると、視覚障碍者が見やすく、また景観と調和しやすい色あいのものを視力の低い人約100名と一般視覚者約50名の協力により何段階もの比較評価実験を行うことで生み出された「黄色くないのに視認性に優れた点字ブロック」なのだ。

 さらに、突起の形状や突起の配置についても工夫されており、車椅子やベビーカー、キャリーバッグが通過した際にバリアになりにくい仕様になっている。

◆JR初「常設の無人コンビニ」

 続いてのJR初は、改札を入ってすぐの場所にある「無人コンビニ」だ。

 高輪ゲートウェイ駅に設けられた無人コンビニは、その名も「TOUCH TO GO」。この店舗は3月23日に開業だったため、取材時には開業前であった。

 この無人コンビニは、JR東日本グループの「JR東日本スタートアップ」と、システムコンサルティング企業「サインポスト」(本社:東京都中央区)が設立した「TOUCH TO GO」が運営。同社は2017年以降、大宮駅などで「期間限定店舗」として実証実験をおこなってきたが、常設店舗としてはJR初のものとなる。広さは約60平方メートル、営業時間は6時から24時で、店内に入り商品を持って出入り口の決済端末に向かえば自動的にその商品が表示されるシステム。購入した商品はカメラや重量センサーなどで認識するといい、商品をスキャンすることなどは必要ないという。開業時点では、支払いには交通系電子マネーのみが利用できる。

 なお、「無人」といっても店内清掃や商品補充などは人が行なうそうで「完全に無人で全てのオペレーションをおこなう」という訳ではない。

「TOUCH TO GO」のシステムは月額約80万円で提供されるということで、将来的には他駅でも導入されることになろう。コンビニというだけあって、願わくば「ファミマ」「セブン」などのように気軽に呼べる略称が欲しいところだが…店舗が増えた際には何と呼ばれることになるのだろうか。

◆JR初「ロボット・AIを本格導入」

 最後の「JR初」は「ロボットとAIの本格導入」だ。

 JR東日本では、これまでも清掃など限られた分野でロボットが導入されていたほか、東京駅や品川駅など一部の駅では、イトーヨーカドーやイオンモールでもお馴染みとなったティファナ社(東京都目黒区)の汎用女性AI「さくらさん」が導入されていた。

 高輪ゲートウェイ駅で特に強化されたのが、こうしたAIやロボットによる「案内機能」だ。

 AI案内システムとしては、先述した「さくらさん」に加えて新たに「駅案内AIサイネージ」「BotFriends Vision」を導入。これまでの「さくらさん扮する女性駅員のみ」から、新たに男性駅員のAIも導入されることとなった。さらに、コミュニケーションロボット「EMIEW3」も導入。こちらは日立のデジタルサイネージに合わせて対話型で駅構内などの案内をおこなうことができる。

 これまでの駅とは違い、複数社の異なったAIが導入された背景には、どのAIがどういった場面で最適かということを調査するための実験的要素が大きいと思われる。

 それぞれのAIは日本語、英語、中国語(中国向けの簡体中文/台湾・香港向けの繁体中文)、韓国語の5ヶ国語にも対応しており、それぞれの言語で話しかければその言語に合せた案内をおこなうこともできるという。余談であるが、1つ気になったのが一部のAIで台湾・香港向けの表示をおこなう際に出てくる国旗が中華人民共和国のものであったこと。国際問題にならなければいいのだが……。

 このほか、移動式の案内ロボットとしては「Station Service Robot」「HOSPI」「WHILL NEXT」の3つが導入されている。

 このうち「Station Service Robot」は駅構内を巡回しつつ、構内の案内と広告・宣伝をおこなうもの。「HOSPI」「WHILL NEXT」は、自走しながら「トイレ」や「エレベーター」などといった目的地までの誘導をおこなうこともできるという。

 なお、これらのAiやロボットは開業直後の混雑防止のため現在は稼働をしていないものもあり、取材時には実際に動いている様子を捉えることはできなかったものも多かったが、それぞれ4月までに順次稼働を開始する予定となっている。

駅構内では、このほかにも警備や清掃など様々な分野でロボットが導入されている。それぞれのロボットには返事を返してくれるものもあるということで、構内でロボットを見かけた際にはぜひ挨拶を交わして「未来」を体感してみてはどうだろうか。

◆「グローバルゲートウェイ品川」は2024年に完成

 さて、高輪ゲートウェイ駅は開業したものの、その名前の由来となったJR東日本主導の再開発事業「グローバルゲートウェイ品川」はまだ始まったばかりだ。再開発は2024年度中に全面開業する予定で、オフィス、ホテル、商業施設、駅前広場などが設けられる計画となっている。

多くの「JR初」を導入した高輪ゲートウェイ駅。「グローバルゲートウェイ品川」には一体どういった「日本初」が生まれることになるのであろうか。

<取材・文・撮影/若杉優貴(都市商業研究所)>

【都市商業研究所】

若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken」

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