「なぜゲートウェイ?」の答えがここに!――経済効果1兆円以上の「グローバルゲートウェイ開発」の全貌とは

「なぜゲートウェイ?」の答えがここに!――経済効果1兆円以上の「グローバルゲートウェイ開発」の全貌とは

3月14日に開業した高輪ゲートウェイ駅。

 3月14日のダイヤ改正に合わせて開業した「高輪ゲートウェイ駅」。

 その賛否両論を呼んだ個性的な駅名や建築は大きな話題を呼んでいるが、もちろん開発はこれで終わった訳ではなく「高輪ゲートウェイ」の由来となったJR東日本による品川再開発プロジェクト「グローバルゲートウェイ品川」はまだ始まったばかりだ。

 東京の新たな玄関口――「ゲートウェイ」を目指した再開発。その開発内容を見ていくと、JR東日本が「賛否を呼んだ新駅名」に懸けた思いが見えてくる。

◆100年以上の歴史を持つ車両基地から「ゲートウェイ」へ

 「高輪ゲートウェイ駅」、そして「グローバルゲートウェイ品川」(以下、グローバルゲートウェイ)が建設されるのは、山手線田町−品川間にあるJR東日本の車両基地「東京総合車両センター田町センター(旧・田町車両センター)」の一部とその周辺エリアだ。この区間は新橋―横浜間に敷かれた「日本初の鉄道路線」に端を発する線であり、東京総合車両センター田町センターは明治時代に誕生した品川電車庫を起源に持つ歴史ある車両基地。工事は車両基地を縮小した場所で行われており、昨年11月16日にはJR発足以来初となる「山手線の運休」を伴う線路移設工事が実施されるなど、着々と工事が進められてきた。

 グローバルゲートウェイを含む「品川開発プロジェクト(第I期)」は国家戦略特別区域の特定事業に認定されているもので、敷地面積は約7.2万?。

JR東日本は「世界につながり、地域をつなぐ、エキマチ一体の都市基盤形成」、「国際ビジネス交流拠点にふさわしい多様な都市機能の導入」、「防災対応力強化とC40(東京都も参加する世界大都市気候先導グループ)が掲げる先導的な環境都市づくり」の3つを開発方針に掲げており、いよいよ2020年度から建物本体の本格着工に入ることになる。

◆「国際水準」を掲げるホテルや「巨大駅前広場」などを整備

 グローバルゲートウェイは機能が異なる4つの街区に分かれている。

 ここからは、それぞれの街区を詳しくみていこう。

 4つの街区のなかで最も北にあたる「1街区」は再開発地区で最も高い地上45階・地下3階・塔屋2階建て。最高層部の高さは約173メートルで、4つの街区で最も高いものとなる。この1街区にはマンション(806戸)やインターナショナルスクールなどが入居。マンションは、世界各国の人々がこの街を選んで居住するような「国際水準の居住施設」を目指すとしている。

 1街区の南にある「2街区」は地上6階・地下4階・塔屋1階建て。4街区のなかでは最も小さな建物となるが、「文化創造施設」として多目的文化ホール(1,000席・最大2000人規模を計画)やレストラン街などが入居するほか、居住者、来街者の憩いの場となる広場も設けられる。

 京急・都営浅草線泉岳寺駅に近い場所に設けられる「3街区」は地上31階・地下5階・塔屋1階建てで、主にオフィスと商業施設になるほか、泉岳寺駅との連絡口も設けられる。また、地下部分には近隣にある芝浦水再生センターの下水熱を活用した地域冷暖房施設(セントラルヒーティングシステム)が設置される。

 ちなみに、この3街区の近くにはかつて江戸の入口だった「高輪大木戸跡」がある。つまり、江戸時代にはこの地が「江戸のゲートウェイ」であった。

◆高輪ゲートウェイ駅直結の4街区

 最も南側、JR品川駅寄りの「4街区」は地上30階・地下3階・塔屋1階のツインタワーとなる。高輪ゲートウェイ駅と直結されるこの4街区は「グローバルゲートウェイの顔」ともいうべきエリアで、オフィス、ホテル、商業施設などが入居。ホテルは国際水準のものをめざすということで「都内屈指の超高級ホテル」が進出する可能性もあろう。

 さらに、4街区には重層的な広場が設けられ、デッキ上には高輪ゲートウェイ駅前歩行者広場が、下層階には交通広場(約3,500u)を設置。電車とバス・タクシーの乗り換えも便利なものとなる。

 駅前広場は約6,500uと、都内の駅前広場としては有数の面積。イベント開催も可能な多目的スペースなども併設される予定だ。

 この4街区には泉岳寺駅と駅前広場・高輪ゲートウェイ駅から線路を超えて芝浦港南地区(東京湾方面)を結ぶ連絡橋(自由通路)も設けられる。将来的にはこの芝浦地区においても大型再開発が計画されており、グローバルゲートウェイが完成した数年後にはまた新たな街が誕生することになるだろう。

◆「玄関口」の経済効果は1兆4000億円――新駅名の答えがここに

 グローバルゲートウェイの4つの街区全ての完成は2024年度になる予定だが、再開発はこれで終わる訳ではない。4街区の南側にあるJR品川駅では2027年の開業を目指してリニア中央新幹線の建設工事が進んでおり、将来的にはJR品川駅と直結すべく、再開発エリアもさらに南側まで伸びる計画となっている。

 つまり「グローバルゲートウェイ」という名称には、「『リニア中央新幹線』『東海道新幹線』、さらに『羽田空港』からのアクセスが良好なこの地を『東京の新たな玄関口としたい』」というJR東日本の思いが込められているのだ。

 JR東日本は、新駅の開設を含む「グローバルゲートウェイ」開発の経済効果を約1兆4000億円と見込んでおり、賛否を巻き起こしてまで新駅に「ゲートウェイ」の名前を付けた理由を伺い知ることができる。

 ご存知の通り「リニア中央新幹線」と「東海道新幹線」はJR東海が、そして「空港線」は京急が運営するものであり、それぞれはJR東日本と直接関わりがある訳ではない。「本当の玄関口」の役割を果たすのは他社路線(しかも隣駅)でありながら、自社の土地を活用して「玄関口」の名前を冠した再開発をおこなうJR東日本――ここに「JR東日本のしたたかさ」を感じずにはいられないのは筆者だけであろうか。

 「山手線らしくない」として賛否両論を巻き起こした駅名「高輪ゲートウェイ」。

 近い将来、リニア中央新幹線が開業して「グローバルゲートウェイ」の名前が定着したころには、駅名に違和感を覚えることもなくなっているかも知れない。

<取材・文・撮影/若杉優貴(都市商業研究所)>

【都市商業研究所】

若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken」

関連記事(外部サイト)