履歴書に「表彰歴を書かないほうが書類選考を通る」!? シニア世代の就職戦線の裏側

履歴書に「表彰歴を書かないほうが書類選考を通る」!? シニア世代の就職戦線の裏側

中島康恵氏

 新型コロナウィルスの拡大に伴う景気の悪化と、失業者の続出が予測される昨今。ただでさえ就職難のシニア世代には、再就職は非常に困難になるだろう。そこで本稿では、50代・60代のシニア層の人材派遣・人材紹介を手掛ける株式会社シニアジョブの代表・中島康恵氏にインタビュー。シニア世代が再就職する際の書類選考や面接突破の心得を聞いた。

◆表彰歴がある人はプライドが高そうと思われる

 代表の中島氏は1991年生まれ。サッカーJ1のユースチームで活躍後、大学時代に起業した異色の経歴の持ち主だ。

 シニア世代の再就職支援に取り組み、再就職希望者の履歴書作成業務も行うシニアジョブ。中島氏によると、やはり一番の難関は最初の書類選考の突破だという。

「シニアに特化した求人を扱う弊社の場合は、ハローワーク利用の場合より書類選考通過の確率は格段に高いですが、それでも通るのは10社に1社程度。20代や30代の求職者と比べると厳しい状況なのは確かです。一方で、書類選考を通過して面談まで進めば、選考の進みやすさは若い方と変わりません」

 だからこそ履歴書作成にはさまざまなテクニックが必要になるという。そのうちのひとつが、「表彰歴は書かない」というものだ。いったいなぜなのか。

「我々が再就職支援に取り組むなかで、『表彰歴を書いた人は書類選考で落とされやすい』という傾向が出てきまして、採用を行う企業側のお話からも、その背景が見えてきたためです。というのも、企業側は『採用したシニア人材は我々の会社にフィットするだろうか』という不安を持っています。

特に社長が若く、社員も若い世代が中心の企業なら、そのような不安を持つのも当然ですよね。そうした企業では、表彰歴のあるシニア人材が『使いづらそう』『過去の自分にしがみついて、新しいものを取り入れなそう』という色眼鏡で見られてしまうんです」

◆書面で人柄を伝えるのは難しい

 シニア世代が再就職する企業では、「上司が歳下」というケースも当然生まれ、日々の仕事も歳下上司の指示のもとに行うケースが多いだろう。そうした企業への再就職では「自分は表彰歴がある」というアピールが、逆にマイナス印象になってしまうわけだ。

「表彰歴を書いている=プライドが高い人というイメージを持たれてしまうわけですね。成果が数字で表せる表彰歴の場合は、書いたほうがいいケースもありますが、一般的には『表彰歴は書かないほうが採用されやすく、いい意味で“扱いやすい人材”と思ってもらいやすい』と言えるでしょう。

 実際に再就職を希望するシニアの方とお話すると、物腰柔らかで謙虚な人ほど表彰歴があることがわかるんですが、書面上ではその人柄は伝わりません。そのため我々は求職者との面談を行ったうえで、その人の魅力が書面上でも伝わるように履歴書の作成をお手伝いしています」

◆長すぎるアピールは「指示を聞かなそう」な印象に

 面接においても、企業側に“扱いやすい人材”と思ってもらうための行動が大事になるという。

「企業側はシニア世代に対して『プライドが高くて指示を聞いてくれないのではないか』という恐れを持っているので、『自慢げなことは言わない』というのが大事なポイントのひとつです。

 また30年、40年と仕事を続けてきたシニア世代の方は、過去の仕事の内容を1時間でも2時間でも話せるはずですが、『3分でまとめて簡潔に話す』というのも大切です。いくら立派な仕事をしてきた方でも、長く話せば話すほど、やはり『指示を聞いてくれなそうな人』と思われてしまいます」

 そして過去の話ばかりでなく未来の話をすることも大切だ。

「いくら過去の職歴が立派でも、応募した企業がお願いしたい仕事を『それは経験がないのでできません』と断る人は採用されないですよね。たとえばパソコンが不得手でも、応募した会社で使うことが必要なら、『いまから勉強しています』『入社以降も教わったことをできるように努力します』などと前向きな未来の話をすべきです」

 要するに書類選考でも面接でも、“使われる側の人材”として自分が役に立つことをアピールするのが必要なわけだ。

「シニア世代の方には、マネジメントする側の業務に長く就いてきて、その感覚が体に染みついている方も多いです。そのため言葉使いもどこか横柄になっている人もいるので、『相手が若い方でもきちんと敬語を』といった初歩的なことも我々はしっかり伝えています」

◆年齢に関係なく働ける人は大歓迎される

 逆に若い世代と人間関係を築くことが上手な人は、やはり採用される割合が高いという。

「シニアジョブで求職者との面談・企業への紹介を行う人材コーディネーターは20代〜30代が中心ですが、彼らと円滑な会話のやりとりができる方は、やはり選考も進みやすいです。そして孫くらい年の離れた人とも楽しく働ける人は、どんな企業でも歓迎されるでしょう。シニアジョブには69歳のメンバーもいますが、若いメンバーとお互いにいじったり・いじられたりしながら毎日仕事をしています(笑)」

 必要なのは変なプライドを捨てること。年下の後輩にいじられただけでキレていたような人は、そうした自分の性格を見つめ直してみることが、再就職への第一歩なのかもしれない。

<取材・文/古澤誠一郎>

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