コロナ禍のステイホームで夫によるモラハラ被害も激増! モラ男ではない「健全」な男性はいるのか?<モラ夫バスターな日々47>

コロナ禍のステイホームで夫によるモラハラ被害も激増! モラ男ではない「健全」な男性はいるのか?<モラ夫バスターな日々47>

<まんが/榎本まみ>

◆弁護士・大貫憲介の「モラ夫バスターな日々<47>

「健全男子なんているんですか」

コロナで夫がステイホームし、モラが酷くなって相談に来た女性(40代)が尋ねた。私は、経験上、日本男性の8割はモラ夫/モラ夫予備軍と推測している。そこで、「男性の約2割は健全男子と思いますよ」と答えた。女性は「私の周りには、モラ男しかいません」とため息をついた。

◆リモートワークによりモラハラが激化

 女性は、学校に行けず体力が有り余っている低学年の子を公園に連れて行った。それが夫に「発覚」し、コロナが移ったらどうするんだと怒鳴られ、正座させられた。マスクや消毒液が買えないことも、「精神がたるんでいる」「(買えないなどの言い訳は)社会では通用しない」と併せて叱られた。

 それ以降、買い物以外は外出していない。リモートワークのため夫が自宅で仕事をするので、女性も子どもも、夫に気を使い、息をひそめている。外に出れず、子どもも、女性自身も限界が近い。

 夫のストレスもたまり、以前よりモラが酷くなった。こんな状態がいつまで続くのか、これ以上、この夫とは暮らせない、離婚しかないと思い詰めて、相談に来た。

 しかし、その一方、将来に対する不安感も強い。逆説的だが、日本の男性全てがモラ男であれば、却って諦めもつく。その思いが、冒頭の質問になったのだろう。

◆「健全男子」にインタビューしてみた

 私は約2年前に、モラ夫の生態のツイートを始めたが、その頃より果たして本当に日本にモラ男ではない「健全男子」はどの程度いるのか、疑問を払拭し切れていなかった。ネットやニュースなどをみていると、日本はモラ男丸出しの男性だらけと絶望的な気持ちになる。しかし、健全男子はいるはずだ。

 筆者と親しい、練馬区議の男性Iさん(40代前半)。妻もバリバリのキャリアの共働きであり、妻は最近、フルタイムの仕事の傍ら、国外の大学院に在籍し、英語で数百ページの博士論文を執筆、見事、博士号を獲得した。その間、家事、育児は彼が中心に行い、家族のお弁当作りが日課だという。

 日本生まれ、日本育ちの彼が、なぜ、「健全男子」になったのか。どうしても知りたくなり、取材を申し込んだ。

◆「母の犠牲の上に自分がある」という意識が、モラ夫化を防いだ

 Iさんは議員3人の少数会派で、政治的主張もリベラル。LGBTや外国人の権利保護が政治信条でもある。妻をディスるなどが無い(あり得ない)だけでなく、言動に妻へのリスペクトが滲み出る。妻も「夫の『男女平等』は、日頃の言動を伴うホンモノ」と手放しで絶賛する。しかしIさんも、他の日本男性同様、モラ文化の中で育ったはずだ。

 その点を問い質すと、Iさんは、「(私の)母は、4年制大学に合格したが、『女だから』行けなかった。キャリアを積みたい気持ちもあったが、私を育てるため自らを犠牲にした」「妻には夢を追求して、社会的に活躍してほしいと心から願っている」と述懐した。

 

 Iさん自身、青年海外協力隊で海外に赴き、現地で厳しい女性差別を見てきたことも、彼の人生観に強く影響したそうだ。幼少の頃の母への想いやその後の人生経験が、彼を健全男子にしたのだろう。

◆いずれ「コロナ離婚」が爆発する

 モラ夫は、意識していようが、していまいが、男尊女卑、家長制度的な価値観が超自我(自我を道徳的に指導する精神機能)に組み込まれていることによりモラ夫となる。

 したがって、妻/女性に対する支配/モラを「悪い」とは思わない。モラ夫が自らのモラを反省し、自己の価値観を修正することは全く期待できない。Iさんのように、母、妻、そして女性一般に対する愛情と敬意をもち、男女平等に生きる健全男子はまだまだ少数派である。

 経験上も、モラ夫は、たとい自ら「強く言い過ぎた」などと反省することはあるとしても、自らのモラ体質を改めることは、まずあり得ない。したがって、コロナ禍、ステイホームによりモラスイッチが入り、あるいはモラのシフトアップがあれば、元には戻らない。モラのない瞬間はあり得ても、モラ体質は改まらない。

 コロナが収束し、あるいは、コロナ後の生活に慣れてくると、妻たちは、コロナ・モラが元に戻らないことに気が付くはずだ。

 いずれ、コロナ離婚が爆発する。

<文/大貫憲介 漫画/榎本まみ>

【大貫憲介】

弁護士、東京第二弁護士会所属。92年、さつき法律事務所を設立。離婚、相続、ハーグ条約、入管/ビザ、外国人案件等などを主に扱う。コロナによる意識の変化を活動に取り込み、リモート相談、リモート交渉等を積極的に展開している。著書に『入管実務マニュアル』(現代人文社)、『国際結婚マニュアルQ&A』(海風書房)、『アフガニスタンから来たモハメッド君のおはなし〜モハメッド君を助けよう〜』(つげ書房)。ツイッター(@SatsukiLaw)にてモラ夫の実態を公開中

関連記事(外部サイト)