女性議員の割合は戦後累計で5%。ジェンダーギャップ指数121位の惨状

女性国会議員の割合は戦後累計で5% 「ジェンダー・ギャップ指数」で日本は世界121位

記事まとめ

  • 「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」で日本は121位(153ヶ国中)と過去最低に
  • 歴代の閣僚に占める女性の割合はわずか4.6%、135年間で女性の総理大臣は一人もいない
  • 女性の閣僚選出を阻むのは当選回数至上主義とされ、戦後の衆議院議員のうち女性は4%

女性議員の割合は戦後累計で5%。ジェンダーギャップ指数121位の惨状

女性議員の割合は戦後累計で5%。ジェンダーギャップ指数121位の惨状

第4次安倍再改造内閣(2019年09月11日)

 2019年12月17日に世界経済フォーラム(WEF)が発表した「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は121位(153ヶ国中)と過去最低を記録した。

 筆者は、「121位」と「過去最低」という文言に驚きを覚えたが、それ以上にメディアの報道やSNS上で121位という数字が、もの凄いスピードで消費されていく光景に強い衝撃を受け、「ジェンダー・ギャップ指数がボジョレー・ヌーボー化している」と感じた。

 11月の第3木曜日に解禁され、目を引くようなキャッチコピーがつき、味よりもこの時期に飲むこと自体がイベント化しており、一瞬で消費されるボジョレー・ヌーボー。ジェンダー・ギャップ指数も、毎年12月17日に発表され、日本の総合順位に注目が集まり、中身についての詳細な検討がされないまま一瞬で消費されている。日本では両者が同じように扱われていると感じる。

 この違和感から筆者は、121位という総合順位ではなく、121位を形成している日本社会に根付くジェンダーギャップを可視化するため様々なデータを精査した。本記事では、国政におけるにジェンダーギャップついて検証していく。

◆歴代の閣僚に占める女性の割合はわずか4.6%

 まず日本では、伊藤博文が初代内閣総理大臣に就任してから現在までの135年間に、延べ98代の総理大臣が誕生している。総理大臣経験者は62人(日本国憲法施行後は31人)だが、女性は一人もいない。

 総理大臣経験者の経歴を見てみると、ほぼ全ての人(政権交代を除く)が閣僚を複数回経験し、総理大臣になっている。そのため女性初の総理大臣が誕生するには、女性の閣僚経験者を増やしていく必要がある。しかし、女性に参政権が認められた戦後初の衆議院選挙(1946年4月10日)以降から現在までに102個の内閣が誕生し、そのうち約半分にあたる55個の内閣で女性閣僚が一人も存在しなかった。

 また、これまでに853人の閣僚経験者が誕生し、そのうち女性は40人(述べ人数は96人)で、女性比率はわずか4.6%だった。現在の第4次安倍第2次改造内閣では、全19人の閣僚のうち女性閣僚は森まさこ法務大臣、高市早苗総務大臣、橋本聖子五輪・女性活躍担当相の3人。

 省庁別に見てみると、内閣府特命担当大臣が41人(延べ人数)と最多で、環境大臣(環境庁長官も含む)の17人が続く。一方で、農林水産大臣と花形である財務大臣には、未だ女性は一人も任命されていない。

 UN Womenの「Women in politics:2020」によると、世界190ヶ国中最も女性閣僚の比率が高い国はスペインで66.7%(女性10人/閣僚15人中)、フィンランドの61.1%(女性11/閣僚18中)と続く。日本は15.8%(女性3/閣僚19中)で113位と世界的に低水準であることがわかる。

◆女性の閣僚選出を阻む当選回数至上主義

 日本の女性閣僚比率が低い理由の一つに、年功序列の当選回数至上主義があげられる。日本の政界では台湾のIT担当大臣のように能力のある人が適切な肩書きを与えられるのではなく、当選回数が重要視される。衆議院議員の女性約2割(46人中9人)と参議院議員の女性約5割(56人中28人)が当選1回目の新人議員であるように、女性のベテラン議員が少ないため、現行の慣習の中でスペインのような閣僚女性比率になるのは困難だ。※2020年4月時点

 さらに与党である自民党には、大臣適齢期と呼ばれる暗黙のルールがあり「衆議院で当選5回以上か、参議院で当選3回以上の人が大臣に選ばれる」が基準とされており、現在の第4次安倍第2次改造内閣では、小泉進次郎環境大臣(衆議院当選4回)を除く全員がこの基準をクリアしている。現在の自民党所属議員でこの基準を満たしているのは、男性議員143人(355人中)に対し、女性議員はわずか13人(40人中)で、閣僚の女性比率が低い一因と考えられる。※2020年4月時点

◆戦後に誕生した衆議院議員のうち女性はわずか4%

 総務省の衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査結果調によると、1946年の戦後初の衆議院議員総選挙から現在までに27回の衆議院議員総選挙が行われ、1万3078人が当選し、そのうち女性は525人。女性比率はわずか4%だった。

 参議院選挙でも総務省の参議院議員通常選挙結果調によると、1947年の第一回参議院議員選挙から現在までに25回の参議院議員選挙が行われ、3256人が当選し、そのうち女性は343人。女性比率はわずか5.3%だった。

 特に衆議院議員総選挙では、1949年の第24回から1993年の第40回までの44年間で、当選者に対する女性比率が1%と2%の間を行き来する時代があった。戦後初の第22回衆議院議員総選挙での当選者に対する女性比率8.4%を更新したのは、59年後の2005年の第44回衆議院議員総選挙の時だった。

 通算のデータでみると、日本の政治の舞台で女性がマイノリティーなことが一目瞭然で分かり、男性主導で戦後の日本社会が形成されたことで、社会の様々な場にジェンダーギャップが生じている。

 現在では、衆議院に46人(定数465人)の女性議員が所属しており、女性比率は9.9%。参議院には56人(定数245人)の女性議員が所属しており、女性比率は14.4%と、30〜40年前に比べれば増加しているものの、Inter-Parliamentary Unionの公表データによると、世界の女性議員の平均比率は、下院又は一院が23.8%、上院が23.9%であるため、国際社会と比べれば低水準だと分かる。

◆女性候補者自体が少ない

 国会での女性議員を増やすためには、必然的に女性候補者を増やさなければならない。ここ20年間での候補者における女性比率は、参議院選挙では20%台前半を推移し、衆議院議員総選挙では10%台後半を推移している。

 筆者が独自に調査したところ、小選挙区制が導入された1994年以降の衆議院小選挙区において、衆議院総選挙だけでも8回行われているにも関わらず、一度も女性の候補者が誕生していない区が18選挙区あった。

 18選挙区の内訳は、群馬3区、東京7区、東京18区、新潟3区、富山2区、富山3区、福井2区、静岡6区、愛知13区、滋賀4区、兵庫4区、兵庫12区、長崎3区、長崎4区、宮崎3区、鹿児島4区、沖縄2区、沖縄4区。

 特に、渋谷区や品川区といった日本で1番多様性やジェンダー平等などの政策が進んでいる自治体を選挙区に持つ東京7区で、女性の当選者どころか候補者すら出馬したことがないことに、筆者は驚きを感じた。

 さらに、衆議院小選挙区で女性が当選したことのある区は58選挙区(289選挙区中)しか存在しなかった。また参議院選挙では全国区制が廃止され、拘束名簿式比例代表制を導入した1983年以降の37年間で女性の当選者が存在しない選挙区は岩手県、群馬県、富山県、石川県、福井県、長野県、奈良県、和歌山県、鳥取県、山口県、佐賀県、宮崎県、鹿児島県の13県あった。

 余談になるが、衆議院議員選挙の小選挙区と参議院議員選挙の選挙区での女性当選者と、女性知事、女性の市区町村長が一人も誕生したことのない都道府県は岩手県、富山県、石川県、鳥取県、佐賀県、宮崎県、鹿児島県の7つも存在した。

 「女性議員を増やす必要はない」と言う人もいるが、政治分野で女性議員が増えることの意義については、2015年12月25日に閣議決定された第4次男女共同参画基本計画の中で、”政治分野における女性の参画拡大は、政治に多様な民意を反映させる観点から極めて重要である。”と施策の基本的方向性として規定されているように、疑いようのないものである。

◆日本版パリテ法、自民党と公明党が守らない現状

 このような現状を変えるために、超党派の国会議員で組織された「政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟」によって議論が行われ、2018年5月16日に「政治分野における男女共同参画推進法(通称:日本版パリテ法)」成立した。この法律では各政党に対し、衆議院、参議院及び地方議会の選挙において、男女の候補者数をできる限り均等にするよう努力義務を課している。

 この法律が施行されて初の国政選挙となった2019年7月の参議院選挙では、社民党が女性候補者比率71.4%で最も高く、日本共産党が55%、立憲民主党が45.2%とほぼ男女が均等だった。一方で与党の自由民主党は14.6%、公明党は8.3%と均等には程遠い数字だった。政治分野における男女共同参画推進法は各政党へ努力義務を課しているのみなので、自由民主党や公明党へ対し罰則などは存在しない。しかし政治家たち自身が立法した法律を、自らが守らないという現状には疑問を抱かざるを得ない。

◆女性が政治家になりにくい環境

 女性議員の少なさについて、「立候補しない女性に問題がある」と原因を女性側に押し付ける人もいるが、現状はそこまで単純ではない。内閣府男女共同参画局が2018年3月に発表した調査では、全国の女性地方議員約4000人に「女性地方議員が少ない原因として考えられる理由」を質問した。すると、「議員活動と家庭生活(子育てや介護等)との両立が難しい」と答えた人が最も多く78.6%、「家族や周囲の理解を得づらい」73.4%、「政治は男性が行うものという固定的な考え方が強い」59.1%と続いた。

 同アンケート調査で、「所属議会における託児所と授乳室の設置状況」について質問したところ、託児所については97%が、授乳室については95%が「設置されていない」と答えたように、議員活動と子育ての両立がそもそも想定されていない。

 また、本人の出産を欠席事由に認めていない市区町村議会の数が、未だに51議会も存在しており女性の被選挙行使を躊躇させる障壁が存在している。議員本人の出産だけでなく、配偶者の出産や育児、家族の介護についても欠席事由として認めていない自治体が数多くあり、男女問わず生活を犠牲にしなければ議員活動を行えないという状況がある。

 「家族や周囲の理解を得づらい」いわゆる家族ブロックに関しても、「義父母から家の名を汚すと猛反対され、旧姓での立候補を強いられた」と語る女性候補者や、夫から家事・育児への支障がでない範囲内での活動という条件を課され立候補した女性候補者は、「男性候補者の多くは妻のバックアップのもと活動しており、メディアもその状況を内助の功と美談として報じる。一方で女性候補者は、家事や育児の家庭内での仕事をこなしながら日々の活動を行わなければならず、どうしても男性候補者に比べ活動時間が限られてしまう」と筆者に語ってくれた。

 本記事で検証してきたように、日本社会では各ステージごとに『防弾ガラスの天井』が行く手を阻み、女性総理大臣が誕生しない現状がある。その一方で日本では、「日本社会におけるジェンダーギャップの有無について」という本来必要のない議論が行われている。そのような不毛な議論へ終止符を打ち、ジェンダーギャップを是正するための議論や施策を考え社会を前進させるべきだ。

<文/日下部智海>

【日下部智海】

1997年生まれ。明治大学法学部卒業。フリージャーナリスト。特技:ヒモ。シリア難民やパレスチナ難民、トルコ人など世界中でヒモとして生活。社会問題から政治までヒモ目線でお届け。Twitter:@cshbkt

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