トラックドライバーの知られざる車内生活。調理器具を持ち込み自炊する人も多数

トラックドライバーの知られざる車内生活。調理器具を持ち込み自炊する人も多数

トラックドライバーが車内に積んでいる食料

◆過酷な仕事の中のオアシス

 「トラックドライバーが一般ドライバーに知っておいてほしい“トラックの裏事情”」をテーマに紹介している本シリーズ。

 昨今のコロナ禍によって、色々な意味で注目されることが増えたトラックドライバーだが、時折「彼らはどうやって寝ているのか」、「食事はどうしているのか」という質問をいただくため、今回は、現役のトラックドライバーたちに取った「トラックドライバーとしての必需品は何か」というアンケート結果を元に、彼らの“日常生活”を紹介していきたい。

 1週間以上自宅に帰れないことがある彼らにとって、トラック車内(キャビン)は仕事場でありながら、第二の家でもある。その「家」としての機能を果たす中でも最も重要なスペースになるのが、「寝台」だ。

 

 最近知られるようになってきたが、大型トラックの多くには、運転席の後部に大人1人が横になれるベッドスペースが付いている。

 安全運転をするうえで眠気が最大の敵となる以上、ドライバーにとっては「睡眠」も仕事のうちの1つといっていい。そのため、「寝台が付いていないトラックに乗れと指示された瞬間、会社を辞める」というドライバーがいるほど、彼らにとっては大事な空間になる。

◆ドライバーたちの、寝台へのこだわり

 そんな寝台に使用する寝具において、トラックドライバーは概ね「布団派」、「毛布派」、「寝袋派」に分かれる。

 今回、トラックドライバーたちに寝具について聞いてみたところ、約半数が「布団を敷いて寝る」、2割が「マットレスにブランケットや毛布を合わせて使う」、2割が「寝袋で寝る」と回答した。

 

 少しでも楽を求めるのならば、やはり布団で寝た方が寝心地はよく、疲れも取れやすい。が、「敷きっ放しにすると生活感が出る」、「運転席のリクライニングが倒せなくなる」、「寝相が悪くて布団が吹っ飛ぶ」という理由から、「寝袋派」や「毛布派」も多い。寝袋や毛布だとコンパクトに畳めるだけでなく、日干しするのも楽なのだ。

 また長距離トラックドライバーが必ずといっていいほど載せているものの中には、シャンプー、リンスなどのお風呂セットもある。ベッドは付いていても、無論トラックには風呂や洗濯機までは付いていない。そのためドライバーは、各地に点在するシャワー施設を毎度利用するのだ。

 最も人気なのが、以前にも紹介した、ガソリンスタンドが厚意でトラックドライバーに開放している無料のシャワールームだ。それ以外にも、サービスエリアやパーキングエリア、道の駅、トラックステーションなどにも有料のシャワールームや風呂が設置されているが、そのほとんどにシャンプーやリンスなどのアメニティは付いていないため、長距離ドライバーには常備必須のアイテムとなる。

◆中には電子レンジやフライパンで自炊をする人も!

 長距離トラックの車内にある程度の食料があることは、誰しも想像が付きやすいところだろうが、彼らが備蓄する食料の種類や量は、おそらくその想像をはるかに超えている。

 彼らは、非常事態などによって突然クルマに閉じ込められた時のために、数日〜2週間、中には1か月ほどの食料を備蓄している人も多い。とりわけ雪国や、荒天候を走ったりするドライバーは非常食に対して敏感になる。

 驚くべきは、その種類だ。インスタントラーメンはもちろん、缶詰、パスタ、パスタ、餅やコメまである。

 実はトラックドライバーの中には、車内で自炊をする人が多くおり、ドライバーの間では、こうして自炊した食事を「トラック飯」と呼んだりしている。

 パスタやコメがあるということは、もちろん調理器具もあるということ。ポットや冷蔵庫はもちろん、鍋、フライパン、カセットコンロ、炊飯器、さらには電子レンジまで備え付けるツワモノまでいるのだ。

◆全国を回るからといってご当地グルメにありつけるわけではない

 彼らが自炊をする理由は主に3つある。1つは、自炊のほうが安上がりであること。外食の多いトラックドライバーは、食費が10万円近くにもなる場合もある中、自炊をすることで3万円程度に抑えられる。

 また、「外食に飽きる」というのも自炊の理由の1つ。トラックは日本各地を走り回るため、行く先々でご当地グルメを食べ歩けるというイメージがあるかもしれないが、実際は車体の大きいトラックが入れる店も、店探しをしている時間もそう多くないため、どうしてもコンビニ弁当などに頼りがちになるのだ。

 そして残る1つは、「感染防止対策」だ。

 今回のコロナ禍では、各地を回るトラックドライバーは「感染高リスク者」とされ、職業差別の対象になったこともあったが、実際のところは、彼らは基本1人で作業することがほとんどであるため、感染リスクはむしろ低い。さらには、こうしてできるだけ車内から出ないようにしたり、中には、会社がドライバーに車内用炊飯器を支給するなどして、感染リスクを減らす工夫をしているのである。

<取材・文・写真/橋本愛喜>

【橋本愛喜】

フリーライター。元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場を訪問。ブルーカラーの労働環境問題、ジェンダー、災害対策、文化差異などを中心に執筆。各メディア出演や全国での講演活動も行う。著書に『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書) Twitterは@AikiHashimoto

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