ウーバーイーツ、自粛特需の素人参入で、荒れるマナーに古参が激怒。女性配達員は思わぬ恐怖も

ウーバーイーツ、自粛特需の素人参入で、荒れるマナーに古参が激怒。女性配達員は思わぬ恐怖も

ウーバーイーツ、自粛特需の素人参入で、荒れるマナーに古参が激怒。女性配達員は思わぬ恐怖もの画像

「新しい生活様式」が提唱され、デリバリーサービスが急激に浸透。その代名詞とも言えるウーバーイーツに、厳しい目線が注がれている。配達員と本部の安全意識を問う。

◆街中では危険運転の悲鳴が! 責任の所在はどこにある?

 スピード運転、信号無視、運転中のながらスマホ……。特需の裏でウーバーイーツの危険運転がたびたび目撃され、世間から非難の声が上がっている。事故に遭った20代の男性は、語気を荒げてこう語る。

「歩道を歩いていたら、後ろからウーバーイーツの自転車に猛スピードでぶつけられ、その衝撃と痛みでうずくまりました。なのに、配達員は声をかけることもなく、そのまま走り去っていったんですよ!? 人としてあり得ない!」

 一般人だけではなく、同じウーバーの配達員からも怒りの声が上がっている。キャリア3年の杉原大吾さん(仮名・42歳)は「許せない」と憤る。

「一部のバカのせいで『ウーバーイーツ配達員はマナーが悪い』というイメージが定着しつつある。それで、最近は普通に運転しているのに車から煽られることもある。だから違反行為を見かけたら、必ず注意しているんです。先日も、逆走している自転車を見かけて呼び止めたのですが、そもそも交通ルールを知らないからか、きょとんとしてました。呆れますね」

 ほとんどの配達員は安全運転をしているものの、一部の危険運転の配達員が後を絶たないのはなぜなのか。どうやら、手軽に仕事を始められるというメリットが裏目に出ているようだ。杉原さんは続ける。

「私が配達員を始めた頃は、自転車やバイク好きが高じて配達員になるケースが多かった。だから、交通ルールを熟知している人がほとんどだったけど、約1年前から誰でも簡単に始められる仕事という認識が広がって、知識が不十分な人が増えた。さらに、コロナの影響で事務所が閉鎖され、登録会への参加が不要になり、電話一本で始められるようになった。それで普段運転しない層が数多く流入し、悪目立ちするようになったと思われます」

◆交通ルールを理解できていない配達員も

 3月から配達員を始めた中川圭太さん(仮名・20歳)は、交通ルールをあまり理解できていない。

「運転免許を持ってないので、交通ルールはなんとなくしか知りません。地方出身者からすると東京の道路は複雑で、三叉路とかどうやって渡るべきなのか難しい」

 また、別の新人配達員の菅由彦さん(仮名・27歳)はこう語る。

「上司もいないし、スマホで完結するので、ゲーム感覚でやってる人は多い。配達員同士で時給換算した金額でマウントを取り合ってて、『今日は何件いけるか? いくら稼げるか?』と、いつのまにか競争意識が芽生えてしまうんです」

◆安全対策は形だけ? ウーバー本部の言い分

 4月に軽乗用車と衝突した20代の男性配達員が死亡し、5月には自転車で首都高速を走行する事案が発生。警視庁は運営会社のウーバーイーツジャパンに対し、交通ルールの順守を徹底させるよう要請した。現状では、安全指導が十分とは思えない。

 新人の中川さんは「交通安全のメルマガは届くけど、ぼんやりした内容で最後に警視庁のリンクが貼ってある簡易的なもの。読んでない人も多いと思います」と話す。

 古参の杉原さんは「本部は交通安全教室を実施していると言いますけど、希望者のみ。しかも年数回の30〜100人の小規模で、抽選に漏れることがある。既成事実をつくりたいだけですよ」と指摘。

 事故の対応も冷酷なものだ。冒頭の衝突事故に遭った男性は、警察に被害届を出し、ウーバー本部には犯人の特徴を詳細に伝えたが、対応は定型文の謝罪のみだった。

 配達員には、自動的に加入される保険があるものの、それも不安要素が大きい。キャリア1年の渡部悠紀さん(仮名・31歳)は、スマホでウーバーイーツのアプリを見ていたため、前方不注意で車と対物事故を起こしてしまった。

「本部に電話したら、保険を適用する代わりに、アカウントは停止になると説明されました。しかも、いつ復活するのかはわからない、と。コロナの影響で、ウーバーイーツを本業にせざるを得なかったので、『保険について聞いてみただけです』と電話を切りました。加入していたバイク保険は業務中のため適用外。稼ぎ口を失うくらいならと、仕方なく車修理代24万円を自腹で払って対処しました」

 事故は自己申告で、報告しなかったことによるペナルティはない。つまり、事故でどんな対応をするかは、配達員次第だ。たとえ、もらい事故であってもアカウント停止になると配達員の間で噂されており、本部への信頼度は低い。

 ウーバーイーツの問題に詳しい弁護士の川上資人氏は、本部の対応の背景を次のように解説する。

「配達員は個人事業主にあたり、ウーバーイーツとの間に雇用関係はありません。だから、配達員が起こした事故の責任を取る必要はないというのがウーバー側の主張。このような無責任な姿勢が、安全運転の指導にも表れているように感じます。しかし、民法715条は『事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業を執り行う際に第三者に加えた損害を賠償する責任を負う』と定め、この使用者責任は広く解されており雇用契約に限定されない。ウーバー側の使用者責任は明らかです。また、’19年10月にウーバーイーツユニオンが立ち上がっても、ウーバー側は団体交渉に応じないままで、労組法上の使用者としての責任も果たそうとしない。多くの配達員がユニオンに加入し、社会問題化させていくしかないでしょう」

 ウーバーイーツ以外にもフードデリバリーサービスは増加している。先駆けとなったからには、模範となる対応を期待したい。

◆差し入れに「謎の白い液体」身の危険に怯える女性配達員

 使用者責任から逃れようとするウーバー側は、当然配達員を守る気はサラサラなく、さまざまな危険に晒されているのも現実だ。

 最近は、女性の配達員の姿も珍しくなくなった。ただ、危険と隣り合わせで働いていることを配達員の斎藤あかりさん(仮名・24歳)は教えてくれた。

「お客さんから差し入れをいただくことがあるのですが、パジャマ姿の中年男性から『飲む?』と差し出されたのが、白い液体が入った謎の瓶。パッケージはなくて、それが何なのかは怖くて聞けず、丁重に断りました。あと、商品を渡す際に不自然に手をベタベタ触られたり、パンツ一丁で出てきてニヤニヤしてる人もいて不快でした」

 ほかにも、玄関口で部屋に連れ込まれそうになった被害も聞いたという。利用客に問題がある場合、本部に連絡すれば、今後該当者の配達は割り当てられないように措置が取られる。だがそれ以前に、アプリで配達員の顔写真が表示され、女性配達員が来るとわかる仕様を問題視する声が上がっている。

 また、配達員はSNSで繋がって情報共有している人も少なくない。それが、トラブルになるケースもあるようだ。

「女性配達員がいるエリアに、フォロワーの男性配達員が『会いにきちゃった』って待ち伏せしてたんです。私も『さっきこの辺りにいました?』とDMが来たことがあってゾッとしました。ネットストーカーされて配達員をやめた人もいましたよ」

 米ウーバー・テクノロジーズでは、ライドシェアサービスでの性犯罪が2年間で、約6000件も発生していたことを明らかにした。アプリに警察に通報できる緊急ボタンを設けるなど、安全機能を強化している。こういった機能をフル活用して自衛しなければ、深刻な被害が発生しかねないだろう。

取材・文・撮影/SPA!編集部

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