都立高校のツーブロック禁止問題。「人は見た目によらない」の真偽と問題の本質

都立高校のツーブロック禁止問題。「人は見た目によらない」の真偽と問題の本質

A_Team / PIXTA(ピクスタ)

 池川友一都議会議員がtwitterに投稿した「都立高校の校則。なんでツーブロックはダメなのか。」に関する答弁の動画が 590万回以上再生されている。

◆見た目にこだわる校則は誰のため?

 動画の内容は、東京都予算特別委員会での質疑で池川友一都議会議員が、「なぜ、ツーブロックはダメなのでしょうか?」と質問をしたところ、藤田裕司教育長が「外見などが原因で事件や事故に遭うケースなどがございますため、生徒を守るための趣旨のものでございます」と返答するというものだ。

 これに対してツイッター上では、「ツーブロックは今では当たり前の髪型」「個人に介入しすぎだ」など、ツーブロック容認に賛同する声や、「ツーブロックを禁止する理由がある」「不良やチンピラから保護する意味としては正しい」とツーブロック禁止に賛同する声など、賛否両論のコメントが投稿されている。

 そもそも、ツーブロックの髪型にもさまざまな種類があるなかで、賛成者や反対者の前提条件が違うコメントが多いような気もする。清潔感のあるツーブロックの話をしているのか、周りに威圧感を与えるツーブロックの話をしているのか、悪目立ちするツーブロックなのかなど、定義がバラバラな状態で議論が過熱している印象だ。

◆人間性や感情も見た目で判断

 たしかに、人間は相手の見た目から、その人の人間性を約9割判断してしまうと言われている。また、「メラビアンの法則」にあるように、話し手の感情や態度を、見た目などの視覚情報から優先的に判断する。

 例えば、営業マンなら清潔感のない人よりも、清潔感のある人の言葉が信頼されやすいし、テレビCMでイケメンや美人の芸能人が、「私のオススメ」と宣伝するだけで商品が飛ぶように売れてしまう。

 ほかにも、街中で誰かの手を借りたいときに、あなたは周りを歩く人の外見を見て、声のかけやすさを判断して行動するだろう。

 また、政治家の演説や選挙ポスターを見てみると、髪を左右に流したり、オールバックにして額を出す髪型が多いはずだ。それで、見た人に大人っぽさや清潔感、信頼感を与えて印象操作を行っているのだ。

◆混乱を招く謎の校則

 以前、紹介した「割れ窓理論」のように、見た目によって印象が変わると、自分の扱われ方や、それに伴って集まってくる人のタイプも変わるだろう。

 ツーブロックを禁止するという教育長の言い分に不満が出るのは無理もない。だが、心理的に見た目が周りの人の考えに影響を与えるのも「真実」ではある。もちろん、何も定義づけなしに一律禁止というのに疑問は残るが、もしかしたら教員側は間接的な方法で事件や事故から生徒を守っていると言えるかもしれない。

 ただ、それが因果関係が不明確だったり、現場の教職員が、そのルールが存在する理由について生徒に説明ができず、ルールを押しつけることになってしまうのだ。

 そういう状況を打破するために、池川議員はある提案をしている。それはTwitterにアップされた動画には含まれていないが、それこそが池川議員が言いたかったことの本質なのではないだろうか。

◆本質はルール作りの仕組みにあった

 池川議員の一連のツイートや予算特別委員会での答弁を確認すると、言いたいことの本質は「ツーブロックがダメなのはおかしい」のではなく、「校則は生徒と保護者の声を聞いて決めるべきだ」ということのようだ。

 ツーブロックが良い・悪いというひとつのルールにフォーカスしたいのではなく、そのルールが作られていくプロセスを見直す必要性があるという社会問題にフォーカスしている。校則はどのように具体化するかは学校に任されているのだから、そのような運用をするように変化させることも可能なはずだ。

 【参考資料】

 『人は見た目が9割』竹内一郎・新潮新書

<文/山本マサヤ>

【山本マサヤ】

心理戦略コンサルタント。著書に『トップ2%の天才が使っている「人を操る」最強の心理術』がある。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催中。

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