「安心して感染したい」!? 新潟県見附市のFacebookページに投稿された衝撃的タイトルの漫画に込められた作者の思い

「安心して感染したい」!? 新潟県見附市のFacebookページに投稿された衝撃的タイトルの漫画に込められた作者の思い

見附市役所公式Facebookページより

◆「安心して感染したい」

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。全国の感染者数は、延べ3万4806人(7月30日時点)に上り、死亡者数も1000人を超えた。感染者が周囲からの非難や嫌がらせに直面するケースも相次いでいる。

 佐賀新聞LiVEは7月15日、感染者やその家族が特定されたり、中傷されたりするケースがあると報道。なかには家に石を投げ込まれた人もいたという。岡山県内でも感染者が特定され、嫌がらせを受けるケースが相次いでいる。山陽新聞が6月10日に報じた。

 そうしたなか、新潟県見附市(みつけし)が市役所の公式Facebookページに投稿した漫画が反響を呼んでいる。漫画のタイトルは「安心して感染したい」。

◆感染したら村八分にされるという不安

 「安心して感染したい」では、住人たちが次々と感染を恐れる発言をする。そのいずれもがコロナウイルスそのものを恐れているというよりは、周囲の目を恐れている発言ばかりだ。

「狭い町で噂になるから一人目の感染者にだけは絶対になりたくないわ〜」

「感染したって分かったらこの町ん中ですぐに村八分にされんぞ〜」

「周りから陰口叩かれてこの町に住めなくなる」

 作者である見附市公式レポーターの村上徹(むらかみとおる)さんは、「周囲の人たちからこうした言葉を聞いてモヤモヤしていた」と話す。

「モヤモヤを形にしようと思って、とりあえず漫画を描き始めたんです。その過程で自分も人の目を気にしていること、わざわざ口に出さなくても同じようなことを思っているところがあると気が付きました。コロナウイルスについては治療法もまだなく、やっぱりみんな怖いですよね。みんなが感染のリスクに晒されて怖い思いをしているときに、お互いに傷つけ合ったり、いじめにつながるようなことを言うのはやめたいと思いました。そういう自分の気持ちをそのまま漫画にしたんです」

 こうした思いを込め、漫画の最後には「誰もが感染する可能性がある中で、こんな声を聞くと『噂するのも村八分にするのも後ろ指さすのも陰口を叩くのもウイルスじゃない。この、「ひと」なんだよなぁ』と、思う。見附人として互いを想い合う温かい『ひと』でありたいと願う」と綴った。

「正直、市内で感染者が出たら『誰なんだろう』『近所じゃないといいな』と思ってしまうと思います。でもそれを口にしたらいじめにつながってしまう。誰が感染しても誹謗中傷しないような空気になってほしいですね」(村上さん)

 

◆「温かい気持ちで感染者をいたわり、見守れるようになりたい」

 この漫画は大きな反響を呼び、コメントは100件近く、シェアは1600件以上に上っている。隣接する三条市に在住する男性は、「三条にも(感染者が)出ました。御多分に漏れず『誰だ!』『何処の人』など詮索の多い事!」とコメント。岐阜県に住んでいるという女性も「本当に怖いのは病気ではなく、地域にウイルスを持ち込んだという犯罪者扱いです」と共感を寄せた。

 こうした書き込みからは、感染者が地域で後ろ指を指される現状が透けて見える。しかし感染しないように注意を払っていても、いつ誰が感染してもおかしくないのがコロナウイルスだ。感染者を責めても仕方がない。

 見附市役所でFacebookを管理する担当者は、「市では、三密を避ける、新しい生活様式を実践するといった感染症対策を実施しています。そのおかげで、まだ市内で感染者が出ていません。だからこそ多くの人は、一人目の感染者になってしまうのではないかと不安に思っているようです」と話す。

 漫画については、「見附市で生活する人同士、温かい気持ちで感染者をいたわり、見守れるようになりたいと思った」と共感を寄せた。

◆SDGsに積極的な新潟県見附市

 見附市は、新潟県中部に位置する。人口はおよそ4万人(2020年7月1日現在)の小さな市だ。SDGs(持続可能な開発目標)に積極的に取り組み、今年7月1日には、「自治体SDGsモデル事業」の一つに選ばれている。

 同市が特に重点を置いているのが、自動車依存から脱した「歩いて暮らせるまちづくり」だ。歩道を整備してウォーキングを推奨するとともに、コミュニティバスを活用し、排気ガスの抑制につなげる狙いがある。

 また前出のSNS担当者の女性によると、観光名所としてはみつけイングリッシュガーデンが人気だという。

<取材・文/HBO編集部>

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