コロナ禍で震災が発生したら……私たちが今すぐに準備しておくべきこととは?

コロナ禍で震災が発生したら……私たちが今すぐに準備しておくべきこととは?

写真/時事通信社

 新型コロナウイルスの感染が日本でも拡大し始めた頃「このタイミングで災害が来たら大変なことになる」という不安の声が各方面から聞こえて来ました。

 実際、今年7月には豪雨災害が熊本を中心に襲い、今なお多くの人が避難所での生活を余儀なくされています。コロナ以降の災害対策とはどんなものなのか、緊急情報配信サービス「Spectee」を運営する株式会社Specteeの代表・村上建治郎氏にお話を伺いました。

◆災害時の感染症対策のノウハウを国や自治体は持っていない

 コロナ禍で災害が発生した場合、避難所が「密」になってしまうことが懸念されていました。熊本では、避難所の収容人数を制限しているものの、「密」を避けるのはやはり難しいようです。これらについて、村上氏の目にはどのように映ったのでしょうか。

――報道などで避難所の様子をご覧になった感想をお聞かせください。

 消毒液の設置やソーシャルディスタンスなど、やるべきことを頑張っていらっしゃるのは見えました。ただ、これだと収容できるキャパシティは限られてきますので、もし人口の多い都市部で災害が発生した場合、避難所でソーシャルディスタンスを保つのは難しくなると思われます。

――現在はまだ、国や自治体は避難所での感染防止について、対策を取っていないのでしょうか。

 5月頃のアンケートでは、避難所の備蓄品の中に食料や水はあるのですが、マスクや消毒液の備蓄があると答えたところはほとんどありませんでした。もともと想定していなかったということですね。

――では今後、どういった手段を打たなくてはいけないのでしょうか。

 避難所のキャパシティが足りなくなることが想定されるので、国や自治体が、ホテルなどの民間の施設を避難所として使えるようにしていくことが必要になると思います。

◆南海トラフ地震でされる、避難所の感染者数とは

 コロナウイルスが流行する今、南海トラフ地震が東日本大震災の規模で発生したとすると、スペクティの試算では、避難所だけで60万人もの感染者が発生すると考えられています。あまりに大きな感染拡大の様々な原因についても、お考えを伺いました。

――災害時の方が平時以上に感染拡大する主な原因はなんですか?

 やはり避難所は、衛生環境がいいとは言えないために、感染症は広がりやすくなってしまいます。そして密になってしまうということです。東日本大震災の時に、インフルエンザが広がった避難所がありました。他にもノロウイルスが拡がった例もあります。

 災害が発生してすぐは、怪我などの治療が必要な方が多いのですが、時間が経つと気管支系の感染症の患者が増えてくるという研究結果もあります。

――避難中にコロナウイルスへの感染が確認された場合は、どうなるのでしょうか。

 災害時は医療の助けが必要な方を怪我の程度などである程度優先順位を付けて治療が行われますが、それは主に怪我などの話なので、そこにコロナのような感染症が入ってくるとは現時点では想定されていないと思いますね。

――感染拡大を防ぐために対策すると、避難にどんな支障が出ますか?

 内閣府は、南海トラフ地震が発生した時に、約460万人が避難することになると発表しているんですが、それに基づいて計算をしてみると、ひとつの避難所で200人程度の避難者を受け入れなくてはいけないことになります。この人数でソーシャルディスタンスを取るのは難しい状況です。

――その場合、密に目をつぶって避難者を詰め込むのでしょうか?それとも避難所に拒否されるのでしょうか?

 現時点では、密を作るわけにはいかないので、定員を超えた避難所では拒否されてしまうことがあると思います。また、溢れてしまった人をどうするかというガイドラインは、現時点ではどの自治体にもないと思われます。

◆国や自治体が取るべき対策とは

 準備はまだできていないと言いながら、この瞬間にも起きるかもしれない大規模災害。コロナの感染拡大を抑えながら災害からも身を守るために、早急に準備しておきたいこととは。

――リスクを避けるため、国や自治体ができることはどんなことですか?

 すぐにできることは、避難所のためにマスクや消毒液を備蓄しておくということです。それから、先ほどお話しした通り、公共施設だけでは避難所が足りなくなることが想定されるので、ホテルや旅館などの民間施設を使えるようにするための「法整備」や「事前交渉」をしておかなくてはいけませんね。今回は、たまたまアパホテルなどが手をあげてくれたからよかったものの、今後は準備が必要ですね。

◆私たちが取れる対策とは

――私たち個人ができることはどんなことですか?

 避難所に行かずに、自宅にいるという「在宅避難」の可能性についても考えていかないといけません。ただこれはすごく難しいことで、家にいる方が危険な場合もあるなかで、その判断を個人に委ねるということになります。

――その判断を下す材料は、災害が起こる前に揃えておかないといけませんね。

 自分の地域や自宅は、豪雨ではどうなのかとか地震だったたら大丈夫なのかという、あらゆる災害を想定して、あらかじめ安全性を知っておかなくてはいけません。それから、備蓄ですよね。マスクや消毒液を含めて備えられているかは確認しておいた方がいいです。

――マスクや消毒液は、具体的にどのくらい準備しておくと安心でしょうか?

 食料や水の備蓄は3〜4日分だったんですよ。ただ、マスクや消毒液はそうした非常時に足りなくなってしまうので、1ヶ月分はあった方がいいと考えます。

 台風や豪雨などのように、数日前から予想ができるものもあるが、地震や火山の噴火などは突然やってきます。コロナとともに生きていかなくてはならない時代の「新しい避難様式」を私たちは、すぐにでも備えておくべきといえるでしょう。

<取材・文/Mr.tsubaking>

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