国立大卒キー局男子のぼんやりとした不安。ハイスぺなのに“非モテ”の理由とは?

国立大卒キー局男子のぼんやりとした不安。ハイスぺなのに“非モテ”の理由とは?

前田さん(仮名)

◆「AK」と背中を押されても…

 晩婚も少子化も、人々の中で当たり前のことになりつつある現代。多様化した選択肢の一つとして「結婚を選択しない道もある」と、未婚の我々の背中をさするかのように「AK(あえて結婚しない)女子」という造語が生まれたり、「東京独身男子」のようなおひとりさまドラマが流行したり。

 そういうコンテンツに勇気付けられて、なんとなく未婚のままの自分を肯定できることもある。けれど鏡の中の自分を見つめると、何年か前よりもほうれい線が濃くなっていて、心の声はまじまじとこう言い放つ。

「本当にそれでいいの?」

 焦らなくてもどうせ、晩婚の時代。それでも、青春時代に認識した”結婚適齢期”というやつはちゃんと自分の中に存在していて、どれだけメディアやコンテンツが「大丈夫だよ。AK、AK☆」と発信していても、心の片隅にある焦燥感は消えない。未婚でいい・晩婚が当たり前らしい現状と、子供の頃は当たり前だった「幸せは結婚と子育ての中に」という刷り込みとのダブルスタンダードに苦しんでしまう。

◆ハイスペなフツメン…なぜ非モテ?

 一般に、男性は幼い頃から「いい大学を卒業して、大企業に入ることで成功できる」という刷り込みを、親やテレビ、漫画などから受けている。しかし、学歴だけ持っていても結婚できるとは限らない。それなのに真面目に勉強してきた人ほど、結婚というある意味昔ながらな幸せを諦めることが難しいのだ。

「学歴もあるし、そこそこいい会社で働いていると思う。でも、自分がモテないという自覚はある」

 そう語るのは、国立大学を卒業後、キー局本社に入社して6年目の小野さん(仮名)だ。出身は北関東だが、中学からは都内の有名な中高一貫校に通っており、大学入学も就職もストレートで実現。いわゆる「ハイスペック男子」である。

「高校生の頃からニュースが好きで、就職は報道関係一択だった。好きなことを仕事にできて、かつ給料もいいとなったら、この業界を目指さない理由がなかった」

 好きなことを仕事にしていて、かつ楽しんでいる小野さん。女子からもウケが良さそうなスペックなのに、私生活は充実していないという。

「今までの彼女は二人だけ。中高男子校だったから遅咲きなのもあるけど、控えめに言っても恋愛の機会が多いとは言えなかったと思います。大学生活は好きなことを勉強できて楽しかったけど、全然モテなかった。

 大学2年生の時初めて彼女ができて、男子校時代は妄想でしかなかった女のコを、初めてリアルな存在として実感できたことは思い出深いです。それでも半年しか付き合えなかったけど……。”高学歴は卒業したらもっとモテるから”という先輩たちの言葉が、就職活動の一番のモチベーションでした」

◆ハイスぺなのに非モテ 原因はどこに

 自らを”非モテ”と自覚しているという前田さん。しかし女性から全くモテない、という風には見えない。爪が整っていたり、太りすぎていなかったりと清潔感があって、外見は”フツメン”という感じだ。その上高学歴で安定企業で働いているというのに、全くモテないなんてことがあるだろうか。……単純に本人の理想が高いという可能性もある。

「もちろんかわいいコだったら嬉しいけど、それ以上に”話が合う人”がいいなと思うようになった。社会人になってから付き合った彼女は、同期のアナウンサーに紹介してもらったコで可愛いコだったけど……興味の幅が合わず、何を話したらいいか分からなかった。

 今も合コンや相席居酒屋などに行って、出会いを探しています。ただ、いっぱしに社会人やっていれば、誰でもそれなりに仲良くなれると思うんですよ。でもそれ以上に”めちゃめちゃ気が合う人“を探すのは難しい。性欲を掻き立てられることはあっても、胸が高鳴ることがないんです」

 外見や相手のスペックにこだわるつもりはなく、ただただ価値観が合う人を求めているだけなのに、それでもいい人はいないという。合コンの帰りにワンナイトラブが起きることが時たまあっても、お互いなんとなくそれきりになってしまうことが多いそうだ。

◆遊んでみても尖りきれない、生真面目な高学歴男子の苦悩

「社会人になってからは、学生の時よりも女性に認めてもらえるようになって、5人ほどワンナイトを経験できました。自分にもそういうことができるという自信はついたけど、ワンナイトラブはあと何度やっても、同じことの繰り返しなんだろうなという悟りもあります。

 結局真面目にやってきたから、尖りきれないんですよ。悪ぶって遊んでみても、清く正しいものへの羨望も拭えないのは、きっと高学歴あるあるだと思います。学歴とかなくても反骨精神強いやつらの方が、もっとぶっ飛んでると思う。男子校で培ってしまったメンタル童貞的な部分もあって、結局はトゥルーラブを求めてしまう」

 ワンナイトの経験もあるというのだから、根っからの草食男子というわけでもないのに、女遊びにはどこか虚無感を感じてしまう。本気の交際を望んでいるものの、なかなか気が合う人に巡り会えず、彼女として交際するまでに至れないという。こうして恋愛のことを語ってもらうと、非常に系統立てて話をしてくれるので、普段から自己分析をよくしていることが伺える。

 全く女性経験がない、というわけではないながら、自らを”非モテ”と言い切るのは、頭がいいからこそ自惚れたくない、自分に正しい評価を下したいという生真面目さからだろう。

「テレビ業界の人たちって、世間よりも晩婚。30歳くらいじゃ全然遊んでるし、40歳過ぎた頃にやっと、さすがに需要が減ってきたことに気づいて焦って結婚する人が多い。そういうおじさんたちのことをかっこ悪いなと思う反面、自分もまだ妥協することができていません。

 男子校時代の友人たちを見ていても、マスコミや商社のような、華やかな業界に行ってしまったヤツは結婚してないヤツばかり。中途半端に遊べてしまったことで、まだほかにいるはずという期待をするようになっちゃうともうダメですね。最近はもう、好きな人すらずっといないです」

 都会に生き、彼女欲しさに合コンに通う。それは理にかなっているようで、実は自分のクビをしめているのだ。あまりにもカジュアルに出会えすぎてしまうからこそ、一人ひとりの出会いの重みもなくなる。都会ではあまりに、多くの人と出会えすぎてしまう。もっといい人をと思えば、世界人口35億人…きりがない、というワケだ。

 ハイスペで高学歴。結婚願望もあるのに、好きな人が作れない。真面目がゆえの苦悩であり、「AK」を割り切れないアラサーの一つのリアルを垣間見た。

<取材・文/ミクニシオリ>

【ミクニシオリ】

1992年生まれ・フリーライター。週刊誌などにアングラな性情報、最新出会い事情など寄稿。逆ナンや港区合コンの現場にも乗り込み、恋愛経験を活かしてtwitterで恋愛相談にも回答。カルチャーにも素養がある生粋のサブカル女子。Twitter:ライタ〜ミクニシオリ

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