コロナで会社が休業したときに受け取れる休業支援金申請。会社が申請に協力してくれないときは?

コロナで会社が休業したときに受け取れる休業支援金申請。会社が申請に協力してくれないときは?

コロナで会社が休業したときに受け取れる休業支援金申請。会社が申請に協力してくれないときは?の画像

◆休業支援金の申請に企業が協力してくれない

 2020年7月10日から、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」(以下「休業支援金」)の申請の受付が始まっている。

 休業支援金とは、新型コロナウイルスの影響により休業させられたけれども休業手当を受け取れなかった中小企業労働者に対して、労働者の申請により、休業前賃金の8割を国が支給するというものである。新型コロナウイルスの影響で企業経営が悪化し休業手当を支払えない・支払わない企業が数多く存在するなか、国が直接労働者を救済しようというものであり、画期的な制度である。

 しかし、筆者が事務局次長を務める首都圏青年ユニオンには、企業が労働者の休業支援金申請に協力してくれない、という相談が後を絶たない。

◆シフト労働者は休業支援金の対象にならない?

 休業支援金の申請の際には、労働者が申請する場合でも、事業主の指示による休業が発生したことを事業主が認める必要がある。事業主が協力しない場合でも申請を受け付けることになっているが、支給審査に遅れが生じるとされており、またそもそも事業主の協力なしに支給が認められるかは定かでない。したがって企業の申請への協力は重要であるが、この企業による協力を拒否されたという相談が寄せられている。なかでも多いのがシフト労働者からの相談である。

 株式会社クリエイト・レストランツ・ホールディングスのグループ企業の1つである、株式会社イートウォークは、イタリアンレストランの「AWkitchen」などを経営する飲食企業であるが、休業支援金申請への協力を拒否している。

 同社で働くアルバイトのAさんは、従来はフルタイムで働いていたものの2020年4月以降シフトが0となった。4月から6月前半までは企業からの休業手当が出ていたものの、6月後半からは休業手当が打ち切られ、休業支援金の申請を行おうとした。しかし企業に申請への協力を求めると、「そもそもシフトが出ていない期間については、休業支援金の対象となる休業とはならない」と休業支援金申請への協力を拒否された。

 シフト労働者の場合、最終的な労働時間・労働日はシフトによって確定されるため、1度シフトが出たのちに休みになった場合には「休業」と判断できるが、そもそもシフトが出ていない期間については「休業」は発生しえないということである。休業手当の支払い義務を免れるために企業がよく用いる理屈だが、その理屈が休業支援金申請への協力の際にも活用された格好である。

 しかし、シフトが出ていない期間についても休業支援金は利用できる。実際、飲食店ユニオンでは複数の企業でシフト労働者の休業支援金申請を行い、全く問題なく受給している。株式会社イートウォークの主張は明らかに誤りであり、非常に悪質な申請妨害である。現在、首都圏青年ユニオンの飲食業分会である「飲食店ユニオン」は、休業支援金申請への協力を求めて同社と交渉している。

◆厚生労働省も、シフトが出ていない期間についての休業支援金申請を認めている

 実はシフト労働者の休業支援金申請については、すでに厚生労働省のQ&Aで回答されている。

 「シフトが決まる前に休業に入ったので、申請できないのではないか。また、申請すると不正受給になるのではないか心配だと言われました。申請できますか?」という質問に対しては以下のような回答がされている。

雇用調整助成金と同様に、労働基準法上の休業手当支払い義務の有無にかかわらず、労働条件通知書等のほか休業前の就労の実態なども踏まえて、労働者と事業主双方に置いて事業主の指示で休業したと認識が一致した上で支給要件確認書を作成すれば、支援金・給付金の対象となる休業として申請することが可能です。

 ここで言われているのは第1に、使用者都合による休業について休業手当支払い義務を課した労働基準法第26条の対象となる休業なのかどうかと、休業支援金の対象となる休業かどうかは関係がないということであり、すなわち労基法上の休業手当支払い義務が発生しない場合でも、休業支援金の対象となりうるということである。

 また第2に、休業支援金の対象となる休業かどうかは、労働条件通知書や休業前の就労の実態などによって判断すべき、ということである。つまり、労働条件通知書で週当たりや月当たりの労働時間や労働日が定められている場合には、その日数・労働時間働けたのかどうかが判断基準となるし、またそうした文書がない場合でも、休業前から著しく労働時間・労働日が減っている場合には休業支援金の対象となる休業と判断してよいということだろう。

 したがって、「シフトが出ていない部分については休業支援金の対象となる休業ではない」というのは誤りである。シフトが出ていなかったとしても、労働条件通知書や休業前の就労実態に照らして労働日・労働時間が減少していたならば、休業支援金の対象となるのである。

◆シフト労働者でも問題なく受給できている

 厚生労働省のQ&Aからも、「シフトが出ていないから休業支援金の申請ができない」という主張が誤っていることは明白である。また実際、飲食店ユニオンではシフト労働者の休業支援金申請を企業と協力して行っているが、全く問題なく受給できている。いずれの事例でも、休業支援金を申請した期間はシフトが出ていなかったにもかかわらず、である。

 例えば30〜40店舗の飲食店を経営するS社では、4月後半から大規模な休業を行っており当初は休業手当を支払っていたものの、資金繰りの悪化から8月支給分から休業手当の支払いが困難になり、飲食店ユニオンとの交渉の結果、休業支援金の申請を行うこととした。飲食店ユニオンに加入するアルバイトは全員シフト制であり、シフトには4月後半以降一切入っていない。当然シフトの提出もないが、しかし休業支援金申請を企業と協力して行い、全く問題なく受給できている。

 「シフト制労働者だから」という理由で休業支援金を申請できないというのは、誤解もしくは悪質すぎる申請妨害でしかない。飲食店ユニオンでは現在、株式会社イートウォークをはじめ複数の企業と休業支援金をめぐる交渉を行っている。同様の問題を抱える労働者の方は、ぜひ一度相談してみたらいかがだろうか。

 

<文/栗原耕平>

【栗原耕平】

1995年8月15日生まれ。2000年に結成された労働組合、首都圏青年ユニオンの事務局次長として労働問題に取り組んでいる。

関連記事(外部サイト)