集客の活路は「アイドル店員」!? 窮地に立たされるパチンコ業界のもくろみ

集客の活路は「アイドル店員」!? 窮地に立たされるパチンコ業界のもくろみ

カリスマ的人気を誇るパチンコ店員が続々と登場している。画像の「ミカド五反野店」店員「あんこ」氏は、Twitter開設半年足らずでフォロワー1万人を獲得。こうした多大な影響力を持つアイドル的店員が、パチンコ店の集客の要となっているという。写真は開設からまだ2ヶ月ほどのあんこさんのYou Tubeチャンネルより

 パチンコ店による、TwitterをはじめとしたSNS宣伝活動が今、注目を集めている。

 以前にHBOに寄稿した「パチンコ業界にゆるキャラブーム。しかし、一部では謎の自主規制も」では、パチンコ店のゆるキャラブームについて取り上げたが、今、パチンコ店界隈のSNSを賑わすトレンドは実際にパチンコ店で働く「アイドルスタッフ」たちである。

◆集客に頭を悩ませるパチンコ店

 日本生産性本部が発表した「レジャー白書2019」によれば、パチンコ人口は890万人まで減少した。

 これは1年に1回以上、パチンコを遊技する人の数で、ピーク時は3000万人とも言われ、またここ数年は900万人台で下げ止まり感があったパチンコ人口が、遂に800万人台に突入した。この数字はあくまで2019年のものであり、新型コロナウイルス感染症の影響が色濃く反映される2020年の統計データは更に大幅に減少することが容易に推測出来る。

 実際にコロナ禍におけるパチンコ店の集客状況は、コロナ禍以前の状況と比べても7割〜8割程度であり、昨今のパチンコバッシングや風評被害もあり、特に高齢者層の来店が極端に減っている状況である。

 他方、パチンコ店は、一昔前であれば、出玉(大当たりや当たりやすさ)を積極的に宣伝出来てはいたが、ギャンブル等依存症問題もあり、著しく客の射幸心を煽る広告宣伝を厳しく規制されている。

 出玉をアピール出来ないのであればと、これまた一時は、芸能人やタレント、パチンコ関連ライター等を積極的にホールに呼び集客の起爆剤にしようとする流れもあったが、広告宣伝規制に抵触するとの指摘を受けたり、またコロナ禍において「人を呼ぼうとする行為」自体が非難の的になり得たりするという観点から今は自重されている。

◆注目を浴び始めた「ホールスタッフ」による宣伝

 このような状況において注目を浴びているのが、ホールスタッフによるSNSの宣伝活動である。

 パチンコ店に限らず、飲食店を始めとした「客商売」を営む店であれば、SNSを利用した積極的な宣伝は少なからず行われている。所謂「看板娘」と言われるような女性スタッフがその発信の多くを担っている場合も多々ある。そのようなSNS宣伝活動とパチンコ店のそれとは何が違うのか。

◆スタッフのアイドル化は集客の活路になるのか

 SNSを利用したパチンコ店の宣伝は、SNSの普及初期から行われていたが、その多くは、新聞の折り込みチラシと大差のない「新台入替」等の告知か、または社内活動の報告のようなものが多かった。しかし昨今の「アイドルスタッフ」によるSNS宣伝は、明らかにそのような宣伝とは一線を画する。

@圧倒的な発信力とコミュニケーション能力

 パチンコ業界で注目されるSNSのアイドルスタッフらは、1万人以上のフォロワーを持つばかりではなく、その様々なコンテンツや流行アプリを駆使した発信やフォロワーたちとのリプライやコメントを通じたコミュニケーションを積極的に行い、自身の好感度ばかりではなく、店舗や企業の好感度の向上に努め、圧倒的なファンの支持を獲得している。

 一つの投稿に1000以上の「いいね」が付いたり、一つの動画投稿の視聴数が1万を軽く超えたりすることも頻繁なことだ。冒頭の画像で紹介した「ミカド五反野店」のアイドル店員・あんこさんのTwitterも、パチンコと無関係のツイートにも1000以上のいいねが付くほど。

https://youtu.be/jp6oS5qfEQ0

 これらの発信活動をパチンコ店の接客業務の合間に行う。勿論、店側の協力があってこそのことであるが、アイドルスタッフ達はパチンコ店の宣伝の枠を越え、私生活や交友関係を積極的に公開することにより、ファン層の幅を広げ、SNS界隈のインフルエンサーと呼ばれる人たちと大差ない影響力を保持している。

 なかには、パチンコ店のみならず地域商店街の集客のためのアイコンとしての役割を担うスタッフや、新卒採用・若手採用の広告塔として活躍するスタッフもいる。まさに八面六臂の活躍である。

Aフォロワーを集客に繋げ、ファン満足度をマネタイズする

 アイドルスタッフの凄さは、フォロワーの多さを集客に結びつけているところである。

 アイドルスタッフによるファンの獲得は、そのパチンコ店の集客に直結している。本来、パチンコ店の集客の要素は「出玉」か「立地」の二択であったが、今や「(スタッフの)○○ちゃんに会いに行くためお店に行く」というのが来店動機の重要なファクターとなっている。

 パチンコ店の側でも、アイドルスタッフを目当てに来店した客との写真撮影等を許可しており、その写真を積極的にSNSに公開している。勿論、無料でだ。

◆アイドル店員グッズもしっかり販売してマネタイズ

 一方で、マネタイズの仕組みも忘れない。メインとなるのは賞品(景品)の提供である。

 アイドルスタッフを抱えるパチンコ店の中には、アイドルスタッフをモチーフにしたオリジナル賞品を提供しているお店が少なくない。マグカップやTシャツ、缶バッジやスマホカバー等のキャラクターグッズを作成し賞品にしている。これが飛ぶように出る。いわゆる「換金」需要が圧倒的なパチンコ店において、特別な賞品を目的とした遊技が行われるのは、AKBのパチンコ台が登場した時に、パチンコ店限定でオリジナル曲のCDが賞品提供された時以来ではないのか。

 パチンコ店のいちスタッフといえども、SNS上で人気を博す一部のスタッフたちは、パチンコ業界とその周辺では、圧倒的な存在感を放ちその価値を最大化している。アイドルスタッフを抱える一部店舗や企業では、アイドルスタッフの身辺上の安全確保やネット上での誹謗中傷の対策を真剣に講じ始めた。

 SNSの発信がテレビや新聞のニュースになる時代。パチンコは嫌いでも、アイドルスタッフのことは好きになる人が出てくるのかも知れない。

<取材・文/安達夕>

【安達夕】

Twitter:@yuu_adachi

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