今話題のオンライン旅行とは? ギリシャの離島「パロス島」にリモートトリップしてみた。

今話題のオンライン旅行とは? ギリシャの離島「パロス島」にリモートトリップしてみた。

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◆コロナ禍でオンライントリップに注目が集まる

 新型コロナウイルスの流行により、海外への渡航が実質制限される状況が続いている。旅行好きたちは、「旅に出かけたいけど、出かけられない」というストレスを少なからず感じているのではないだろうか。

 そうしたなか、最近にわかに注目されているのがオンライン旅行だ。パソコンやスマートフォンさえあれば、Zoomなどのオンラインツールを使って参加でき、自宅から旅気分を味わえるのが特徴である。

 今回は、海外在住日本人と海外を訪れたい日本人をマッチングするサービス「ロコタビ」(旧トラベロコ)を使い、ギリシャのパロス島へオンライン旅行に出かけてみた。

◆ガイドしてくれるのはギリシャ在住の日本人

 パロス島のオンライン旅行をガイドしてくれるのは、ギリシャに3年在住しているチエチエさん(ニックネーム)。

 もともとタイでゲストハウスを運営していたが、現在の夫と意気投合してギリシャへと移住。アテネ、シロス島、そしてパロス島へと移り住んできたのだという。

 ギリシャの離島と言えば、サントリーニ島やミコノス島、ザギントス島などが知られているが、パロス島はあまり日本人には馴染みがない場所かもしれない。

「パロス島はギリシャのアテネから飛行機で40分、サントリーニ島やミコノス島からフェリーでもアクセスできる離島です。アジア人観光客はほとんどいません。物価もそれほど高くないので住みやすい場所ですよ」(チエチエさん)

 オンライン旅行では、まずチエチエさんが作ったスライド資料に沿って、ギリシャの基礎知識やパロス島の見どころを教えてくれた。次いで、チエチエさんが過去に撮影した動画で、パロス島の街並みを旅していく流れに。

◆パロス島の魅力を動画で紹介

 オンライン旅行の世界に没入できるコンテンツとして期待していた街歩きだが、ライブ配信ではなくガイドが事前に撮った動画だったため、若干出鼻をくじかれた形となった。

 それでも、パロス島の中心部である港街パリキアの雰囲気は十分伝わってきた。伝統的なキクラデス様式の白い壁に青い扉の建物が点在し、とても綺麗な街並みが広がっている。

 動画で街中を紹介した後には、現在チエチエさんが住んでいる自宅周辺をライブ配信で案内してくれた。

「街の中心部から少し離れていて、小高い山の上にある家に住んでいます。家賃は1DKの広さで月2万5千円ほどなので、とてもリーズナブルですよ」

 チエチエさんの自宅は、築300年の典型的なキクラデス様式の造りとなっている。文化遺産のような住宅に月2万5千円で住めるなんて羨ましい限りだ。

 家の敷地も広々としており、小高い山の上にあるためか、さながら「ポツンと一軒家」を彷彿とさせる。「庭ではイチジクやアーモンドがとれるので、よく食べていますね。自然豊かでのどかな雰囲気はとても落ち着きます」

 建物のほとんどが白い壁に青い扉という作りになっている。数百年前に大流行したコレラや結核の対策として、抗菌作用のある石灰を用いた名残が今も残っているのだという。

◆気軽に楽しめるオンライン旅行

 最後に、事前に用意してある動画で自宅の中を案内してくれ、今回のオンライン旅行は終了。従来のような観光ガイドではなく、オンライン旅行のロコ(海外在住日本人ガイド)をやる魅力についてチエチエさんに尋ねてみた。

「ロコタビに登録して1、2年経ちますが、これまでやってきた現地でお会いする形のガイドができないのは残念に思ってます。でも、オンラインに切り替わったことで、より気軽にパロス島に魅力を知ってもらえるようになりましたね。以前よりもお客様の依頼が増えています。海外在住の日本人とオンライン上でざっくばらんに旅行話や雑談ができることから、予約が増えているのではと感じます」

 チエチエさんが開催するオンライン旅行は、これまで100回ほど実施されているという。ステイホームで自宅にいる時間が長くなったことから、空いた時間を有効活用し、気になる海外の国をオンラインで巡ってみるのもいいかもしれない。

◆オンライン旅行を始めたきっかけについて社長に聞く

 オンライン旅行を提供するロコタビは、2014年にWebサイトをオープン。元は「トラベロコ」というサービス名で運営していたが、今年1月にロコタビへと名称変更している。

 ロコタビを運営する株式会社ロコタビ代表の椎谷豊さんは、サービスを立ち上げた背景についてこう話す。

「会社を立ち上げる前は旅行情報サイトの運営の仕事を7年間やっていたんです。『地球の歩き方』のWeb版みたいなWebメディアでして、当時から海外在住の日本人に、ライターの仕事をお願いするためにやりとりをしていました」

 その時に「取材はできるけど、ライティングの仕事はできない」という現地在住の日本人がたくさんいることに気づいたという。

「ライターの仕事ってやり慣れてないと、結構文章を書くのが難しいですよね。他方、ライター以外の仕事でも海外に在住しながら副業をしたいというニーズもあったのは知っていた。海外在住の日本人にもっと仕事を振れないか、貢献できないかという思いから今の会社を立ち上げました」

 ロコタビを立ち上げた2014年当初は、ちょうどAirbnbのようなサービスが興隆していた時期だ。

 椎谷さんも「海外在住の日本人」と「海外旅行に興味ある日本人」とをマッチングするサービスを立ち上げ、ユーザーの声を反映していきながら、マッチング事例を増やしていった。

◆オンラインにシフトしたことで視野が広がった

 現在、海外在住の日本人は137万人といわれている。そのうちの5万人以上がロコタビに登録していると椎谷さん。

「知る人ぞ知るような形でサービスを利用しているユーザーが大半だったのが、2019年からは一般のユーザーも使ってくれるようになりました。ただ、トラベロコという名前は、旅行比較サイト『トラベルコ』と紛らわしかったので、ロコタビに名称変更したんです」

 コロナの影響で海外旅行へ行けないユーザーに対し、オンライン旅行サービスを提供しているロコタビ。

 ユーザーの反応について椎谷さんは「手探りながらも、オンライン旅行を提供したことで視野が広がった」と手応えを掴んでいるという。

「従来は時間や予算内で行ける場所で考えていたのが、Withコロナになったことで物理的に行きづらい国にも興味を持つユーザーが増えました。普段なかなか行けない場所でも、オンラインなら気軽に行ける。さらに、旅行商品をあらかじめ用意していないので、ユーザーの要望に沿ってカスタマイズできる。このようなことから、前年比と比べてオンラインの利用件数が2倍になりました」

 今後の展望については「旅行業界以外にもサービスを広げていきたい」とし、次のように抱負を述べた。

「リアルで会うことが制限される中、オンラインにシフトしたことで、サービスを旅行だけでなく、レジャー産業全体に広げられるきっかけになった。今後は色々な業界に対してオンラインサービスを提供していきたいですね。直近では、学童保育の子ども達に向けたオンライン旅行を提供していて、非常に好評を得ています。世界175カ国2,500都市に、5万人以上の海外在住日本人がロコとして登録しているので、彼ら彼女らの持っているスキルや知見を生かしたサービス展開を目指したい」

 オンライン旅行で、まだ見ぬ海外の国へとバーチャルトリップしてみてはいかがだろうか。

 現地へ足を運ぶことはできないが、行きたい海外旅行先の雰囲気や情報を知っておくだけでも、コロナが収束した後の旅行計画に役立つかもしれない。

<取材・文/古田島大介>

【古田島大介】

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。

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