すぐに行動できる人は何が違う?  できる人は自然とやってる、「1分で自分を奮い立たせる方法」

すぐに行動できる人は何が違う?  できる人は自然とやってる、「1分で自分を奮い立たせる方法」

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 筆者はさまざまな企業の各層の参加者と、モチベーションレベルを上げる演習をしている。演習の内容は、まず自分の現在のモチベーションレベルを数値化したうえで、対面でもリモートでも2人1組になり、お互いに相手に対して「自分の人生で最もすばらしく感動的だったできごと」を1分ずつ話す。その後、自分のモチベーションレベルの数値がどうなっているかを確認するというものだ。

◆わずか1分でモチベーションが上がる

 たったこれだけのことで、それもわずか1分間で、平均すると75%の人がモチベーションレベルが1段階上がり、40%の人が2段階上がる。

 この演習では、最初に自分のモチベーションレベルを数値化してもらう。トレーナーの私がガイドすることは、「縦軸に10から1の10行、横軸に事前と事後の2列の表があります。10が高い、1が低いわけですが、自分のモチベーションレベル、気持ちの高まり度合を10だと思ったら10、5だと思った5、1だと思ったら1というように、事前欄にチェックを入れてください」ということだけだ。

 このガイドに対して、抵抗感なく、すぐに事前欄に現在の自分のモチベーションレベルのチェックを入れる人もいれば、考え込んでしまう人もいる。なかには、「10の定義は何か、5の定義は何か」「各々のクライテリアは何か」「10から1の基準は何か」という質問をして、10から1の定義を聞いてから実施しようとする人もいる。

 私が返答するのは、「定義もクライテリアも、基準もございません。自分が10だと思ったら10、5だと思ったら5、1だと思ったら1というように思ったとおりにチェックを入れていただけますか」という内容だ。

 これは他の人と比べて、その人のモチベーションレベルが高いか低いかを見極めるような、相対評価しようとする演習ではない。自分のモチベーションレベルが、事前と事後でどう変わるかを見極めようとするだけなのだ。従って、参加者共通のモチベーションレベルの基準がなくても実施できる演習なので、モチベーションレベルの定義をしないのだ。

◆自分の行動基準は内外どちらにある?

 しかし、たったこれだけの演習で、自分の行動の価値基準が内面にあるか、能動性が高いか、実行力が高いかということがわかる。

 「自分の気持ちの高まり度合を、10だと思ったら10、5だと思ったら5というように、事前欄にチェックを入れてください」というガイドだけで、抵抗感を覚えることなく、すぐにチェックを入れることができる人は、自分の内面を見つめる能力に長けていて、行動の価値基準が自分の内面にある人が多い。

 一方、抵抗感を覚えてしまい、客観的な定義を求めないとチェックできない人は、自分の行動の価値基準が、客観的な指標などの自分の外面にある人と言える。

 一般に、自分の行動の基準が自分の内面にある人は能動性を発揮しやすく、実行力が高い。一方、外面にある人は外面の基準を確認したがるぶん、能動性、ひいては実行力が損なわれる。

◆自律性・能動性・実行力が問われる時代

 ビジネスのさまざまな局面では、内面基準で行動したほうがよい場面もあれば、外面基準に則って行動したほうがよい場面もある。能動性を発揮したほうがよい場面もあれば、そうでない場面ももちろんある。実行したほうがよい場面もあれば、実行を控えたほうがよい場面もある。

 従って、どちらが良いか悪いかという問題ではないので、能動性や実行力の数値結果を、高い順でも低い順でも、どちらの順でも順位づけができる。

 しかし、私が演習をしている企業は、社員各層の実践スキルの数値化と向上に、本気で取り組んでいる企業ばかりだが、自律性・能動性・実行力が高い順に順位づけしたデータを求める。

 それだけ、経営環境が劇的に変わっている今日、外部の規範に頼ることなく能力発揮するビジネスパーソンが求められているに違いない。定義を確認しないと行動できない人は、環境変化に乗り遅れてしまうのだ。

◆定義がなければ行動できない人が増加

 質問:気持ちの高まり度合の定義は何か

 自分の気持ちの高まり度合を、10(高い)から1で見極めるわけですが、10や5や1の定義は何でしょうか?

 回答:定義はない

 定義はありません。自分が10だと思ったら10、5だと思ったら5、1だと思ったら1をつけていただいて、まったく問題ありません。他の人と比べるということを想定していませんので、共通の定義がなくてもよいのです。

 「これまでの人生で最もすばらしく感動的だったこと」を思い出す前と後の自分自身の気持ちの高まり度合をチェックするだけですので、自分がわかっていればよいのです。

 実は、このことができない人が多いのです。それだけ、何か定義を与えられないと行動に移せない人が増えている証左ではないかと思うのです。また、他の人と比較するものだと思い込んでいる人も少なくありません。このことも、モチベーションを高めるための妨げになっていると思えてならないのです。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第205回】

<取材・文/山口博>

【山口博】

(やまぐち・ひろし)

モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある

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