生まれた娘に会わせない、松葉づえの被収容者を突き飛ばす。入管収容施設の一幕

生まれた娘に会わせない、松葉づえの被収容者を突き飛ばす。入管収容施設の一幕

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◆無口な人の話

 入管での面会ではいろいろな人と出会い、いろいろな人がいるので、相手のペースに合わせて会話するようにしています。まったくしゃべらない人で、面会に来て悪かったかな? と心配になっても、単に口数が少ないだけで、その空間に満足している人もいます。

 間ができることを気にして「急いでしゃべらなくてもいいんだな」と思ったことがありました。まあケースバイケース。頑張って空気を読むことが大事です。

◆子供の服を持っている人

 ある男性は、娘が生まれたばかりの時に収容されました。アクリル板で隔てられることのない「親子面会」の許可が下りれば、子供と30分だけ触れ合うことができるのですが、東京入管はその基準が厳しく、親子を証明する書類がないと許可を出しません。

 しかしビザのない立場の人は住民票がないので、証明するのが難しいのです。しかし、どこの誰だかわからない他人のために子供がわざわざ入管に来て「お父さん」と言うわけがないのです。あまりにも厳しすぎだと思います。

 彼の場合は、結局2年以上娘と触れ合うことなく、だんだんと心が壊れて行きました。親子であることが疑われ、触れ合えないことは本当に残酷なことです。

 ちなみに牛久入管(茨城県)の場合は、被収容者が「親子面会をしたい」と入管に申し出て、日にちが決まれば親子面会は可能です。特に証拠を出す必要はありません。牛久入管にも悪いところはたくさんありますが、東京入管は本当に酷いです。

◆松葉づえの人

 被収容者側のドアの外は廊下になっていて、職員もですが、被収容者が行き来しています。フリータームの間は面会室に呼ばれたり、洗濯をしたりシャワーを浴びたり、自分の用事を済ませるためです。私と誰かが面会をしていると、ドアからのぞき込んで「私も面会してください。〇国の名前は〇〇です」と早口で言って去っていく人がよくいます。大体の職員は、一瞬のことなので見逃してくれます。

 ある日、松葉づえの男性が面会中の私に「私にも面会してください」と言ってきました。たまたま意地悪な職員に見られてしまったようで、彼は思いっきり私の前で突き飛ばされました。結局、名前を名乗ることもできず、強引に連れて行かれました。私はほかの被収容者に、「松葉づえをついた男性を探している」と言ってやっと誰だかわかり、後日面会することができました。

 彼の話では、連れて行かれる間はずっとドンドン突き飛ばされていたそうです。本当に弱いものいじめの好きな職員もいて困ります。そんな入管収容所の一場面を今回は描きました。

【ある日の入管 第4回】

<文・画/織田朝日>

【織田朝日】

おだあさひ●Twitter ID:@freeasahi。外国人支援団体「編む夢企画」主宰。『となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS』(旬報社)を11月1日に上梓

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