コロナ禍でホテル暮らしをしながら売春。20代女性が街頭に立たざるを得ないワケ

コロナ禍でホテル暮らしをしながら売春。20代女性が街頭に立たざるを得ないワケ

画像はイメージ

 都内某所の公園周辺。夕方になると年端もいかない少女や20代前半の女性たちが次々とやってきては所在なさそうに座り込んでいます。そして彼女たちを物色するような目つきで眺める男性たち……。ここは個人売春の取引が行われるスポットになっているのです。

 なぜ、彼女たちは安全の確保された風俗ではなく、個人で取引をしているのでしょうか?かつて、路上に出てセックスなしで飲食や宿泊を提供する男性を待つ家出少女たちを「神待ち少女」と呼びましたが、「神待ち」スタイルは20代前半にも浸透しつつあるようです。街頭に立ち、自ら客と取引をして性的サービスを提供する彩さん(仮名・20代前半)にお話を聞きました。

◆お金がなくなったら稼ぎに来る

――普段はいくらぐらいで取引しているのでしょうか?

彩さん:手コキかフェラだけなので、大体5000円です。ホテル代込みで7800円〜1万円の感覚かな。私はいつも相手の予算に合わせるタイプ。いくらって言われて納得いけば取引成立、納得いかなければ断る。一番たくさんくれた人で2万だった人もいます。

――2万円の人はどんな人だったのでしょうか?

彩さん:30代前半ぐらいの人で8000円欲しいって言ったら、ホテルで1万円札出されて、「おつりだそうか」と言ったらいいよと言われました。追加で5000円あげるって言われて、また1万円出された。(行為が)終わって、俺先帰るよ、と言われて。30分経ってないぐらい。めちゃくちゃ早かった。

――今日は何時から来ましたか?

彩さん:17時30分からかな。

――普段はどうしてるんですか?

彩さん:今日は早く来たけど、いつもは22時過ぎぐらいからかな…。それで1人か2人。あんまり早い時間帯だと警察に捕まるから。遅くても終電で実家に帰るかな。

 まず、ホテルに入ってお金もらって、ドアは開けっ放しでシャワーを浴びてもらうの。いなくなっちゃったりする不安を持って欲しくなくて。

――女の子たちは、お客さんとホテルに行ってもすぐまた戻って来ますよね。

彩さん:そうなの。1時間ぐらいホテルに行ってまた戻ってきて、また別のお客さんとホテルに行く感じ。

――1日の売り上げ目標はあるのでしょうか?

彩さん:あるよ。今日は1万円稼げたらいいと思って来た。2万円稼げたら飲んで帰ろうかと。

――今日はいくら稼ぎましたか?

彩さん:4万ぐらいかな。

――結構飲めますね(笑)

彩さん:そうだね。でも、無駄遣いはしないよ。月末に携帯代があるもん。課金してるから。

――課金ってゲームですか?

彩さん:ゲームは課金しない。そうじゃなくて買い物。携帯料金で払うために課金しちゃったから。コンビニで先に使っちゃってて、月末に請求が来るの。クレジットカードと同じシステム。同じようにビジネスホテルに泊まった時にお金なくて、携帯で払ったの。で、また別の物が欲しくてまた携帯で払っちゃった。今月はそれでもう2万円超えてるから…。

――また稼がないといけないですね…。ひと月あたりのお客さんの人数は何人ぐらいでどれぐらい稼いでいるのでしょうか?

彩さん:その日の気分でここに来ているのでまちまかな。前はホテル暮らしをして毎日稼いでだけど、今は実家通いだから「お金がなくなったら来る」って感じです。

◆ほとんどの客はサラリーマン

――お金は何に使うのでしょうか?

彩さん:特に決まってない。お金ないな、と思ったらいつも来るから。「これのために使う」みたいなのはないの。今日は来る時1000円しかなかったの。だから稼げなかったら帰りの交通費がなかった。

――稼げなかったらどうするつもりだったの?

彩さん:常連さんに「お願い、2000円ちょうだい!」って頼むか、車で来ている人に家まで送ってもらおうかと思った。

――お客さんとはLINEなどを交換しているのでしょうか?

彩さん:交換している人もいます。

――スーツ姿の人、多かったですよね。

彩さん:そう、お客さんは仕事帰りのサラリーマンがほとんど。みんなお財布がきついからなかなか遊んでくれない。その代わりにジュース買ってくれたりとかご飯代で1000円くれたりします。

――養ってもらってるようなものですね。

彩さん:そうだね。みんな淋しいからお互いに助け合ってる感じ。

――お客さんはなぜ来るのでしょうか?

彩さん:結婚している人はセックスレスの人も多い。お小遣いも少ないし、病気が怖いからって言って、手コキだけの人もいます。

――あの場所に来ることのメリットって何ですか?

彩さん:お客さんを選べることです。

――確かに、お店だと選べないですね。

彩さん:パッと見て「お金持ってなさそうだな」と思ったら断る子もいる。「おじさんとかおじいちゃんの方がラクだから」って言ってそういう人しか行かない子もいるし、若い人じゃないと嫌だからって言っておじいちゃんは断る子もいる。

 私はおじいちゃんは苦手。だってなかなかイカないんだもん(笑)。

――確かに、若い人は早いですよね。

彩さん:変に若い人も断ります。チャラチャラしてる人とか。自分と同じぐらいの人とかも抵抗ありますね。

――他の女性たちは同じようなスタイルなのでしょうか?

彩さん:トラブル防止のために2人組の子もいます。そういう子たちは3P専門ですね。

◆コロナで実家に帰るなと言われて

――今の生活スタイルになるまでは何をしていたのでしょうか?

彩さん:高校出て、専門学校に入ったんだけど半年で辞めたの。専門学校入るのと同時に居酒屋のバイト始めて、それが2年かな。その後ピンサロで2年働いていました。その時にお酒飲み過ぎて店をバックれて、何日かニートになったんだけど、お金なくなってヘルス入って。で、ヘルスを辞めてからはホテル暮らしです。

――何故ずっとホテルに泊まっていたのでしょうか?

彩さん:ヘルスの時は一人暮らしだったんだけど、ヘルス辞めてから家賃払えなくなって引き払いました。実家に帰るのが面倒くさかったから泊まってた感じ。実家はここから遠いので。母親にも何にも言われなったし。しかも、2月末に帰るって言ったらコロナ酷いから帰ってこないで、と。おばあちゃんもいるし。

 それで、ずっとホテル住まいして。保険証の期限も切れちゃってたし、身分証も作りたかったから本当はもっと早く帰りたかったんだけど。コロナが落ち着いてきて、やっと母親にお許しをもらって実家に帰れた感じ。

――ホテル住まいの時はずっとホテルに泊まって、お客さんを取っていたのでしょうか?

彩さん:そうです。4000円で飲み放題、歌い放題のバーがあって、そこに友達と朝8時までいて、それでホテルまた帰って、みたいな。

――いつからホテル住まいをしていたのでしょうか?

彩さん:12月ぐらいからかな。それまではちょこちょこ実家帰ってたけど。

――いつもこの辺りに?

彩さん:そう。1回錦糸町に行ったけど、場所が分からなくて、ソッコーで帰って来た。

――場所って何ですか?

彩さん:ここに来ればお客さんがいる、っていう場所がある。錦糸町もサイトで書いてあるところに行こうとしたけど土地勘がなくて無理だった。

――サイトがあるんですね?

彩さん:そう、情報が載ってるサイトがあるの。「東京 立ちんぼ」で調べると、いろんな町が出てくる。この場所はサイトでナンパしてきた人に教えてもらったの。「立ってれば絶対声掛かるから」って。声掛けて来て、条件を言えば、ホテルに連れて行ってくれるよ、と。

 サイトだと、冷やかしで待ち合わせ場所に来なかったりすることもあるの。それからいざ会って、タイプじゃなかったって言って減額されても困るし。だったら、あそこに立ってて、気に入って声掛けてもらって、値段もその場で決められる方がいいかなと。

――最初はサイトに書き込んでお客さんを探していたんですね。

彩さん:そうそう。でも、私はまた営業メールっていうのができないから。身長〇〇〇cmで、やせてる、ぽっちゃり、みたいなことを書いて送るのが本当に面倒で。基本的に(出会い系の)アプリには入ってるから、昨日の夜中にも「パパ活」みたいな感じで探そうとしたけど、面倒で夜中に携帯投げた(笑)。通知うるさいよ!みたいな。

――最近、何か変わったことはありましたか?

彩さん:すごい痩せちゃったの。鬱っぽくなっちゃって。最初は1月。その時は5kg痩せて。次は6月にまたなって、1週間で6kg痩せちゃった。低血糖でベッドの上でボーっとして動けなくなった。ホテル代払わなきゃ、立たなきゃな…と。結局、人生で一番太ってた時より全部で20kgぐらい痩せた。コロナもあって人が来なかったし不安だったのかもしれない。元々すごく太ってたからちょうど良くなっていいんだけど。

◆身分証がなくても働ける

――なぜ、ヘルスを辞めてしまったのでしょうか?

彩さん:ヘルスに勤めてた時、月に1回性病検査があって、3ヶ月目にお客さんから性病を移されたのがわかったの。

 で、2〜3日して病院行って薬をもらって治したんだけど、出勤するにも再検査しないといけなくて。でも、再検査するにもお金が必要で、それが1万4000円で…。4項目やらなきゃいけないんだけど、性病検査は保険掛からないから高くて。

 私、貯金能力なくて、お金すぐ使っちゃうの。お金ないし、お店にも出勤できないし。「さぁどうする?」ってなって…。で、悪循環から立ちんぼになりました。

――ヘルスを辞めてから性病が治るまでの間、昼の仕事はやろうと思わなかったのでしょうか?

彩さん:思わなかった(笑)。

――これからはどうしますか?

彩さん:次は、身分証作ってからソープで働こうと思ってます。身分証がないとソープでも働けないから。

――身分証は、具体的には何が必要なのでしょうか?

彩さん:顔写真付きの身分証が必要なの。健康保険証は持ってるけど、それだけではダメで。顔写真の付いてるパスポートとかマイナンバーカードとか。マイナンバーは通知カードだけあったから、写真撮ってマイナンバーカードの申請手続しようと思って。マイナンバーカードができたら、ソープの面接に行きます。

 「お金がなくなっては稼ぐ」を繰り返してきた彩さん。自分でお客さんを取って性的サービスを提供する「神待ち」は、身分証がなくてもサービスを提供することができ、客を選べて、しかも値段も自分で設定できる合理的なものだったようです。

<取材・文/みどり>

【みどり】

女性の生き方を中心に追うライター。関心事は不況やコロナ禍での女性のサバイバル。

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