男性アイドルもハマってしまった「闇スロ」の危険な罠

男性アイドルもハマってしまった「闇スロ」の危険な罠

まちゃー / PIXTA(ピクスタ)

 男性アイドルが、違法スロット店−いわゆる闇スロ店に出入りしていることを『週刊文春』に報じられ、即日で所属事務所から専属契約を解除された。繁華街の闇スロ店が摘発されたニュースはたまに目にするが、闇スロ店とはどのような場所なのか。GoToEatキャンペーンも始まり、夜の繁華街にも客足が戻りつつあるなか、実は何も知らない人も巻き込まれるかも知れない「闇スロ店」の実態とリスクについてまとめてみた。

◆「闇スロ店」とはどのようなお店なのか?

〈※ここにまとめた「闇スロ店」の実態は、かつて闇スロ店を経営していた人や出入した事の或る人等、複数の関係者から聞いた話をまとめたものです。〉

 本稿の大前提として、違法な闇スロ店は、風営法の営業許可をとり営業しているパチンコ店とも、また深夜種類提供等の許可をとって営業している「スロットBar」のようなお店ともまったく違うことを強調しておきたい。そのうえで話を進めよう。

 多くの「闇スロ店」は繁華街に潜んでいる。特に看板を掲げている訳では無い。道行く人に声を掛けて店内に誘い込む「呼び込み」での形か、馴染み客の紹介という形での集客を行っている。入口も分かりづらく、ビルの裏口や通路にあったり、普通のお店の奥に隠された入口があったりと巧妙にカムフラージュされている場合が多い。違法営業であるためドア付近のカメラ監視も怠っていない。

お店の規模にもよるが、数台から数十台のパチスロ機が設置されている。通常のパチンコ店に現状も設置されているパチスロ機もあれば、法律が変わり今ではパチンコ店に設置することの出来なくなったパチスロ機もある。とりわけ人気があるのは「4号機」と言われる出玉の爆発力が高いパチスロ機だ。

◆正式な店と違う「ハイレート」

 遊び方は通常のパチンコ店のそれと変わらない。ただ多くの場合はレートが違う。

 通常のパチンコ店であれば、メダル50枚を1000円で貸し出しており、1枚20円となる。闇スロ店のレートは、この通常の20円の場合もあれば、10倍の200円の場合もある。話をきくことが出来た元闇スロ店経営者のお店では倍額の1枚40円レートの人気が高かったという。

 見た目やパチスロ機の演出等は通常のものと何ら変わりは無いが、その多くは内部で不正改造されている。例えば設定6(出玉率が一番高い)を示唆する演出が頻出するが、実際の出玉率は設定1(出玉率が一番低い)以下にプログラムを書き換えていたり、店主が事務所に籠りながら大当たりを遠隔で操作*出来たりする仕様になっている。要は初めて来た客には意図的にそこそこ勝たせ常連化させようという店側の狙いだ。勿論、その逆もある。お金を持っていそうな一見の酔客からはボッタくることもよくある話。

〈*通常のパチンコ店の「遠隔操作」は、いつの時代もまことしやかに語られているが、通常のパチンコ店の場合は、第三者機関による抜き打ちの検査や、入替設置時の点検チェック、またプログラム基盤の封印(封印シールが剥がれていた場合、警察に摘発される)等の二重三重のセキュリティーが敷かれており、数十年前ならいざ知らず、現在では「遠隔操作」は現実的にはあり得ない〉

◆店側だけでなく客も逮捕される

 闇スロ店は多くの場合、「みかじめ料」のような形で、反社会勢力の資金源となっている。だからこそ警察の取り締まりも厳しい。まして年末年始の繁華街の取り締まりは一層厳しい。

 闇スロ店は明らかな違法である。そして何よりも重要なことは、闇スロ店の場合、店側の人間も逮捕・摘発されるが、客として入店していた人も逮捕されるということ。繁華街で「4号機あるよ」と言葉巧みに誘われ、酔った勢いで入店したは良いものの、その場を摘発されれば、一生を台無しにする。

◆パチンコ業界も頭を悩ませる「闇スロ」

 闇スロ店とパチンコ業界の直接的な関りは無い。しかし闇スロ店に設置されているパチスロ機は、日本全国どこかのパチンコ店に設置されていた遊技機であることは間違いない。だからパチンコ業界にとって、闇スロ店問題は他人事ではないのだ。近年の業界不況により、遊技機の中古機流通業を営む販売会社が闇スロ店に、文字通り「闇落ち」した事案もある。

 遊技機の解体処理を行う業界公認のリサイクル業者は、遊技機が一斉に撤去される年末の時期をずらし、倉庫に眠っている旧規則機の早期排出を呼び掛けているし、警察庁も遊技機の適正な処理について慎重を期すべしとの指導を行っている。この年末年始は、法律の改正により旧規則機が一斉に撤去されるタイミング。パチンコ業界にとって闇スロ店は、業界とは相容れぬ対象ではあるが、その問題は対岸の火事では無い。

 コロナ禍による繁華街の客足は減り、闇スロ店も売上を上げるために必死だ。あの手この手で人の欲望を煽り誘惑する。まあなんにせよ、読者諸氏が年末の繁華街で「凱旋あるよ」と耳元で囁かれても、ヘコヘコ付いていかないことを祈念する。

<文/安達夕>

【安達夕】

Twitter:@yuu_adachi

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