成功者に聞く、「40歳からの転職」がうまく行った人に共通するモノ

成功者に聞く、「40歳からの転職」がうまく行った人に共通するモノ

さらに、法律上「年齢制限なし」と表記し、中高年も対象に見せかけておいて実際には若年層しか採用しない案件も非常に多いという

 コロナ禍により多くの企業や事業者が打撃を受け、同時に働き方も見直されるなか、転職を考え始める中年が増加しているという。そして中高年の転職市場そのものにもあらゆる要因でパラダイムシフトが起きており、従来とは違う方法が求められている。そこで、実際に転職に成功した人々を取材した。

◆前職での実績に驕ることなくチャレンジする姿勢が吉に

 44歳の厚野吾郎さん(仮名)は昨年、十数年勤めた大手ゲーム会社の役員から、まったく畑違いで、規模も前職の10分の1ほどの美容系会社の役員に転職した。ゲーム会社では長年にわたり業界トップの実績を打ち出してきた厚野さん。同じ役員のポストとはいえ、40代半ばにして未経験の業界に転職したきっかけは何だったのか。

「担当していたゲームシリーズはロングセラーでしたが、逆に成長も感じられなかった。加えて景気の低迷や企業と社員の思惑のズレがあり、部署も統廃合する時期だったんです。良くも悪くも自分の未来が見えてしまって」

 年収は1100万円。贅沢な悩みにも聞こえるが……。

「ひとまず、転職サイトに登録しようと履歴書を書いていると、過去の自分が輝いていた時期は、やはり新しいことに挑戦していたときだと気づきました。すると、そのサイトを通じて今の会社から連絡が来たんです」

 業種は違えど、厚野さんの「マネジメントスキル」が注目されたという。特に「BtoB」に関するスキルと経験は、フィールドは異なるが、存分に現職のジャンルにも生かせるということだった。

「面接の際、先方が僕を必要としていることを理路整然と説明してくれたんです。あと、偶然その役員は僕と同い年で、僕自身が前職で置かれた立場に似ていた。それに、『新しいことに挑戦したい』という意欲に満ちていた。そこが、意気投合したポイントですね。妻も賛成してくれました」

 幸いにも、年収は前職と同額。前職の実績にアグラをかかず、相性の良い会社を判別できたことが勝因だろう。

◆40代で転職2回。直感による即決と雑務スキルが奏功

 40代で転職2回目となる柳沢悟さん(仮名・46歳)。前々職のアパレルから化粧品販売を経て現在はクラフトビール関連のベンチャーに勤務している。

「前職は主にお年寄りに対し、高額な化粧品を電話で売りつける仕事。もちろん合法の範囲内ですが、支店長として入社した私は、主にクレーム処理の担当でした」

 ストレスで仕事中に倒れ入院もしたが、子供が生まれたこともあり、何とか1年は続けたという。

「そんなある日、知人と街でばったり遭遇しまして。そこで、お互いの共通の知人が『国内のクラフトビールの流通増加に貢献できる新しいシステム』の事業を始めるようだと耳にしまして。それを聞いてピンときたんです」

 翌日にはその知人に連絡をし、会社の立ち上げメンバーとなった。

「前々職で洋服の設計図や仕様書を書いていたのと、事務・総務・経理・営業と一通りこなしてきた経験がベンチャー立ち上げの雑務に向いているということで、買われました。今でもそれが、会社のロゴやパンフレットデザインと、企業への営業スキルに発揮されていると思います。年収は750万円から550万円にダウンしましたが今はほぼストレスフリーです」

 現職に携わるにあたり、困難はなかったのだろうか?

「最初の1年はほぼ無給で無休。貯金を取り崩して生活をしていましたが、妻も前職でのストレスフルな状態を知っていたので応援してくれました」

 知人経由という僥倖はあったものの、即決できたのが成功のカギだったといえる。40代以上の転職は、世間体よりも自分に正直であることが奏功する事例だろう。

◆バー経営で培った接客スキルが重宝され転職後年収3倍に

 現在、大手通信会社の契約社員として、インターネット訪問開通工事の仕事を行っている徳井優太さん(仮名・47歳)。その前は、中央線沿線でバーを経営していた。38歳まで定職に就かなかったが、「40代目前で、『さすがにまともな仕事に就かないとまずい』と思ったんですが、この年齢で雇ってくれる会社なんてないだろうと思い、開業しました」という。

 バーを経営しながらも昼間は、フリーター時代と同様アルバイトをして過ごしていたが、そのうちの一つが、現在の仕事だ。契約社員の募集を見かけたのは44歳のとき。常連客の足が遠のき、経営が落ち込んだ時期だった。

「バーの売り上げで手元に残るのは20万円ほど。開通工事の仕事も同じくらいもらえていたので、専業で働くことにしました」

 勤務日数は週に5日。歩合制で、徳井さんの月収は最大60万円前後になった。しかし、最初のうちは苦労も多かったとこぼす。

「まともな仕事をしてこなかったから、一般的なビジネスマナーがわからなかった。タバコの臭いがする、靴下が汚いなど清潔感がなくてもクレームが来るので、1年目の夏は、毎日替えのシャツを持ち歩いていました」

 また、実のところ開通工事の仕事は誰でもできるというわけではない。

「僕と同世代でこの仕事に就こうとする人は、会話が苦手で不採用になる人が多いんです」

 一度きりの訪問でも、態度や服装に難があるとクレームが入り、仕事が減ってしまうのだ。その点、バー経営で接客経験豊富な徳井さんは有利だった。

 またその他にも、「中年だからと選択肢を狭めずに、情報を探し続けた」のも成功の要因になったと話してくれた。

◆中高年向け求人には釣り案件も?転職サイトの裏側

 45歳以上の求人は、ここ数年、増加傾向にあると、大手転職サイトや人材紹介会社は口を揃える。しかし、中高年人材ビジネス業界関係者のA氏は、このように話す。

「45歳以上の求人は一見、多いように見えますが、実は有効な求人は見た目ほど多くはないのです。その理由の一つに、人材紹介会社のビジネスの変化があります」

 これまで紹介会社は、企業から自力で取ってきた求人案件だけをサイトにアップしてきた。しかし現在のからくりはこうだ。例えば紹介会社Aが大手メーカーBの人事部長の求人を取ってきたとする。しかし、Aの登録者の中にBが求めるスペックを満たす人材が見当たらなかった場合、その求人案件を、登録している紹介会社だけが閲覧できるプールに入れる。それを見つけた複数の紹介会社が自社サイトや大手転職サイトに掲載するのだ。

「つまり本当は求人は1件しかないのですが、複数の紹介会社があたかも独自の案件であるかのように少しずつ文面を変えて掲載するので、たくさんあるように見えるのです。このビジネスモデルが生まれた2年前から、紹介会社と見た目の求人数が爆発的に増えました」

 このやり方では、一件に人が集中するためなかなか採用に至らないが、それでも問題ないという。

「人材紹介会社が求人を媒体に出す本当の狙いは、自社の登録者を増やすことにあります。手駒が多いほど利益を上げる可能性が高くなるので。その求人案件を見て問い合わせてくる人たちをとりあえず登録だけさせて、他に内定が取れそうな案件に応募させるのです」

 求人案件にも賃貸物件のような釣り広告が存在するため、要注意である。

<取材・文/週刊SPA!編集部>

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