失敗事例から読み解く、中高年転職で失敗しやすい人の3つの特徴

失敗事例から読み解く、中高年転職で失敗しやすい人の3つの特徴

画像はイメージです(以下同)

 コロナ禍により多くの企業や事業者が打撃を受け、同時に働き方も見直されるなか、転職を考え始める中年が増加しているという。そして中高年の転職市場そのものにもあらゆる要因でパラダイムシフトが起きており、従来とは違う方法が求められている。そんな中、様々な原因で転職に失敗してしまった人々を取材した。

◆こだわりの強さ、年収減……中年転職の敗因それぞれ

 チャンスの少なくない中高年転職市場。だが希望通りにいかず、若手が転職するのとは違う苦しみから失敗するケースが後を絶たない。松永智さん(仮名・44歳)は転職で年収がかなり減ったことを「大失敗だった」と感じている。中小企業の人事担当だった前職の年収は500万円だったが、ウェブメディア運営会社の営業職に転職した現職は360万円まで下がった。

「年収も頭打ちだったので、40歳のときに転職を決意。ここを逃したら他にないと思って転職先の選択肢を狭めたのが今でも悔やまれます。自分は独身ですが、さすがに生活が厳しい」

 しかし、根本的な問題は「もし心底やりたい仕事であればもう少し我慢できたかもしれない」という点だ。必ずしも収入増に繋がらない中高年転職で、最も大事なのは「やりがい」なのかもしれない。

 また、介護関連出版社に最近転職した佐藤孝則さん(仮名・43歳)は、年収こそ500万円台と維持できたものの「まさかこの年齢で若手扱いされるとは……」とため息まじりに話す。

「僕と入れ替わりに辞めた事務の女性が34歳だったこともあり、働かない謎の60代だらけの職場で、僕だけが必死に働くハメに。医療系の書籍やテストツールを販売する会社で業界とも結びつきが強いので潰れる心配は今のところなさそうですが……実質的には爺さんの世話ですね。もっと転職先の下調べをしておけばよかった」

◆家族がしがらみになるケースも

 そして、中高年ともなると転職を希望しても、なかなか思い通りにはいかない。田中亮司さん(仮名・46歳)は妻の反対、いわゆる「嫁ブロック」により難航している。中学生と小学生の子供がいることもあってか、妻が現職よりも年収が下がる仕事に就くことを猛烈に嫌がり、せっかく内定しても辞退させられてしまうのだという。

「それで一度、妻ととことん話し合うと、自分のパートは給料が下がらないのにあなただけ下がるのは不公平だ、私への圧力と同じだとまくし立てられました」

 転職エージェントからも呆れられており、前途は多難だ。

 田中さんはそんな自分を「争いごとを回避できるので調停役に向いている」と評価しているが、単なる気弱な男性であることに気づけなければ転職成功はほど遠い。

 家族というしがらみもある人が多い中高年転職。やり直しが難しいだけに、焦らず情報収集や自己分析、根回しなどを万全にしてから臨むのが大切だ。

◆中高年転職で失敗しやすい人の3つの特徴

 中高年専門の転職サイト「FROM40」を運営する(株)ダトラの垂内美優氏は、転職に失敗しやすい中高年の特徴は大きく3つあると解説する。

 1つ目は「自分のキャリア、スキルにマッチしていない」だ。

「企業が中高年採用で重視するのは何といっても即戦力性です。単に興味があるとか、新しいことをやりたいという理由だけで未経験の業種・職種に応募しても、採用はおろか、書類選考を突破することも難しいでしょう」

 これまで身につけたスキルや経験が生かせそうな会社を選ぶことが転職成功の近道だ。

 2つ目は「企業に自分のできること、できないことをきちんと提示できていない」。

 そもそも企業には解決したい課題や達成したい目標があり、それが社内人材では実現不可能だから求人を出す。ゆえに応募する際には、自分は企業の望みを叶えられる能力があるとアピールする必要がある。

「キャリアの棚卸しがきちんとできていない人は、これまで積み上げてきた経験やスキルなどの自分の強みや持ち味が応募先企業に伝わらないので、なかなか採用したいと思ってもらえません。これまでの自分の仕事人生を振り返り、スキル、知識、実績を書き出して、それを求人企業のニーズとうまく結びつけてアピールしましょう」

 自分でうまくできない人は、人材紹介会社のコンサルタントを使うのも有効な手段だ。

 3つ目は「プライドばかりが高くて自分の市場価値がわかっていない」である。

「転職したばかりの頃は、年下の上司から新人がやるような仕事を命じられるかもしれません。しかし、40〜50代の人でも転職先では新人になるので、基本的に何でもやりますという謙虚な姿勢が大事。面接時に、仕事の選り好みをするような発言をしたり、そのくせ年収は現状よりも欲しいと主張するような人はまず落とされます」

 面接官はスキルや能力だけではなく、「この人と一緒に働きたいかどうか」という人間性も重視している。横柄な態度を取る人、転職に対して持っている「理想像」と、自分の「現実の市場価値」がかけ離れている人はどこからも採用されないのだ。

【垂内美優氏】

キャリアコーディネーター。(株)ダトラが運営する40〜50代向け転職求人情報サイト「FROM40」で求職者と企業のマッチングを担当。数多くの事例から的確なアドバイスを行う。

<取材・文/武馬怜子 沼澤典史 山中千恵(清談社) ミッチー山根 山下久猛>

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