コロナ禍の低調なマーケットだから知っておきたい、商談の成約率を上げるためのシンプルな方法

コロナ禍の低調なマーケットだから知っておきたい、商談の成約率を上げるためのシンプルな方法

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 「マーケットが低調で業績が上がらない」「顧客と対面で会えないので売上が伸びない」「コロナ禍でお客さまの状況が変わって、商談が中断してしまった」……。筆者はビジネス実践スキルを向上させる演習プログラムを実施していて、このような相談を受けることが増えている。

◆商談の成約率を上げる方法とは

 一方で、「商談の成約率を高める方法がわかっていれば苦労しない」「お客さまは千差万別なので、営業担当者がそれぞれのお客さまに対応して努力するしかない」という声も聞こえる。

 もし、1000人のお客さまに対応する1000通りの方法を実行できなくても、簡単に成約率を高めることができる方法があれば、試してみたくはないだろうか。それも、特別な訓練を受けていなくても、誰でも実施できる方法だ。

 このように申し上げると、「そんなうまい話しがあるはずがない」と言われるが、実はあるのだ。それも、お客さまを2通りまたは6通りに分類するだけで、相当程度、成約率を上げることができる方法だ。

◆顧客の購買モチベーションファクターを見極める

 私は、人それぞれで異なるモチベーションファクター(意欲が高まる要素)を6つにわけている。チャレンジすることで意欲が上がる「目標達成型」、任されることで意欲が上がる「自律裁量型」、責任を果たすことで意欲が上がる「地位権限型」、連携することで意欲が上がる「他者協調型」、リスク回避することで意欲が上がる「安定保障型」、バランスを取ることで意欲が上がる「公私調和型」の6つだ。

 さらに、前三者を牽引志向、後三者を調和志向というように2つに区分している。牽引志向と調和志向は、肉食系と草食系、狩猟型と農耕型というように言い換えればわかりやすい。演習結果をふまえれば、日本のビジネスパーソンのモチベーションファクターは、この6つにだいたい均等に分布される。牽引志向と調和志向も51.4%:48.6%というように、だいたい半々にわかれる。

 お客さまが商品の購入をしたり、サービスの契約をしたりする場合も、お客さまのモチベーションファクターを捉えるとわかりやすい。新しもの好きの「目標達成型」、営業担当者にあれこれ言われたくない「自律裁量型」、ブランド志向の「地位権限型」、シェアを気にする「他者協調型」、製品の瑕疵が気になる「安定保障型」、今持っているものや製品自体のバランスを考える「公私調和型」というようにだ。

◆統一話法は顧客の心に響かない

 これを、世の中で広く使われていて瑕疵がない商品を購入したいと思っている「安定保障型」の人に、新製品だからお勧めですよといくら言っても商談ははずまない。逆に、新しい商品にすぐに飛びつきたがる「目標達成型」の人に、世の中に普及していてシェアN0.1ですよといっても、聞く耳を持たれないということになってしまう。

 要は、お客さまのモチベーションファクターを見極めて、モチベーションファクターに合ったアプローチや、クロージングをしていけばよいということになる。

 実はこの手法は、有績者の行動と話法を分解して、モデル化したものだ。会社が新商品を売り出すたびに、モデル話法がつくられて、営業担当者に周知徹底される。しかし、このモデル話法、製品の特長をつかんでいることが多いとはいえ、肝心のお客さまの購買モチベーションファクターに響くとは限らない。新商品キャンペーンのモデル話法を使ってみたが、お客さまに響かなかったという経験をした人は少なくないに違いない。

 優績者は、一人一人のお客さまに合わせた話法を展開している。それをモデル化すると、顧客のモチベーションファクターに合わせた話法展開をするということになるのだ。

◆点数表でモチベーションファクターをチェック

 質問:モチベーションファクターの点数から何が言えるか

 モチベーションファクターの点数によって、いったいどのようなことが言えるのでしょうか? 以下は、6人のモチベーションファクターの実例です。

 回答:何によってモチベーションが高まりやすいかの見当をつけられる

 Aさんは目標達成が高いので、チャレンジすることで意欲が高まりますが、逆に「無理するな」「ほどほどにしておけ」という言い方をされると、モチベーションが下がります。

 Bさんは自律裁量が高いので、任されると意欲が高まりますが、「あれをやったか」「これをやったか」というマイクロマネジメントをされるとモチベーションが下がります。

 Cさんは地位権限が高いので、責任ある仕事をすることで意欲が高まりますが、「誰でもできる仕事だから心配するな」という言い方をされるとモチベーションが下がります。

 Dさんは他者協調が高いので、単独で行う仕事より、他の人と協力しながら進める仕事にモチベーションを高めます。Eさんは安定保障が高いので、ハイリスクハイリターンの仕事より、リスクを極小化する仕事にモチベーションを高めます。Fさんは公私調和が高いので、エッジの効いた取り組みをすることより、公私や仕事同士のバランスのとれた状態がモチベーションを高めます。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第211回】

<取材・文/山口博>

【山口博】

(やまぐち・ひろし)

モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある

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