「息子が高校を卒業するのは見届けたい」ガン闘病を告白した伝説のAV男優・沢木和也の「終活」

「息子が高校を卒業するのは見届けたい」ガン闘病を告白した伝説のAV男優・沢木和也の「終活」

現在療養中の沢木和也

◆ガン闘病中の「伝説のAV男優」

 ビニ本やポルノ映画が流行していた1980年代前半、『AV(アダルトビデオ)』が誕生した。

 AV業界の全盛期ともいえるこの時代には『全裸監督』(山田孝之主演)でも話題になった西村とおる監督や、“ゴールドフィンガー”で有名な加藤鷹、またプロレスラーとしても名を馳せたチョコボール向井などAVのスターたちが多く誕生する。

 今回インタビューを行ったAV男優沢木和也も彼らのような“伝説”のひとりだ。

 特に現在、40代以上の男性ならば顔を見たら「あの人か」とすぐに思い浮かぶに間違いない。本人いわく、「定かではないが1万本以上の作品に出演している」とのことである。

 しかし彼はメディア露出が少なく、謎が多い人物である。業界内でもその素性を知る人は多くないといわれる。

 そんな沢木がAV男優になるまでを追った前回。後編では沢木のガン闘病と終活について聞いた。

◆「息子が高校行くのを見られるかどうか」

――お答えづらいことかも知れませんが、ご自身の余命についてはどうお考えでしょうか?

「全然わかんないけど、医者からは『1年もつかもしれないし、この状態で2年もった人もいるという状況だから』と言われてる。医者って長くしか言わないから、短くは言わないから。まあ1年持つ人もいますよって言ったら半年じゃん、実際には。まあでも半年以上経ってるけどね。

 なんだろう、決定的なことがない限り医者も訴訟問題になっちゃうから言わないんじゃないかな。これぐらいかもしれないとは言うかもしれないけど。

 だから俺が覚悟してたのは息子が高校行くのを見れるかどうか。あと半年くらいかなという覚悟は一応あるけどね。

 ほんと急におかしくなったりするからさ、体調が。こないだ退院が急に延びたのもそうだけど、急に何かがあるのよ。だから、なんとも言えない。あと3年は生きたいんだけどね。希望としては」

――やっぱり息子さんの高校生の姿を見たいと。

「そうそう、卒業まで見たいね。高校野球に出るところが見たい、高校野球大好きだから。それだけは見たい」

――一方で、覚悟もしてらっしゃいますか。

「してるよ、もちろん。だから要所要所で、入院するときなどは息子に『何があるか分かんないから』って言って出かけてる。あとはもう言葉で言わなくてもわかってるとは思うけど、『まあ、しっかりやってくれ』というのはいつも伝えてるけどね」

◆記憶がないまま死ぬのは嫌だ

――何があるかわからないから、というのはどういうことですか。

「6月にがん研究センターにいたときに治療が終わって、抗がん剤とか放射線治療などをやっていた。それから1か月後の8月、検査から帰った時に、何かの数値が下がったせいで緊急入院することになったんだけど、なぜかその時の記憶が全くないのね。

 こういうのが本当に嫌だなと思ってて。だから自分が死んでも、多分わかんないんじゃないかな。例えば臨終で目を閉じる前に『息子よ』と言ったとしても、もう全く意識がないんじゃないかな。わかんないうちに死んじゃうかもしれない。

 検査入院した記憶がないことを女房に言ったらびっくりされちゃって。なんかシャブ中みたいにずっと爪を気にしてたりとか、変な行動をずっとしてたんだって」

――それは薬によるものでしょうか。

「ちょっとわかんないけど、薬じゃないと思うな。何かの数値がおかしくなったせいで、そうなっちゃった。自分のことがわかんなくなっちゃったみたい。死ぬ覚悟はあるけど、それだけは避けたいんだよ。目をつむる瞬間までなんとかギリギリで意識を保ってテレビを見ていたいよ」

――意識が戻ったのはいつだったのでしょうか。

「気づいたら戻ってた。ああ、生きてるって感覚も別になかった。今まで通りとおんなじ感じ、記憶が抜けてるという感覚だった」

――ご自身の命と向き合われる中で、若い世代に伝えたいことなどありましたら教えてください。

「まあ、俺がやってきたようにやるってのは一般的には難しいかもしんないけど、『好きなようにやる』ってこと。人生1回だから好きなことやる、失敗しても。その方が生きてて楽しいと思うけどね。やっぱみんな世間体とか、しがらみが色々あるから出来ないんだよね、自分の好きなことが。でもそれは人としてどうなのかなって、俺は思うね。俺は好きなことやってきたから後悔してないし。まあでもガンになった年齢が早すぎるから、もうちょっと待って欲しかったけどな」

◆闘病してても「伝説」は死なず

――経験豊富な沢木さんに、女性と付き合いたいと思ってる男性に対して、どのようにアプローチするのが良いかご意見をお伺いしたいです。

「例えば俺なんかずっとナンパしてたから、数打てば当たるじゃないけど。とりあえず、喋りかけないと始まんないからね。それはナンパだけじゃなくて。喋んないと始まんないじゃん。まずはそこだよね。まず話しかけるっていう」

――ちなみに最後の牙城はどうやって崩していくんですかね。

「俺はちょっと特別だから、やり方が」

――そこをちょっと詳しく……。

「やるかやらないかだから俺は。単刀直入、僕の場合は。『お前俺とやんないと一生後悔するぞ』みたいな。それで引いていったらそれはそれ。ともかく早いほうが、ダラダラダラダラ飲み歩いてダメだったらショックじゃない。金もかかるし時間もかかるし。だからなるべく単刀直入。AV男優だし、そういうのわかってて話してるわけじゃん、きっと。無駄な時間を過ごしたくないから」

――これってAV男優じゃなくてもきっと使えることですよね。

「ほんとにその気がなかったら女のコは帰っちゃうし、その気があれば何かちょっと変わった反応が見れると思うんだよね。そしたら押していけばいいし、まあ引かれたまんまになる可能性はあるけど」

――実戦で使えるテクニックをひとつ教えてください。

「昔からよく言ってるのは、手から気を出すこと。気功みたいなもんだよね。手を握るってすごい大事だったりするんだよね。手を握ると反応がよく見えるし、女が興奮し始める。あともちろん目見ないとダメだけど。目を見ながら手を握る。まあでも僕らは嘘つきだから。仕事だと女を騙すために、盛り上げるためにそういうことをやるんだけどね。僕と同年代の男優なんかね、『結婚しようよ』とか耳元で言ってたからね。けっこうその気になっちゃう女いるから。そうすると感度もアップするし良い画が撮れるじゃん」

 家族の話とは相反して、ここでは伝説のAV男優としての一面を垣間見ることができた。

 「性欲を追い求める」という、ただ1つの目的を持って突っ走ってきた沢木。人生の終焉を意識せざるを得ない状況の中、最期まで自分らしく命を全うしようとする彼を今後も見守っていきたい。

<取材・文:杉渕那音・卯月雅之>

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