睡眠時無呼吸症候群の医療機器CPAP。国内ではレンタル以外の選択肢がほぼなく、月5000円の負担が重荷に

睡眠時無呼吸症候群の医療機器CPAP。国内ではレンタル以外の選択肢がほぼなく、月5000円の負担が重荷に

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◆やる気がないだけと周囲も自分も勘違いされた日々

「あなた最近毎日いびきが酷いよ」

 Aさんは妻の言葉で睡眠時無呼吸症候群の可能性に気付いた。常に眠気が襲い、起きられない、会議中に注意していても寝てしまう、酸欠による朝の痙攣など、さまざまな影響で苦しむのが睡眠時無呼吸症候群の症状だ。

「睡眠時無呼吸症候群だと把握していないと、常に深く眠れておらず不調なので自分も周囲も衰えや疲労、気力の問題だと認識されがち。最初に現れた症状は寝不足による仕事中の寝落ちでした。別に夜更かしをしている訳でもないのに寝落ちしてしまう。会議などは本当に苦しいもので、やる気はあるのに、気をつけているのに寝てしまう。出向で仕事をしていたため、出向先から会社にクレームが入り、上司からこっぴどく怒られ、『やる気』を問われたこともありました。自分も謝るしかなく、心がどんどんやられました。」(Aさん)

 症状がひどくなると眠気だけではなく体もおかしくなっていったという。

「朝に目が覚めても、眠気が勝り起き上がることなく寝てしまい遅刻してしまう。さらにそれまで一切経験のなかった「金縛り」や「こむら返り」をするようになりました。あとになって、起きるときには完全に酸欠の状態だったんですよね……ですが、診察して現状を把握してようやく『なんとかなるかも』と、とりあえず心は楽になりました。」(Aさん)

 検査で症状が分かり、治療となったAさん。しかし、治療の結果は芳しくなかったという。

「私の場合、睡眠時無呼吸症候群となる主たる原因すべてが該当していました。肥満・扁桃腺肥大・狭い気道。呼吸の流れに影響するもののうち、肥満はダイエットで、扁桃腺肥大は扁桃腺切除手術で対応できるのですが、気道が狭い点はそうそう簡単に改善されず、CPAP機器を使い続ける状態になりました」(Aさん)

 CPAPとは、持続陽圧呼吸療法のことで、睡眠時に鼻から空気を送り込んで無呼吸状態を物理的になくす方法だ。

◆国内では販売していないCPAP

 しかしこのCPAP機器。日本で手に入れようとすると基本的にはレンタルが前提で、あとは個人輸入する以外に手はない。医師によるCPAP治療が決まったら機器が貸し出される。そして、機器に記録された使用情報のメモリをもって毎月通院することが義務づけられている。

 そして、このレンタル費用と定期検診、会社員のAさんは保険を使っても合わせて毎月約5000円かかる。

「眠気がなくなって嬉しいのですが、毎月5000円は正直結構痛いんですよ。毎月通院も必要で、私の世話になっている病院は土日に開いていないため、どうしても仕事を半休にするため時間的にも少しづつ影響が出る。医師もおっしゃってましたけど、仕事柄通院が厳しくて治療を断念する人もいるらしいです」(Aさん)

 Aさんは海外からCPAP機器を輸入することを検討しているという。

「一生付き合わなければいけないのであれば、高くても海外で購入が認められている国で購入して輸入するほうが経済的には助かるので…」

 CPAP機器の輸入を認める医療機関などが日本には一部ある。機器は10万円以上が相場なのだが、月5000円、毎年6万円負担していることを考えれば2年ほどで元がとれしまう。小型のものであればもっと安いものもあるという。

 もちろん、診察などは定期的に受けたほうが良い。しかし、毎月の診察まではやりすぎなのでは? とAさんは言う。

「毎月の通院は、レンタル費用徴収のためにしか感じません。もちろん使い始めや、経過を見る意味で通院することに不満があるわけじゃないんですが、毎月というのが時間的にも金銭的にも負担なんです。」(Aさん)

 また、CPAP機器は医療機器になるため、飛行機での使用に対し手荷物確認に時間がかかる。(参照:JAL)

 このため、出張業務の多いBさんの場合はこんな理由もあって購入を検討している。

「国内海外問わず出張するのですが、搭乗までどうしても時間が取られてしまいます。定期的に海外の支社に行くので、もう1台の機器を向こうに置いておきたいんですよ」(Bさん)

◆手をつけやすい医療費負担軽減のひとつ

 もちろん安全な医療のため、定期検診は必要だろう。また、独自で購入して操作を誤るという危険性もある。しかし、きちんとした医師の指導を受けた上であれば、国内での個人向け販売と所有を解禁してもよいのではないだろうか?とBさんは語る。

 確かに、国内では機器が購入できない点や、毎月となる検診は睡眠時無呼吸症候群の患者に向けて、ある種のハードルとなっているのだ。

 保険適用で安くなるとは言え月5000円。睡眠時無呼吸症候群はさまざまな病気にも繋がる。であれば、高齢化社会に向けて医療費が膨らみつづけている日本の現状において、こういった分野から自由化が進んでくれることが医療保険費用の抑制にも繋がるのではないだろうか。

<文/HBO取材班>

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