「最近ホストクラブで豪遊してるのは……」伝説のカリスマホストが語る「歌舞伎町ホストの50年史」

「最近ホストクラブで豪遊してるのは……」伝説のカリスマホストが語る「歌舞伎町ホストの50年史」

1990年代のホスト界を牽引した森沢拓也氏(右)、手塚マキ氏(左)

◆1990年代のホストブームを牽引したカリスマホスト

 10月31日、東京・下北沢にある書店「B&B」にて、石井光太著『夢幻の街』(KADOKAWA)の刊行記念として「伝説のホストが語る歌舞伎町ホストクラブ50年史」と題し、トークイベントが行われた。

 参加者は、同書の著者の石井光太氏。あとふたりは、元カリスマホストで現在は経営者である。

 その一人、森沢拓也氏は、ホストクラブ「ROMANCE(ロマンス)」の会長。1990年代にホストクラブ業界に数々の新しい経営手法を取り入れ、ホストクラブのビジネスモデルを確立した。現在のホストクラブの給与体系や宣伝手法は森沢氏が考案したものがもとになっている。香咲真也氏、陽生氏などカリスマホストを生み出し、1990年代後半から2000年代のホストブームを牽引した。

 二人目の手塚マキ氏は、ホストクラブ『Smappa!Group(スマッパグループ)』の会長。90年代後半のホストブームの時代に、カリスマホストの一人として脚光を浴びた。

 その後、ボランティア団体「夜鳥の界」を結成するなど、ホストクラブのクリーン化に尽力。新型コロナウイルスが広まった際、新宿区長と歌舞伎町のホストクラブのオーナーたちをつなぎ、「新宿モデル」と呼ばれる感染防止対策を整えた。

◆メディアに積極的に露出、ホスト業界のクリーン化を進める

 森沢氏は、1990年代初頭の歌舞伎町のホストクラブの状況についてこう語った。

「当時のホスト界は、奴隷国のようでした。『はい』と『イエス』しか言っちゃいけなかった。暴力も横行していました。ノルマを達成できないと罰金など、とにかく搾取されていたんです。それまでのホストクラブは、それ単体では食える職業ではなくて、ホストを搾取するシステムでした。ホストは、お客の女性に食わせてもらうしかなかった。生きていくだけで必死でした」

 そういった劣悪な労働環境を改善し、世間から偏見を持たれていたホストクラブ業界をクリーンにすることが、森沢氏のモチベーションになったという。

 森沢氏は独立して、1997年に「ロマンス」というホストクラブを立ち上げ、オーナーになる。そこで行ったのが、給与改革とマスメディア戦略だ。ホストが、パトロンを見つけなくても食えるようなシステムを構築し、マスメディアに積極的に露出することで、ホストをアイドル化することに成功した。

「ホストが当たり前にご飯を食べられるような環境を作りたかった。それが、ホストクラブのイメージアップにもつながると思った」(森沢氏)

 そんなホストブームの時代に、手塚氏はこの世界に飛び込んだ。中央大学中退のインテリながらホスト業界に興味を持った手塚氏は、後にホスト業界のクリーン化に挑むことになる。

「ホストによる事件などもあり、歌舞伎町とホストのイメージがとにかく悪かったので、ゴミ拾いのボランティアをするなどして少しでもクリーンになればよいと思って活動を始めました」(手塚氏)

◆最近はパパ活をしているお客がホストクラブで豪遊!?

 石井氏が「歌舞伎町の50年を追うにつれて、歌舞伎町という街が生きていること、その時代を反映していることがわかる」という感想を述べると、ホストクラブを支えてくれているお客の変遷について話が及んだ。

「ホストクラブは今も昔も基本的には風俗で働いているお客さんが支えてくれています。でも今は、パパ活をしているお客さんたちがものすごいお金を使うとも聞きますね」(手塚氏)

「今はお金持ちが増えていると思いますよ。カネ余りの時代です。目ざといホストはそういうお客さんを捕まえて、やっぱりうまくやりますよね。いつの時代も大口のお客さんはいますけれど、何をやっているかは聞きません。『聞くな』と教育していますね。巻き込まれると怖いですから」(森沢氏)

 この話に続いて石井氏は、「“ホストクラブの元祖”とも呼べる愛本店では、日本でも有数の詐欺師をひとりでも捕まえておけば売り上げ1位になれたそうです。2年後くらいに、テレビでそのお客が逮捕されたのを見て気づく」という衝撃のエピソードも披露した。

◆歌舞伎町をクリーンにして、エンタメ化していきたい

 さらに、いま話題の現役カリスマホストであるROLAND氏については「素晴らしいと思います」と森沢氏は語る。

「業界を盛り上げてくれて。彼は、整形していることをブログに堂々と書いていて、この人は化けるだろうなと思っていました。普通は、売れっ子は整形していることを隠します。彼の同世代の子たちも刺激を受けたと思いますね」(森沢氏)

「彼は現役ホストとして、ホストが夢物語であるということを体現してくれている素晴らしい存在ですね。その点では、城咲仁や頼朝よりもずっとすばらしいと思います。でも二人に聞いたら、『芸能人としては俺らのほうが上だ』と言っていました(笑)」(手塚氏)

 コロナ禍では夜の街が悪者にされ、ホストクラブも例外ではなかったが、いち早く歌舞伎町に検査場を設けるように行政に働きかけて動くなど、閉じられた業界から行政が入ったりして開かれた業界に変貌しようとしている。手塚氏は、よりクリーンで開かれた歌舞伎町の未来を語る。

「歌舞伎町をエンタメ化したい。そのなかで、ホストクラブにもいろいろな人が来るようなものにしていきたい」

 愛本店からはじまった歌舞伎町ホストクラブの歴史は、さまざまな進化を遂げながら現在進行系で今も進化し続けている。次の世代交代が起こるとき、どのようなサービスや形態が現れるのか、目が離せない。

<文/神田桂一 写真/坂本慎平>

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