統一教会フロント組織が食い込むイベントに後援の三重県・四日市市に危機感なし。勧誘に繋がる危険性も弁護士は指摘

統一教会フロント組織が食い込むイベントに後援の三重県・四日市市に危機感なし。勧誘に繋がる危険性も弁護士は指摘

統一教会系組織やプロジェクトが散見される『ファイト三重!県民まつり』チラシ(<a href=”https://fightmiefesta.wixsite.com/fight-mie/post/%E3%80%8C%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%88%E4%B8%89%E9%87%8D%EF%BC%81%E7%9C%8C%E6%B0%91%E3%81%BE%E3%81%A4%E3%82%8A%E3%80%8D%E5%8F%82%E5%8A%A0%E5%9B%A3%E4%BD%93%E4%B8%80%E8%A6%A7” rel=”noopener noreferrer” target=”_blank”>『ファイト三重!県民まつり』HP</a>より)

◆統一教会フロント組織によって開かれる地方自治体イベント

 統一教会(天の父母様聖会・世界平和統一家庭連合/家庭連合)のフロント組織・三重県平和大使協議会とその関係者が主要実行委員を占め、三重県と四日市市の後援、さらに市からの補助金交付を受けて11月29日に開催される地域イベント『ファイト三重!県民まつり』。

 先日公開した記事では、イベントの発起人で事務局を担当する実行委員に電話取材を行ったところまでを書いた。その記事の終盤で、筆者は、イベントの実行委員に、統一教会のフロント団体である平和大使協議会と統一教会の関係や、実行委員に教団関連の人物が多数含まれていることを問い質した。しかし、筆者のその問いに実行委員は「存じ上げていない」と回答した。

 ところが、さらに調査を進めると、その実行委員の回答が、明らかに矛盾していることが判明したのである。

◆教団フロント組織の事務部長だったイベント事務局担当者

 電話取材を終えた時点で筆者は『ファイト三重!県民まつり』事務局の矢田真佐美実行委員について、平和大使協議会関係者を図らずも「受け入れてしまった側」と見ていた。だが、ある資料を発見したことによってその認識は根底から覆る。

 三重県平和大使協議会と統一教会の関係、そしてイベント実行委員に統一教会関連の人物が散見されることについて「存じ上げていない」と答えた「ファイト三重!県民まつり」事務局の実行委員であり、同イベント発起人の矢田真佐美氏。しかし、その後の調査で矢田氏が2019年と2020年に統一教会系組織が行う『ピースロードin Mie』三重県実行委員会の総務・会計を「三重県平和大使協議会 事務部長」の肩書きで担当していたことが判明したのである。ちなみに、『ピースロードin Mie』三重県実行委員会の事務局は『YSP世界平和青年学生連合 三重』に置かれている。

 さらに、矢田氏は両年の『ピースロードin Mie』三重県実行委員会事務局長で世界平和青年学生連合(YSP)三重事務局長の橋本裕輝氏とともに三重家庭教育支援情報サイトの運営・管理者を務めていることも判った。

「2020年度亀山市PTA連合会 家庭教育委員長」橋本裕輝

「元鈴鹿市PTA連合会会長」矢田真佐美

 同情報サイトのBLOGでは「LGBT・同性婚の方々への三重県内のパートナー制度利用実態からの考察」と題して、三重県伊賀市や東京都渋谷区の「同性パートナー制度」導入・条例制定を批判しており、統一教会系団体のこれまでの主張との親和性を感じさせる。

〈参照:三重家庭教育支援情報サイト|LGBT・同性婚の方々への三重県内のパートナー制度利用実態からの考察〉

〈参照:HBOL|家庭教育支援法制定をめぐる勝共連合の策動〉

 矢田氏と教団関連人物とを繋げる痕跡は他にもあった。矢田氏のFacebookの「友達」には国際勝共連合の教育部長、天宙平和連合(UPF)の事務次長、世界平和青年学生連合(YSP)の世界会長といった教団フロント組織の幹部が散見される。

〈参照:Facebook|矢田真佐美 友達〉

 以上のことから、矢田氏が平和大使協議会と統一教会の関係などについて「存じ上げていない」とは考えにくい。

 これらの件について確認するため、矢田氏に12日以降、繰り返し電話したものの一度も応答は無かった。

◆後援の一般社団法人100歳大学の代表にも直撃

 後援団体に名を連ねる一般社団法人『100歳大学』の中田悌夫代表にも電話取材を行った。元鈴鹿短大助教授の中田氏は『ファイト三重!県民まつり』後援の経緯について、矢田氏や『100歳大学』講師の花井錬太郎氏が実行委員を務めていることから後援することになったと答えた。

 実行委員に統一教会系の平和大使協議会の役員が多いことを伝えると「多いでしょう、議員が多いでしょう」と納得の様子。

 平和大使協議会が主導しているイベントではないかと問題視していることを伝えると、中田氏は「それは事実でしょうね」とイベント実態への筆者の疑念が的を射ていることを裏付けた。

 中田氏自身は、イベントの背景は知ってはいたものの実行委員として直接参加することはしていないという。

「その人たちが中心で、矢田真佐美という人が事務局的に動いていることは知っているけど、僕は直接は参加していない」

 矢田氏が平和大使協議会の関係者ということは花井氏から聞いたという。元商社マンの花井氏は平和大使協議会の活動に参加し韓国にも行っていたという。

「あれは引っ張られたね。矢田さんたちから来てほしいということで花井さんを引っ張った。韓国にも行ってるでしょう、無料でやってますよ、お金があるんでしょうねあの団体は。日本からもだいぶ大勢行っとる、100人とか。議員が多いね議員が、選挙対策やね、ほとんど議員でしょう。議員とか社長とかね。花井さんも三菱商事、大企業出身であちこちから引っ張りが来る、見識や経験もあるし」

 統一教会やそのフロント組織である平和大使協議会の地域への浸食度合いについて、中田氏は「そうでもないが、議員族がやっとる」と分析、今回のイベントに関する同協議会の運営手法をこう指摘した。

「お金はあるし、お金を集める必要ないし経費も市からもらっている。上手に」

 中田氏によると当日参加する地元の諸団体はイベントの背景を知らないのではないかという。中田氏自身も100歳大学が平和大使協議会主導のイベントに参加し後援すること自体への抵抗感は特にないようだ。 

「5分くらいは顔を出す、肩入れしてやる暇はない、自分のところが忙しいので」

 地方議員と統一教会フロント組織の“共存”関係は地方都市では取り立てて珍しいことではなく、日常化しているということなのか。

◆三重県と四日市市の判断は変わらず

 18日、四日市市と三重県に、筆者からの情報提供を受け自治体としてどう判断したか取材した。

 四日市市政策推進課の担当者は、統一教会のフロント組織が主導するイベントへの補助金交付の認可を取り消さないとした。

「今回、実行委員会を立ち上げて実行委員会として申請されている。平和大使協議会との関係が客観的に判断しづらい。反社会的云々も客観的にみて関係性が判りづらい。実行委員会による123周年補助事業の企画・対象に対しての補助。事業の中身を確認しているので、そこが宗教的活動との繋がりがないとの判断。補助金交付は変わらず行う」

 統一教会自体が「反社会的な団体」との社会的評価を受けていることの認識の有無について問うと、あっさり否定した。

「それもないですね」

 イベントの背景やどういう人間が関わっているかについて調べないのかと追及したが、市は無責任な回答に終始した。

「実行委員会を立ち上げてもらっているのでそれとは別かなと」

 同市観光交流課も同様の理由で市の後援は外さないと答えた。市長の応援メッセージもプログラムに掲載予定だという。 

 三重県庁地域支援課も後援を続ける判断を採った。

「改めて事務局の方にも確認させていただいて、企画内容等も見て、今回のイベント内容が承認基準に照らして、取り消しなどの対応をする案件ではないと判断した」

 後援を継続する三重県、要請のあった鈴木英敬知事の応援メッセージについてもすでに原稿をイベント事務局に渡したという。 

 呆れたことに三重県は、平和大使協議会が統一教会の関連団体であるとの確認もしておらず、実行委員会の主導実態や統一教会フロント団体の関与自体の評価すら行っていないという。

「直接確認はしていない。本当に統一教会が関係しているかを含めて事実関係の話もあるので、そこでもって今回の後援の判断をしているわけではない」「統一教会との照合はしていない。イベント内容に政治的宗教的なものがないという前提で後援した」

◆個人情報筒抜けか、懸念される「勧誘被害」

 統一教会フロント組織関係者が主導するイベントに、お墨付きを与えた格好の四日市市と三重県。『ファイト三重!県民まつり』の申し込みページには参加者の個人情報を記載する項目がある。高校生以上は大人扱いとなり、氏名だけでなく住所や電話番号まで教団フロント組織の関係者に知られることになる。

 これまでにも同教団系のボランティア組織は、清掃ボランティア活動などを通じて正体隠しの偽装勧誘を行ってきた。教団は街頭での偽装勧誘時にもこの手のボランティア活動へ誘う手口を採っており、筆者はその勧誘現場を幾度となく目撃し、勧誘被害者からの証言も得ている。

 今回、『ファイト三重!県民まつり』に参加した若者がミライメーカーのステージや発表に興味を持ち、その活動に参加するなどして偽装勧誘被害に遭った場合、イベントにお墨付きを与えた市や県はその責任を取れるのであろうか。応援メッセージを寄せた市長や県知事とともにその責任が問われることになる。

◆統一教会問題に詳しい弁護士も問題点を指摘

 同教団のフロント組織の活動に詳しい全国霊感商法対策弁護士連絡会・東京事務局長の渡辺博弁護士(田村町総合法律事務所)は、こう警鐘を鳴らす。

「平和大使協議会は、統一教会が宗教団体であることの正体を隠して、国会議員、地方議員、資産家その他の有力者を取り込んで教団の活動に参加させるための組織です。今回、四日市市が平和大使協議会の主導するイベントに市民の血税から補助金を支出し、三重県とともに後援することは、憲法が定める政教分離原則に反し、またたくさんの裁判例が違法と判断している統一教会の活動にお墨付きを与えることとなります。

 統一教会は、印鑑販売等により2007年以降多くの信者が全国各地において特商法違反で逮捕されたことについて『国会議員、地方議員に対する取り込みが不足していた』と反省し、以後平和大使協議会等を使って政治家を統一教会の活動に参加させてきました。今回のイベント開催もその一環です。統一教会は今回のイベントに参加した多数の市民の名簿を手に入れ、この名簿を使って勧誘を行っていくと思われます。四日市市、三重県はこの責任をどう取るのでしょうか」

 新型コロナ第3波が到来している時期に、教団の内部イベントではなく地域の住民らを巻き込み屋内での開催となる『ファイト三重!県民まつり』。後援と補助金の拠出を継続する地方自治体と教団フロント組織に取り込まれた複数の地方議員に対し、厳しい視線が向けられることになる。

◆『ファイト三重!県民まつり』実行委員一覧

 県や市から後援や補助金を受け29日に開催される『ファイト三重!県民まつり』の実行委員の中から、教団やそのフロント組織との関係が発覚した人物の顔ぶれを改めて以下にまとめておく。

・実行委員長 永田正巳 元三重県議会議長 三重県平和大使協議会共同議長

・実行委員 梶田淑子 三重県地域婦人団体連絡協議会会長・全地婦連副会長 元名張市議 三重県平和大使協議会共同議長 世界日報に記事掲載

・実行委員(事務局)矢田真佐美 鈴亀女性会会長 三重県平和大使協議会事務部長 ピースロード三重2019&2020総務・会計

・実行委員 安井邦彦 世界平和連合議長 三重県平和大使協議会議長 元統一教会第8地区長 元統一教会三重教区長 鈴鹿家庭教会教会長

・実行委員 柴田浩也 世界平和連合三重事務局長 三重県平和大使協議会事務局長

・実行委員 橋本裕輝 2020年度亀山市PTA連合会家庭教育委員長 YSP世界平和青年学生連合 三重事務局長

・実行委員 生川猛雄 FPU平和統一聯合三重事務局長

・実行委員 石田成生 自民党三重県議 ピースロード三重2019&日韓トンネル合同イベント出席、2020年7月日韓トンネル推進三重県民会議および三重県平和大使協議会主催の役員研修会出席

・実行委員 市川哲夫 鈴鹿市議 統一教会ピースロード三重2019&日韓トンネル合同イベント出席

・実行委員 渡辺(渡邉)清司 自民党桑名市議 統一教会ピースロード三重2020共同実行委員長 2019年平和大使協議会総会出席、2020年7月日韓トンネル推進三重県民会議および三重県平和大使協議会主催の役員研修会出席

・実行委員 前野和美 自民党三重県議 2020年7月日韓トンネル推進三重県民会議および三重県平和大使協議会主催の役員研修会出席

・実行委員 花井錬太郎100歳大学講師 元三菱商事

*(本稿は「にょろ」氏ツイッター @hyoloro*非公開 を参照した)

<取材・文/鈴木エイト(ジャーナリスト)>

【鈴木エイト】

すずきえいと●やや日刊カルト新聞主筆・Twitter ID:@cult_and_fraud。滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表〜主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教と政治というテーマのほかに宗教2世問題や反ワクチン問題を取材しトークイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)

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