積水ハウスはなぜ男性社員の育休取得率100%を達成できたのか?

積水ハウスはなぜ男性社員の育休取得率100%を達成できたのか?

画像はイメージ(adobe stock)

◆積水ハウスがイクメン企業アワードを受賞

 男性の育児への参加が謳われるようになって久しい。しかし実際に育児休業を取得し、育児にしっかりと関わっている男性はまだ限られているのが現状だ。

 そうした中、厚生労働省は11月20日、「イクメン推進シンポジウム」を開催。「イクメン企業アワード」の表彰を行った。グランプリには積水ハウスと技研製作所の二社が選ばれた。(技研製作所の取り組みについては「育休取得率0%の男の職場でイクメンを増やした方法とは」を参照)

◆1ヶ月以上の育休取得率100%を達成

 積水ハウスは2018年9月以来、男性社員が1カ月以上の育児休暇取得を目指す独自の「イクメン休業」制度を運用し、2019年2月以降は対象社員の100%取得を維持しているという。

 同社はいかにしてそれを達成したのだろうか。執行役員ダイバーシティ推進部長の伊藤みどり氏は、「男性従業員が1カ月以上の育休を完全取得するために、全社的な意識改革や社内制度を設けることで100%達成に奔走した」と話す。

「2018年9月にイクメン休業制度を制定し、同10月には『イクメンフォーラム』を開催し、社長メッセージや有識者の講演、育休取得事例の共有を通して、社内全体に男性が育休取得する意義や重要性を訴えました。

また継続的な啓発のため、社内イントラネット内のイクメンサイト立ち上げやガイドブックの作成など浸透を促すための工夫も行っています」

◆育休中の役割分担

 中でもユニークなのが、育児休暇取得の時期や休業中の家事・育児の役割分担や計画について家族間でコミュニケーションするための「家族ミーティングシート」を提供をしていることだろう。

 何のための育休取得なのか考えるきっかけを与えるとともに、家族のあり方を夫婦で話し合うことで、幸せな家庭を築くための布石になっている。

 パネルディスカッションに登壇した中央大学大学院の高村静准教授も「子育てしながらの働き方やどんな家庭を作っていきたいかなど、育休取得中に『何をするか』が大事。その意味でも家族ミーティングシートの役割は大きいのでは」とコメントを寄せた。

 また、静岡県立大学准教授で、株式会社ワークシフト研究所所長の国保祥子氏も「ただ夫が育休を取っても、子育てに対してきちんと取り組んでくれるかは別問題としてある。家族ミーティングシートは、夫婦で育休中の計画やなりたい家族の姿を話し合って、最後には署名までするという設計がユニーク。幸せな家庭づくりに寄与するのではと思う」と高評した。

◆『イクメン白書』の発行

 イクメン推進を先進的に行う積水ハウスだが、社内にとどまらず社外への発信も積極的だ。

 毎年9月19日を「育休を考える日」という記念日として制定し、その記念日に合わせ、2019年から社外向けのイクメンフォーラムを開催したり、日本全国の男性の家事や育休に対する実態を調査した「イクメン白書」を発表したりすることで、社会全体に男性の育休取得の機運醸成に貢献している。

 「日経×woman」総編集長の羽生祥子氏は「記事を書く際もイクメン白書をよく参考にしている。今のイクメン事情について知る上で必須のもの」とした上で、育休についての知識を得ることが大切だと語った。

「『収入がなくなるから、育休を取らないで』と夫に伝える“嫁ブロック”という言葉がありますが、所定の手続きをすれば育児休業給付金は支給される。まずは育休についての最低限の知識をつけることが、社会的に育休に対する理解促進に繋がるのでは思います」

<取材・文・撮影/古田島大介>

【古田島大介】

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。

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