米ポルノサイトが動画を大量削除。告発記者に相次ぐ日本からの殺害予告や誹謗中傷

世界最大ポルノサイトが動画大量削除 キッカケの告発記者に日本から中傷や殺害予告も

記事まとめ

  • 世界最大のポルノサイト「ポルノハブ」の多くの動画が削除された
  • キッカケはニューヨーク・タイムズに掲載された「ポルノハブの子どもたち」という記事
  • 記者には日本から「クソフェミ」などの誹謗中傷や殺害予告が寄せられているという

米ポルノサイトが動画を大量削除。告発記者に相次ぐ日本からの殺害予告や誹謗中傷

米ポルノサイトが動画を大量削除。告発記者に相次ぐ日本からの殺害予告や誹謗中傷

Pornhubより

 ネットフリックス、ヤフー、アマゾンよりも多くのアクセスがある巨大プラットフォームが、コンテンツを大量に削除……。こう聞いて、あなたはどのサイトを思い浮かべるだろう? ユーチューブ? フェイスブック? 答えは世界最大のポルノサイトであるポルノハブだ。

◆失踪した少女がネット上で「発見」される悲劇

 「このビデオは我々の信頼とセーフティポリシーに関する検証のため停止されました」

 そんな文言とともに多くの動画が削除されたことをご存知の方もいるだろう。キッカケとなったのは、「ニューヨーク・タイムズ」に掲載された「ポルノハブの子どもたち」という記事だ。(参照:The New York Times)

 「陽気でいたずらっぽい目配せを誇りにしているのはポルノハブだ。同ウェブサイトはタイムズスクエアに広告を買い、ボストンの通りを清掃するため、除雪機を提供している。人種間の平等のために戦う団体に寄付を行い、コロナによるシャットダウンを乗り切るための性的コンテンツを無料で提供している。

 しかし、同社には別な面もある。サイトにはレイプ動画が横行しているのだ。ポルノハブは児童暴行、リベンジポルノ、シャワーの盗撮動画、人種・女性差別的なコンテンツ、ビニール袋で女性が窒息させられる映像で利益を得ている。『18歳未満の女の子』や『14歳』と検索すると、それぞれ10万以上の動画が表示される。そのほとんどは子どもが暴行されるものではないが、それでもその数はあまりに多い。

 フロリダで15歳の少女が失踪したあと、母親は彼女をポルノハブで見つけた。58本のセックス動画で。14歳のカリフォルニアの少女への性的暴行がポルノハブに投稿され、当局に報告された。同社によってではなく、動画を観たクラスメートによってだ。どちらのケースでも危害を加えた人物は暴行で逮捕された。しかし、ポルノハブは動画をシェアし、利益を得たことへの責任を逃れた」

 つまり、ポルノハブには性的暴行が行われている動画やリベンジポルノが大量にアップされており、同社は責任ある対応を逃れてきたというわけだ。

◆問題はポルノではなくレイプ

 こうした指摘に対して、条件反射的に表現の自由を盾にする人は少なくないが、同記事はその点にも言及している。

 「ユーチューブと違って、ポルノハブでは直接サイトから動画をダウンロードすることができる。そのため、当局からの要請でレイプ動画が削除されても、すでに手遅れであるかもしれない。他者によってシェアされたり、繰り返しアップロードされることで動画は生き続けるのだ」

 「問題はポルノではなく、レイプなのだ。児童暴行や誰であれ同意のないものを推し進めるのは非良心的だと合意しよう。ビル・コスビーやハーヴェイ・ワインスタイン、ジェフリー・エプスタインの問題はセックスではなく、同意がなかったことだ。それはポルノハブも同じだ」

 児童ポルノや性的虐待などの動画はれっきとした犯罪である。それらの動画が野放しになっているどころか、繰り返しシェアされていることに関して、擁護しようという人はいないだろう。

 また、削除された動画のなかには、それ以外のコンテンツも多く含まれていたが、違法アップロードされた動画を無料で視聴するのも、もちろん犯罪である。

◆動画削除はポルノ規制の一環?

 この事態を受け、ポルノハブはサイト上で次のような声明を発表した。(参照:Pornhub)

 「未承認のアップローダーを削除する規約により、コンテンツパートナーやモデル・プログラムの会員によって製作されたものではない過去の動画も停止されました。(中略)ポルノハブのすべてのコンテンツは承認済みのアップローダーによるもので、これはフェイスブック、インスタグラム、ティックトック、ユーチューブ、スナップチャットやツイッターのようなプラットフォームでもまだ導入されていない条件です」

 そう胸を張るポルノハブだが、「VICE」が報じているように、決して「無条件降伏」をしたわけではない。一時的に大量の動画が削除されたものの、その数は翌日には再び上昇し、さらに声明では今回の件についての反論も述べられている。(参照:VICE)

 「ポルノハブの声明は第三者機関であるインターネット・ウォッチ・ファウンデーションの報告にも言及している。これによると、ポルノハブ上では過去3年間で118件の性的児童虐待の素材が確認され、同時期にフェイスブックが独自に行なった調査では、ソーシャル・メディアのプラットフォーム上で8400万件の性的児童虐待の素材が発見されたという。

 『ポルノハブが標的にされたのは、我々のポリシーや同業者との比較が理由ではなく、アダルト・コンテンツのプラットフォームだからです』と声明では述べられている。『反対キャンペーンで弊社を槍玉に挙げた2つの団体は、ナショナル・センター・オン・セクシュアル・エクスプロイテーション(性的搾取全国機構)とエクソダス・クライ/トラフィッキング・ハブです。これらの団体はポルノ、同団体が猥褻であると主張する素材、商業目的の性産業を根絶することを目的としています。これらは50年以上かけてプレイボーイ誌、全米芸術基金、性教育、LGBTQの権利、女性の権利、そしてアメリカ図書館協会までも悪に見せようとしてきました。今日、それはポルノハブに起こったのです』」

◆日本から殺到した殺害予告と誹謗中傷

 前述のように、ポルノと表現の自由は切っても切れない関係にある。しかし、児童虐待、性的暴行の動画が大量にアップロード/シェアされていたのは紛れもない事実だ。

 「倫理観の高い記者がフォーカスを当てたから」「人権団体が騒いだから」と矛先を逸らすことは、そういった犯罪行為を助長することにほかならない。今回の問題については、ポルノの有無とは別に考えるべきだろう。

 しかし、現実にはそういった問題を一切無視して、「無料のポルノが削除された」というだけの身勝手な理由で、キッカケとなった「ニューヨーク・タイムズ」の記者への脅迫・中傷が相次いでいる。さらに残念なのは、その多くが我々日本人によるものだということだ。

「こっちは笑い事じゃないんだよ」

「pornhub返してください」

「くたばれ」

「しゃしゃんなクソフェミ」

「絶対にお前を許さない」

「そういうの撮られるのも自己責任だろ」

「きえろ」

「日本では13歳でセックスしていいんだぞ!」

 上記はその一部だが、目を覆いたくなる惨状である。同記者のツイッターアカウントには「死んでしまえ」といった直接的なミームや、ツイッターの規約に違反して削除されたリプライも多く散見される。また、記者自身も日本からの誹謗中傷や殺害予告を受けていると投稿している。

 野放しになった児童虐待、性的暴行動画やリベンジポルノを告発した記者に対して、殺害予告や誹謗中傷を浴びせる人々の姿は、まさに日本の恥である。

 さらにいえば、削除された動画は日本のAVメーカーなどの作品を違法アップロードされていたものが少なくない。この件で怒りを表明する人々こそ、日本のAV産業に対する権利侵害を助長しているという意識はあるのだろうか。

 かねてから、性産業の人権問題に関して遅れをとっていると国内外から指摘されている日本だが、こういった人々の行動によってそうしたイメージはさらに固められるだろう。ポルノハブの動画削除がキッカケとなり、そうした問題にあらためてスポットが当たる日も、そう遠くないかもしれない。

<取材・文・訳/林 泰人>

【林泰人】

ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン

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