コロナ禍でのバッシング、全面禁煙化……。パチンコ業界にとっての2020年を振り返る

コロナ禍でのバッシング、全面禁煙化……。パチンコ業界にとっての2020年を振り返る

パチンコホールの多くが臨時休業をしたが、実は換気などはかなり優秀だった photo by look2825 / PIXTA(ピクスタ)

 2020年も除夜の鐘を待つだけになった。思い返せば、すべてがコロナで始まりコロナで終わる1年であった。

 パチンコ業界も他のすべての産業と同じく、コロナの影響を色濃く受けた業界であったし、この1年以上「パチンコ」の文字がメディアを騒がせた年も無かったであろう。

 本稿では「2020年パチンコ業界5大ニュース」と銘打ち、業界の苦悩と苦闘に満たされた1年を振り返る事にする。

◆コロナがなくてもパチンコホールには激変の年だった

第5位 パチンコホールの全面禁煙化

 もしコロナが無ければ、これがパチンコ業界における今年最大のトピックになったのかも知れない。

 政府の改正健康増進法の施行に伴い、4月1日からパチンコホールが全面的に禁煙化になった。日本における喫煙率は30%を切ったと言われるなか、ことパチンコ店においては7割前後の客が喫煙者であるというデータもある。

 パチンコホールの禁煙化は、近年減り続けてきた遊技客の減少に一層拍車を掛けると言われていた。蓋を開けてみれば、客は減った。しかし減った理由が禁煙化であったのか、コロナであったのかいまだ見定めることは出来ていない。

 ただ数十年間、タバコの煙と戦い続けてきたパチンコ店の換気能力が、コロナ禍において注目を浴びることになったのはせめてもの吉報。ホール禁煙化に伴い、加熱式タバコの喫煙可能エリアを設置したパチンコ店が急速に拡大したのも注目すべきことであった。

◆アイドル店員の登場、「遊タイム」の導入

■第4位 パチンコ遊技機に「遊タイム」機能の搭載

 パチンコ店で遊技する人であれば最近耳にすることが多くなった「遊タイム」という言葉。

 多くのパチスロ機には天井機能が搭載されており、一定回数を超えると必ず大当たりをする救済機能があるのだが、この「遊タイム」はいわゆる天井機能とは違い必ず大当たりをする訳ではない。

 「遊タイム」とは、パチンコ機の通常の大当たり確率中(一般的には1/319〜1/99)に一定回数ハマったら時短(手持ちの玉を減らさず遊技できる状態)に突入する機能である。この「遊タイム」機能の実装により、パチンコ機の遊技性の幅が広がったと言われている。

 パチンコ店の営業では長らく5号機と呼ばれるパチスロ機が主力であったが、規則改正により出玉性能が大幅に減少した6号機の登場によりパチスロ機の人気は下落傾向である。

 そのような中、パチンコ機の復権をかけたこの「遊タイム」機能に多くのパチンコ店は期待しており、実装当初は客の戸惑いの声が多かったものの、年末にかけて大型版権の話題機が続々と市場投入されるなか、「遊タイム」搭載パチンコ機の稼働は好調。2021年はパチンコ機の本格的な復権が期待されている。

■第3位 パチンコ店によるSNS広報戦略−アイドル店員の登場

 本サイトに寄稿した「集客の活路はアイドル店員!? 窮地に立たされるパチンコ業界のもくろみ」に詳しく書いたが、この1年、パチンコ業界には多くのアイドル店員なるものが雨後の筍のようにあちらこちらに現れた。

 本来、パチンコ店は厳しく広告宣伝が規制されており、またコロナ禍でむやみな集客行為も批判の対象になりやすいことから、Twitter等のSNSを介して、自社自店のスタッフを広告塔とした活動を活発化させた。

 その数は300名とも500名とも言われており、その中でもフォロワー1万人を超える業界インフルエンサーの活動は、パチンコ店スタッフの域を超え、オリジナルグッズの景品販売やお店の集客活動に大きな影響を与えている。

 またメーカーの新機種とタイアップしたアイドル店員企画も実施されるなど、若中年層を中心にパチンコファンの注目を集めており、中には「遠征」と称してわざわざ他県のアイドル店員に会いに行く人たちもいる。

 業界全体として、SNSの広報活動戦略が一つの潮流を生み出したという点においては特記すべき事項であろう。

◆収益の柱となっている遊技機の撤去問題に揺れた

■第2位 コロナ禍による旧規則機の設置期限延長

 政府のカジノ政策に関連するギャンブル等依存症対策によって、パチンコ機、パチスロ機の射幸性(≒ギャンブル性)は大きく抑制された。この規則が施行される前の遊技機を旧規則機、施工後の遊技機を新規則機と呼ぶのだが、比較的射幸性の高い旧規則機は本来、最長3年間の期限をもって市場からすべて撤去されることが決まっていた。

 しかしコロナの影響を受け、海外からの遊技機製造部品の輸入が難しくなったこと、多台数の遊技機の入替による三密の回避等を理由に、旧規則機の撤去期限を定めた国家公安員会規則が改正され、1年間延長された。

 コロナにより客数が激減し、売上も大きくダウンしたパチンコ店にとっては収益の柱となっていた旧規則機の設置期限の延長は朗報であったが、一方で「高射幸性遊技機」に区分され業界が自主規制で撤去を促進していた一部遊技機の撤去問題を巡り、パチンコ業界内では撤去するしないの悶着が起こってもいる。

 

 この問題の詳細については「ついに始まった人気パチスロ「神々の凱旋」撤去。ファン、店舗、業界全体の交錯する想い」の一読を。

◆バッシングの「生贄」にされたパチンコ業界

■第1位 コロナ禍に揺れたパチンコ業界

 2020年のパチンコ業界にとってコロナ禍は、多くの教訓と遺恨を作った。

 政府が緊急事態宣言を発令した4月、都道府県知事の要請により協力休業を余儀なくされたパチンコ店であったが、全国の98%以上が休業に応じたにも関わらず、一部のパチンコ店が営業を継続したことにより、日本中のメディアがパチンコバッシングに明け暮れた。

 緊急時においては不要不急である娯楽産業ではあるが、さもウイルスを巻き散らす悪しき巣窟のような報道は、社会全体が未曾有のウイルスを前に一種のパニック状態であったとしても、今後二度とあってはならないことのように思う。

 一方、あれだけのバッシングを受けたからこそ、パチンコ業界全体のコロナ対策はかなり徹底されており、いまだクラスターを発生させていないということは特筆すべき点であろう。

 2020年の1年間は、パチンコ業界にとって苦しい1年間であったろう。コロナによる負の影響を抱えたのはパチンコ業界に限ったものではないが、不要不急の娯楽産業であるからこその辛さと、不要不急の娯楽だからこそ人々の生活に潤いをもたらすという価値を感じ見出した1年であったと言えるのかも知れない。

<文/安達夕>

【安達夕】

Twitter:@yuu_adachi

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